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私設図書館「木林文庫」で出合った、 無理なく続ける仕事の形。編集後記「素敵に生きる人の、働き方」May 20, 2025

私設図書館「木林文庫」で出合った、 無理なく続ける仕事の形。編集後記「素敵に生きる人の、働き方」「木林文庫」には、葉っぱや根っこを含め多岐にわたる「木にまつわる本」が約1800冊揃う。
「木林文庫」には、葉っぱや根っこを含め多岐にわたる「木にまつわる本」が約1800冊揃う。

東京・学芸大学駅近く、築50年のマンションの一室にある「木林文庫」。本好きにはたまらないこの空間は、夫婦二人三脚で小さな出版社〈エクリ〉を営む、須山実さん・須山佐喜世さんご夫妻の暮らしと仕事の場でもあります。本棚に並ぶ「木にまつわる本」や思い出の品々に囲まれて、週末だけそっと開かれる私設図書館。訪れると、ご主人が丁寧に淹れてくれるコーヒーで迎えてくれます。その豆を挽くのに使われているのが、結婚祝いに友人から贈られ、50年近く愛用しているというドイツ製のコーヒーミル。ガリガリと心地よい音を響かせながら、その香りとともに、ゆるやかな時間が始まります。

ベランダのコンテナガーデンの水やりは、夫の実さんの“仕事”の一つ。私設図書館「木林文庫」で出合った、 無理なく続ける仕事の形。編集後記「素敵に生きる人の、働き方」
ベランダのコンテナガーデンの水やりは、夫の実さんの“仕事”の一つ。

ご夫妻とのおしゃべりもまた、この場所の大きな魅力。編集や本づくりの話に始まり、最近始めたYouTubeの話題まで。どんな話も自然体で、気負いなく、でもちゃんと楽しんで向き合っている様子に、同じ編集の仕事に携わる者として、心から憧れと尊敬を覚えました。

なんでも「やってみればいいんじゃない?」という言葉から始まった、と軽やかに笑う二人。その姿は、好きなことを好きなペースで、暮らしとともに仕事を続けていく素晴らしさを、あらためて教えてくれた気がします。リラックスした空気に包まれた木林文庫で過ごした時間は、これからの自分の働き方を見つめ直す小さなヒントになりました。またあのコーヒーの香りに誘われて、ふらりと訪ねたくなる、そんな場所です。

(編集K)

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