ひみつの坪庭コレクション

多様な緑を庭石が引き締める『となりの村田』の庭。ひみつの坪庭コレクション vol.10October 23, 2024

京都の店々に密やかに備わる坪庭は、この街に暮らす人々の美意識を象徴するような場所。京都に出かけたら見に行きたい、小さくも美しい庭を紹介します。

多様な緑を庭石が引き締める。
―となりの村田―

多様な緑を庭石が引き締める『となりの村田』の庭。
 

 自然や愛らしい動物を描き、古物を思わせる染め付けで人気の陶芸家・村田森さんがアトリエを構えるのは京都郊外の雲ヶ畑。長閑な景色は心を和ませ、創作に刺激を与えるという。現代芸術家・村上隆さんと村田さん、妻の扶佐子さんが営むギャラリーに仕立てた庭は、その趣を写したもの。「作庭を依頼したのは東福寺などを手がける〈曽根造園〉の曽根文子さん。自然な雰囲気があって、一年を通して何かしらの花が咲くこと。観賞するだけでなく、切り取って花器に生けられたらなお嬉しい。小さな空間のなかに奥行きや広がりを感じられることを伝えました。新緑の喜びを感じる春、雪が散らつくなかに咲く椿など、折々に美しく、いい気を感じます」と、扶佐子さんは話す。
 椿、馬酔木(あせび)、小手毬、皐月、躑躅(つつじ)、大紅葉。植えられた植物は20種にものぼる。さまざまな表情の緑を引き締めるのは、亀石と鶴石の二つの庭石。
「中央の大きな亀石が置かれているのを見て、村上さんが亀がいたら鶴も置かなくちゃ、と」と、左手前に鶴石が加わり画竜点睛となったのだ。

 
 
『となりの村田』
『となりの村田』
2020年開業。村田森さんの器を扱うギャラリー。オーダー受け付けの窓口でもあり、イベントの開催も。
▷『となりの村田』
京都市左京区岡崎南御所町18‒11
☎075‒746‒6897
11時〜18時
月〜金休

photo : Yoshiko Watanabe illustration : Junichi Koka edit & text : Mako Yamato

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