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社会人2年目、ワークライフバランスを考える。編集後記「素敵に生きる人の、働き方」May 21, 2025

社会人2年目、ワークライフバランスを考える。編集後記「素敵に生きる人の、働き方。」
この仕事を始めてから、自然光の尊さを学びました。今日も、良い光を求めてさまよっています。

最新号は「素敵に生きる人の、働き方」。取材を始めたのは4月の上旬で、個人的にも社会人デビューから1年という節目のタイミング。振り返ってみれば、この1年はただがむしゃらに目の前の仕事と向き合う毎日で、就活中に耳にタコができるほど聞いた「ワークライフバランス」なんて、気にしていられないこともしばしば。

というかそもそも、「ワーク」と「ライフ」を対極に置いて、そのバランスをとっていくことだけが「良い働き方」なのでしょうか。「ライフの一部にワークがあるのに、ワークがライフに並び立つ構造って変じゃない?」という、編集部の先輩の言葉にも激しく納得。編集者という、日々の生活がそのまま仕事につながることが多い職に就いているから特に感じるのかもしれませんが、「ワーク」と「ライフ」を分けて考えるのではなく、どのように自分の「ライフ」の中に「ワーク」を位置付けていくのかを考えることこそが大事なんじゃないだろうか、と思うわけです。

今回取材でお邪魔した、作家・市川拓司さんのワークスペースは、まさしく「ワーク」と「ライフ」が混在する場。詳しくはぜひ本誌でチェックしてほしいのですが、大切に育てている植物が棚や机を這うように伸び、デスクの上には趣味の工作で使う工具、絵を描くための絵の具やパレット、自作の玩具や水槽などが所狭しと並べられています。素人目には、直接的に執筆に関係しそうなものはデスクトップパソコンだけ。「ここで本当に仕事をしているのか?」と疑ってしまうほどですが、市川さん曰く、これらも全て仕事に欠かせないものだそう。

筆が止まったときには、植物の剪定をしてリフレッシュしたり、玩具で手遊びしながらアイデアを練ったり。作中に登場する物を実際に作ることも。一見仕事とは無関係にも思える趣味の道具たちが、立派な仕事道具へと様変わりするのです。「執筆作業=ワーク」「その他の趣味=ライフ」と分けて考えるのではなく、それらを全てまとめて自分の人生とする、市川さんの生き方の縮図を覗いたような気持ちになりました。

取材を終えて会社に戻る私を迎えてくれた、無機質なマイデスク。いつもと変わらないはずなのに、ずいぶんさみしく思えてきました。ここに座りながら、終わりの見えない原稿とにらめっこする時間も、正解の無い企画出しに迷走する時間も、私の「ライフ」を構成する大切なピース。少しでも居心地のいい空間にすべく、これから育てていこうと思います。

(編集H)

社会人2年目、ワークライフバランスを考える。編集後記「素敵に生きる人の、働き方。」
京都の陶器店で見つけた100円の箸置き、〈崎陽軒〉のシウマイについてくる醤油入れ、村上隆の個展で購入した「五山送り火」フィギュアなど、心ときめくものを並べてみました。今のところ統一感がなくイマイチですが、ここから自分だけの聖域にしていく予定。

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