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城ヶ島マグロの茜身を使った、特製エンパナーダ。写真と文:按田優子 (『按田餃子』 店主) #3October 24, 2025
神奈川・三浦半島の突端、城ヶ島にある『三崎恵水産』が営む『FISHSTAND』は、大トロを使ったフィッシュアンドチップスが人気の店。筋が多く、刺身に適さないマグロの一部分を使って、コンフィやフライを作っています。環境問題にも積極的に取り組んでおり、その一環として血合い部分の活用にも力を入れています。血合いには、抗酸化物質「セレノネイン」が多く含まれているので、その栄養価が近年注目されています。
『按田餃子三浦工房直売所』のご近所ということもあり、『FISHSTAND』チームとともに、「鮪血合い部」という部活動をしています。
血合いを盛り上げていこう! 血合いだー!(って、みんな心の中でダジャレを言っていると思います)
ということで、まずは自分たちが血合いをたくさん食べて、体調がどう変化するのか感じてみようと、いろいろな調理法を試しては集まって試食会をしています。
しかし、発足直後に血合いに替わる新たな名称が公募され、「血合い」改め、「茜身(あかねみ)」に。私たちは名前を変えず、「血合い部」として活動を続けています(改名するなら「茜会」だね、それも壮年の生涯現役感があっていいか!? との意見も飛び交いましたが……)。
三浦半島に来ると、茜身の料理がたくさん食べられますよ! 茜身は鮮度が命!
城ヶ島は港町なので、マグロ問屋も多く、マイナス60℃の超低温冷凍庫で保管されたお魚は、鮮度が断然違います。これ、ものすごく重要。マイナス20℃の冷凍庫では、限界は1週間程度でしょうか。そういう設備が揃っている街だから、マグロがおいしく食べられるのですね。三崎では茜身もお刺身で食べられるんです、レバ刺しみたいな味で、ものすごくおいしい。三崎に遊びに来たら、お土産には刺身用マグロはもちろん、茜身があったらぜひ買ってみてほしいです。
さて、肝心な茜身の食べ方です。新鮮な茜身は、「塩水に浸けて血抜き」は不要です。切り出す際に骨と筋がついているので、骨の部分だけ取ると良いでしょう。筋は肉と違って、加熱するとすぐにぶるぶるになるゼラチン質なので取り除かずに!
牛肉の料理と同じように使える感じです。むしろ、新鮮な茜身は牛肉よりもはるかに食べやすく、食後もすがすがしい! そして元気がみなぎる感じがします(これはなんとも例えようがないので、実際に食べて実感してほしいです!)。

今回は、大好きな包む食べ物、エンパナーダの簡単な作り方を紹介します。
エンパナーダは、ヨーロッパやアメリカ大陸で親しまれている軽食で、私はアルゼンチンのエンパナーダをよく食べました。

前回の餃子の皮作りから、ちょっと寄り道。エンパナーダの生地も作ってみましょう。
皮の生地がひとまとまりになったら、バターと、お好みでスパイスやゴマなどを入れます(入れなくてもいいです)。油分が入ると生地の歯切れが良くなるのと、伸展性がでるのでボロボロした具も包みやすくなります。

中に入れる具の味付けはさまざまで、検索するといろいろ出てくるので、参考にしてみてください。今回は、牛ひき肉の代わりに茜身を叩いて使いました。

茜身は、あく抜きしないゴボウが良く合います。(個性の強い者同士をぶつけると、いいところだけ残る、みたいな感じです。決して茜身の臭みを消そう! なんていう一方通行はいけません)
というわけで、茜身とゴボウのミンチを具のベースに、タマネギとパプリカと一緒に炒め、塩で味を整えます。
味のアクセントは、干しイチジクとローズマリー風味の自家製マーマレード。
4分くらいこんがり揚げて、出来上がり。
エンパナーダにはコップ酒が良く合います。

ぜひ皆さんも、城ヶ島でおいしい茜身を味わってみてください!
『按田餃子』 店主 按田 優子


































