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あぁ台湾、ここで暮らせたら。編集後記「台湾でしたいこと」February 20, 2025
あぁ台湾、ここで暮らせたら。
言葉も話せない赤ん坊の頃から引っ越しを繰り返し、小学校は3回変わりました。出身はどこ?という質問にいつも「〇〇で生まれたんですけど、そのあと〇〇に住んで、えーっと今の実家は〇〇です」という長ったらしい返答をしなければならず、愛すべき故郷がある人が心の底から羨ましい人生です。自分はどこにも属していない、といううっすらとしたコンプレックスのようなものがあるくらいに。そんな私が数年間、幼少期を過ごしたのが台湾でした。記念すべき人生初の海外出張が、台湾と決まってから、ここで頑張らなくてどうする私!と言葉の通り、全力疾走で駆け抜けた数ヶ月でした。
ごはんがおいしい、人が温かい、街に活気がある。台北はいつ行ってもやっぱり新しい発見があり、まだこんなスポットがあったのか、と今回も驚きの連続でした。その魅力は最新号に託します。個人的に思い出深いのが、二度目の訪問だった台南。ゆったりとした時間が流れ、店先に並ぶ路上園芸、なんでもない街並み、どこを切り取っても美しい。街がコンパクトなこともあり、滞在中何度も足を運ぶお気に入りの店ができて、「また来たの?」「だっておいしいんだもん!」なんて、地元の人みたいな会話を楽しんだりも。それくらい距離が近いことも心地よくて、一緒に回っていたカメラマンさん、コーディネーターさんと「ここで暮らしませんか?」なんて妄想を繰り広げていました。暮らすように旅をするって、こんなに楽しいのか。
あぁ終わるのが寂しい。ここまで思えたら、台湾は私の故郷のひとつなんだろうな。本当に一人でも多くの人の手に届きますようにと願いながら、この編集後記を書いています。何度も台湾へ足を運んだことがある人も、初めて行く人も「帰ってきた」ような温かさできっと、迎えてもらえるはず。台湾はそんな不思議な魅力があるところです。少しずつ春の陽気が顔をのぞかせる時季、次の旅先に悩んでいる人がいたら、ぜひ(というか絶対に)台湾をおすすめします。もちろん最新号をお供に!
(本誌編集部/H)