ひみつの坪庭コレクション

ネオ喫茶店『小川珈琲 堺町錦店』で育まれる、自然の営み。ひみつの坪庭コレクション vol.07July 23, 2024

京都の店々に密やかに備わる坪庭は、この街に暮らす人々の美意識を象徴するような場所。京都に出かけたら見に行きたい、小さくも美しい庭を紹介します。

ネオ喫茶店で育まれる、自然の営み。
―小川珈琲 堺町錦店―

ネオ喫茶店『小川珈琲 堺町錦店』で育まれる、自然の営み。
 

『小川珈琲』は京都での創業以来、70年を超えて愛され続けるロースター。100年先も続く店をコンセプトに、日本の喫茶文化の原点を見つめ直す新たな挑戦として2022年に開いたのが『小川珈琲 堺町錦店』である。歴史の跡を残しつつ、大胆な改装を手がけたのは建築デザイナーの佐々木一也さん。母屋と離れにある2つの客席をつなぐ中庭は、ミニマルでありながら植物が四季の景色を作る空間。「要素を絞ってコンテンポラリーな見せ方で印象づけたく、コンクリートのステージと『OYAMA』の構成で考えました」と振り返る。杉や檜、ヤマコウバシ、ハゼノキ、ヤブコウジなどが石の上に植えられた「OYAMA」は、植物で様々な場を作るアーティスト「TSUBAKI」によるビオトープ。日本の里山の自然の営みをオマージュすることから生まれた作品だ。1本だけ別に植えられた紅葉は、元の庭にあったものを大切に受け継ぐ。石の上に繰り広げられる植物の世界は、落ちた種による新たな芽吹きも加わり、京都の自然と融合しながら成長し続けている。

 
 
『小川珈琲 堺町錦店』京都市中京区堺町通錦小路上る菊屋町519‒1
『小川珈琲 堺町錦店』京都市中京区堺町通錦小路上る菊屋町519‒1
奥の小庭には植物を植えた古い飼い葉桶が置かれ、こちらも成長を続ける。
▷『小川珈琲 堺町錦店』
京都市中京区堺町通錦小路上る菊屋町519‒1
☎075‒748‒1699
7時〜20時(19時30分LO)
無休

photo : Yoshiko Watanabe illustration : Junichi Koka edit & text : Mako Yamato

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