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カリフォルニアで気付かされたこと。連載コラム : 柏田テツヲ #1December 05, 2024
今年の7月に家族でカリフォルニアに引っ越しました。
学生の頃にオーストラリアのシドニーに住んでいたのを最後に、またいつか海外に住みたいとずっと考えていたんです。
ですが、東京での生活は気付けば1日が終わってしまい、それが1カ月、1年とあっという間に時が過ぎ去っていく感覚があり、自分の中で本当に良くないなと感じていました。
作家として成長したい、挑戦をしたい、ゼロからいろいろスタートをしたいと思っていたタイミングでビザを取ることができ、念願のカリフォルニアに移りました。
家探し、車探し、いろいろな契約......。本当に大変なことばかりでしたが、何しろカリフォルニアは車がないとまず生活ができないので移動も含め“不便”です。
東京で生活していると、当たり前のようになんでもコンビニで揃うし、電車やバス、タクシーなど交通網も便利。夜中までお店もやっているし、一人で歩き回れる。
東京は本当に“便利”で安全な街だと思います。
そんな愚痴のようなことをアメリカ人に話したところ、「ここは“不便”を楽しむ場所だよ、だってそれ以上の景色、時間が流れてるでしょ」と言われ、はっ!と何か大切なものに気付かされました。
家から車で10分ぐらいの場所にあるレドンドビーチエリア。とても好きな場所でよく行くのですが、そこで見る夕陽が本当に綺麗で、毎回この景色を見るたびに彼が言った言葉を思い出し、海に陽が沈むまでそこでただただ夕陽を眺めています。
edit : Sayuri Otobe
写真家 柏田 テツヲ
1988年大阪府出身。ロサンゼルスに拠点を移し、作品制作に取り組んでいる。近年の主な展覧会に『KYOTOPHOTOGRAPHIE 2024』、『屋久島国際写真祭』などがある。12月12日(木)から六本木 蔦屋書店にて展示を開催予定。