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短歌の力を再確認した出来事。編集後記「明日を生きるための言葉」July 23, 2024

歌集やエッセイなど、たくさんの著書がある歌人の穂村弘さん。『短歌はプロに訊け!』は、ファックス&メール短歌の会「猫又」に寄せられた素人の歌を、歌人の東直子さんとばっさり斬る!? 企画本です。
歌集やエッセイなど、たくさんの著書がある歌人の穂村弘さん。『短歌はプロに訊け!』は、ファックス&メール短歌の会「猫又」に寄せられた素人の歌を、歌人の東直子さんとばっさり斬る!? 企画本です。

短歌の力を再確認した出来事。

 かれこれ20年以上前くらいになりますが、『猫又』という短歌の同人誌に誘われ、お題にそって、いくつか歌を詠んでいたことがあります。今回、歌人の穂村弘さんに短歌のページの取材をさせていただく機会があり、過去の著作をあらためて拝読したのですが、穂村さんが監修された『短歌はプロに訊け!』という本の中に、「クリスマス」「電話」というお題で、自分が読んだ短歌を発見し、赤面しました……。どの歌か、というのはさておいて、その歌に過去の自分の生活というか、状況が練り込まれているような気がして、言葉の力というものをあらためて感じました。それは、つらつら書いた日記みたいなものとは違う、短い言葉に凝縮された「昔の自分」との出会いのようなもの。下手な歌なりに、その頃の未熟さやピュアさも含まれていて、ちょっと甘酸っぱいような気分になったのでした。

 今号では、穂村さんに取材させていただいた短歌のページの他に、さまざまな方たちの「明日を生きる言葉」が詰め込まれています。短いセンテンスですが、それぞれに違う思いや考え方が溢れています。もしかすると、今の自分を置き換えられるような言葉との出会いがあるかもしれません。人の著作から探してみるのもいいですが、この機会に、今の気分を短歌にしてみても面白いかも。明日の自分への贈り物になるかもですよ。

(本誌編集部/KK)

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