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心和む、低い目線の和室の暮らし。編集後記「部屋と心を、整える」January 20, 2025
心和む、低い目線の和室の暮らし。
今回の部屋取材で、カメラマン黒川ひろみさんのお宅にお邪魔しました。23㎡のアパートの一階の和室。昭和の香りのする佇まいの6畳、4畳半の部屋は、想像以上に静かで心落ち着く空間でした。自分も田舎から東京に出てきたとき、ほぼ同じくらいの間取りに住んでいたことを思い出しました。
黒川さんのお宅には、大きな家具がほとんどなく、古道具屋さんで見つけた小さな茶箱や、木製のキャビネットなどが上手にレイアウトされています。古い木の質感で統一されているので、畳の部屋にしっくり馴染んで、親戚のおばあちゃんの家に来たような雰囲気とでもいいましょうか。なんと、このお部屋には昔懐かしい火鉢と、習い事で使っているという琴まであるんです。火鉢は暖を取るというより、スルメを炙ったりして「火鉢パーティ」をするのだそう。琴はときどき爪弾いて、配信の楽曲などとは違う「生音」を楽しんでいるとのこと。
「うちには椅子がないんです」と黒川さん。畳に直に座っての目線の低い暮らしの心地よさは、椅子やソファーの生活になれたこの頃では感じられない和やかさでした。撮影は12月の上旬でしたが、とても天気の良い日で日の光も穏やかに差し込んでいました。この午後の様子は、今号の表紙写真からも伝わるかと思います。まさに、部屋とともに心も整うような思いがした1日でした。
(本誌編集部/KK)