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アーユルヴェーダを暮らしに。ディナチャルヤ (1日の過ごし方) を習慣に。 写真と文:久保直子 (ウェルネス&ビューティジャーナリスト) #1December 04, 2025

皆さんは1日の過ごし方について意識されていますか? 

私は、ウェルネスビューティーの軸として、「日常の積み重ね」が何より重要だと考えています。美しさ(=健やかさ)は1日にして成らず。どうすれば継続できるかを念頭に置きながら、1日のルーティーンをどのように組み立てるのかが、長年の課題でした。

そんな時に出合ったのが、アーユルヴェーダの「ディナチャルヤ」の考え方。アーユルヴェーダとは、サンスクリット語で、「アーユス(生命の)ヴェーダ(知識・科学)」という意味で、約5000年の歴史を持つ、インド・スリランカ発祥の伝統医療です。「ドーシャ」と呼ばれる生命エネルギー(ヴァータ・ピッタ・カパ)でその人の本質、体質を見極め、エネルギーのバランスを整えることを重視します。これが、とても自分にフィットしていて、それ以来、自己流にアレンジしながら実践しています。

「ディナチャルヤ」 (1日の過ごし方) について。しなやかな自分を作る4つの日常ごと。Vol.1 写真と文:久保直子 (ウェルネス&ビューティジャーナリスト/植物療法士/アロマデザイナー) #3

今回は、特に、朝の過ごし方にフォーカスして、しなやかさを保つために私が日常的に行っている習慣について、お話したいと思います。

毎朝行っているルーティンはこの6つ。一見すると多く見えるかもしれませんが、時間的には非常に短く、ルーティンにしてしまえば、なんてことはありません。

1.スバチンタ(縁起のいいことを考える)

「ディナチャルヤ」 (1日の過ごし方) について。しなやかな自分を作る4つの日常ごと。Vol.1 写真と文:久保直子 (ウェルネス&ビューティジャーナリスト/植物療法士/アロマデザイナー) #3

まず起床時間です。アーユルヴェーダでは、日が昇る96分前から日の出までの間に目覚めることを推奨しています。日本でいうと、だいたい冬は午前6時、夏は5時半頃。この時間帯に起きることも重要ですが、さらに大切なのは、毎日同じくらいの時間帯に起きることです。夜寝るのが遅くても、週末だったとしても、一定の時間に起きる習慣をつけることで、体のリズムを整えることができます。私自身、毎朝大体6時台に起きるようにしています。

目が覚めたら、いきなり起き上がるのではなく、スバチンタ(縁起のいいことを考える)を行います。固く考えすぎず、「今日はこうだったらいいな」といった希望的観測で構いません。落ち着いた精神で目覚めるための習慣の1つとして覚えておくといいと思います。

2.舌磨き、歯磨き

「ディナチャルヤ」 (1日の過ごし方) について。しなやかな自分を作る4つの日常ごと。Vol.1 写真と文:久保直子 (ウェルネス&ビューティジャーナリスト/植物療法士/アロマデザイナー) #3
(左)フランスの老舗ケアブランドが手がける専用舌クリーナー「[French Tongue Scraper] 舌磨き」。医療用ステンレス製ループと天然素材のハンドルによるおしゃれなデザイン。¥5,980(EK select)/(右) オーラルケアブランド〈デイヴィッズ〉の舌クリーナー「デイヴィッズ タングスクレーパ ー」。医療用のステンレスを使用しており、5歳以上の子どもやペットのケアにも。 ¥4,950(イッツソーイージー 03-3400-0340)

日を浴びて深呼吸をした後、舌のケアを行います。アーユルヴェーダでは、睡眠中に体内の老廃物が排出されると考えられており、起きた時に舌苔(ぜったい)と呼ばれる、食べ物のカスや唾液の成分、細菌や微生物などの汚れを取り除くことが推奨されています。これにより、口内環境を整えることができ、口臭予防にも効果的です。スッキリするので、とてもおすすめ。市販されているタングスクレーパーを使うと手軽にケアできます。その後、歯磨きをします。

3.アビヤンガ+シャワー

それから、私はアビヤンガ(オイルマッサージ)をしてシャワーを浴びます。ここから私の1日が始まります。アーユルヴェーダでは、朝風呂(シャワー)を勧めています。シャワーの後はスキンケア、頭皮マッサージを行い、着替えを済ませたら、オイルプリングと呼ばれる「オイルうがい」をします。油を使うことで、口の中の雑菌が少なくなり、口臭予防になります。アーユルヴェーダでは、五感を非常に大切にしています。特に口の健康が全身の健康に繋がると考えられており、私もその考えに共感し、実践しています。実はオイルでうがいをすると顔の筋肉もほぐすことができるので、たるみ予防にも有効。ぜひやってみてください。

その後は、スキンケア、頭皮マッサージ→オイルプリング(オイルうがい)→白湯を飲む、へと続きます。

大切なのは導線です。何をどこで行うかを考え、使うアイテムをセットしてみてください。効率的に朝のルーティンにすることで、継続しやすくなります。

無理をしすぎると続かなくなるので、自分ができることから1つずつ始めてみてください。

例えば、朝起きて、縁起のいいことを考えたり、日を浴びるというところから始めるのもいいでしょう。最初はこれだけでも十分です。まずは、起きる時間を一定に揃えることを意識してみてください。どんなに遅く寝ても起きる時間を一定に保つだけで、体内リズムが整い、身体が楽になっていくのを感じられるはずです。

とにもかくにも「続けること」。この積み重ねが、すこやかで、しなやかな自分を少しずつ作り上げてくれます。

また、「即効性」を期待しすぎないことも大切です。じわじわ続けていくうちに感じる「じわ効果」をぜひ味わってください。感じたら最後、もうやめられなくなるはずです。

「ディナチャルヤ」 (1日の過ごし方) について。しなやかな自分を作る4つの日常ごと。Vol.1 写真と文:久保直子 (ウェルネス&ビューティジャーナリスト/植物療法士/アロマデザイナー) #3

ウェルネス&ビューティジャーナリスト、植物療法士、アロマデザイナー 久保直子

久保直子
くぼ・なおこ/美容ライター時代に培った美容や健康の知識に加え、AMPP認定メディカルフィトテラピスト、DTWフラワーエッセンスプラクティショナー、フランス式スポーツアロマテラピスト、アーユルヴェーダライフカウンセラーなどの資格を取得。また、女性ホルモンケア、ストレスマネジメント、睡眠、など植物療法やアーユルヴェーダを軸にした独自のウェルネス&ビューティライフについて、企画&発信、執筆している。性教育やフェムテックにも精通し、セミナーやワークショップ活動のほか、アロマデザイナーとして、香りのお守り「Beautiful mind」や、ドゥーオーガニック「アロマバスソルト」、ウーマンエキサイトRetoiro「オールインワンシャンプー」の香りをプロデュース。最近では、Junのオリジナルコスメブランド〈ポロロッカ〉のプロダクト開発、ブランディングを担当。数々のアワードを受賞したデリケートゾーン用のクレンジングオイルやアダプトゲンハーブを凝縮した化粧液など多数開発。

instagram.com/naonaonaozou

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