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銭湯に浸かり、“つかの間の住民”としてくつろぐ。写真と文:寺坂直毅 (放送作家) #3September 15, 2025
リフレッシュをしたい時は、自分が住んでいない町の銭湯に浸かります。遠征です。目覚めたきっかけとなったのは、たまたま雑誌で紹介されているのを読んで知った、東京・北千住にある『タカラ湯』。住宅街にある銭湯ですが、“キングオブ縁側”と呼ばれている日本庭園があります。

北千住駅から徒歩20分。決して交通の便が良いとはいえませんが、地図を見ずに、煙突を頼りにして行くのが、冒険みたいでワクワクします。建物はレトロ。縁側の雰囲気も最高。風呂上りは、フロントで缶チューハイを購入。そこから徒歩5分ほどの荒川の河川敷へ行き、バースデーケーキのろうそくのように照明が輝く、首都高速を見ながら一人乾杯します。
背後には、もう一つのろうそく、東京スカイツリーが輝いています。

住民しかいないような場所へ行き、その銭湯に入ると、なぜか、北千住に何十年も住んでいるかのような錯覚に陥るのです。もう一つおすすめが、『滝野川稲荷湯』。映画『テルマエ・ロマエ』にも登場した銭湯です。ここに入り、近くにある、昼間は純喫茶、夜は魚料理店の『フィッシュオンディッシュロリー』でお酒を一杯。気分は北区民です。
edit : Sayuri Otobe
放送作家 寺坂 直毅

てらさか・なおき/1980年宮崎県生まれ。放送作家。幼稚園の頃からデパートに通い、いままで訪れたデパートは全国250軒以上。