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陳列美を眺める「ペルーのメルカド」。写真と文:山口祐加 (自炊料理家) #3November 20, 2025

世界の自炊を取材する旅の中南米編では、ペルーを訪れた。ペルーは南米大陸の左上に位置し、国土は日本の3.4倍と、広大な土地を有する。そして海岸エリア、アンデス山脈エリア、アマゾンエリアの3つに大きく分かれており、海岸エリアでは新鮮な魚介類が獲れ、赤道近くのエリアではフルーツも豊富に採れる。アンデスエリアでは2000〜3000種類あると言われているジャガイモ、トウモロコシ、キヌアが栽培され、アマゾンエリアではアサイーやカカオ、ナッツ、コーヒー豆なども採れるという非常に食材に恵まれた土地なのだ。

そんな豊かな食材が並ぶ市場が、これまたとても面白い。中でも印象に残っているのは、陳列の美しさだ。
ペルーの市場では、野菜、フルーツ、肉、乾物類など細かくジャンルが分かれて売られているのだが、それぞれのお店の中央に店番が座るところがあり、その周りを囲むようにして売り物が積み上げられる。左右のバランスや丁寧な陳列を見ているとデザイナーでも雇っているのかと思うくらいに美しい。正面から見た迫力は王様が座る椅子に匹敵すると感じる。きっとペルーの市場で働く人にとって、売り場の美しさが商売繁盛に繋がると考えているんじゃないかと想像するのもまた楽しいのだ。
自炊料理家 山口 祐加

やまぐち・ゆか/1992年生まれ。料理初心者に向けた「自炊レッスン」や、ポッドキャスト番組「聞くだけでごはんができるラジオ」など多岐にわたって活動中。著書に『自分のために料理を作る 自炊からはじまる「ケア」の話』、『世界自炊紀行 』(ともに晶文社)など多数。
photo : Masako Nakagawa



























