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水草水槽との出合い。写真と文:タナカカツキ (マンガ家) #2February 09, 2026

私が水草水槽の世界に足を踏み入れたきっかけは、ある夏の夜、娘が縁日で持ち帰った一匹の金魚でした。慌てて用意した小型の水槽で飼い始めたものの、水は数日で白く濁り、頻繁な水換えに追われる日々。小さな命を預かることの難しさに、少なからず疲弊していました。日々の世話もままならず、半ば諦めの境地で放置してしまった水槽。数日後、恐る恐る覗き込むと、そこには予想外の光景が広がっていました。

水草水槽との出合い。写真と文:タナカカツキ (マンガ家) #2白く濁っていたはずの水が、わずかに透き通っていたのです。浮かべていた水草は、以前よりも青々と葉を伸ばし、根を広げていました。水草水槽との出会い。写真と文:タナカカツキ (マンガ家) #2
白く濁っていたはずの水が、わずかに透き通っていたのです。浮かべていた水草は、以前よりも青々と葉を伸ばし、根を広げていました。

放置したことで水槽内にバクテリアが定着し、汚れを分解する「生物濾過」のサイクルが機能し始めたのだと、後に知りました。それは、私の手を離れた小さなガラスの中で、自然の摂理が静かに動き出した瞬間でもありました。

この出来事をきっかけに、「水草水槽」という分野を知ることになります。ネットで画像検索をしてみると、息を呑むほど美しい水槽の写真が次々と現れ、衝撃を受けました。

「第24回世界水草レイアウトコンテスト」 (IAPLC2024) にて、世界ランキング7位を受賞 した著者の作品
「第24回世界水草レイアウトコンテスト」(IAPLC2024)にて、世界ランキング7位を受賞 した著者の作品。画像提供:アクアデザインアマノ

以来、私はただ魚を飼うのではなく、水槽の中にひとつの「生態系」を構築することにのめり込んでいきます。水槽は小型から大型へ、道具も次第に本格的なものへと揃えていきました。現在、仕事場の一角には120センチの水槽が鎮座しています。

朝、照明が点灯すると、水草たちが目覚めるように葉を広げ、静かに活動を始めます。水草は生き生きと育ち、魚たちも元気に泳ぎ回る。水槽内の小さな生態系のバランスがととのうことで、水はさらに透明度を増しキラキラと輝き出すのです。

水草水槽との出合い。写真と文:タナカカツキ (マンガ家) #2強い光を浴びた水草が活発に光合成を行い、葉の表面に酸素の気泡をまとっている様子。この小さな泡の連なりが、水槽内の生命を支えています。水草水槽との出会い。写真と文:タナカカツキ (マンガ家) #2 | 強い光を浴びた水草が活発に光合成を行い、葉の表面に酸素の気泡をまとっている様子。この小さな泡の連なりが、水槽内の生命を支えています。
強い光を浴びた水草が活発に光合成を行い、葉の表面に酸素の気泡をまとっている様子。この小さな泡の連なりが、水槽内の生命を支えています。
水草水槽との出合い。写真と文:タナカカツキ (マンガ家) #2
水草水槽との出合い。写真と文:タナカカツキ (マンガ家) #2

酸素の気泡が真珠のように連なり、ゆっくりと水面へ昇っていく。その光景を眺めていると、部屋の中に切り取られた自然が、確かに呼吸していることを実感します。

あの夏の日のささやかな出来事が、私の部屋に「小さな森」を呼び込んだのです。ちなみに金魚は知人に譲り、今では熱帯魚たちが群れをなして泳いでいます。

edit : Sayuri Otobe


漫画家 タナカカツキ

タナカカツキ
著書に『オッス!トン子ちゃん』(扶桑社)、『サ道』(講談社)など。カプセルトイ「コップのフチ子」の企画原案も手がける。水草水槽の入門書『水草水槽のせかい すばらしきインドア大自然』(リトル・モア)も。

x.com/ka2ki

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