今、台湾でしたいこと。
『みんげい おくむら』店主の奥村 忍さんが教えてくれた、「台湾好きの、2泊3日旅プラン」。March 10, 2025
台湾好きのあの人はどんな旅をしてる? アートや建築、歴史文化を巡ったり、屋台ごはんからスイーツまで豊かな食文化に触れたり。台北以外にも台中、台南へのショートトリップなど、6人の台湾通に、2泊3日を満喫する自分だけの旅プランを教えてもらった。

心と体で感じる、民藝的金門島トリップ。
「民藝」と聞くと「物」に目が行きがちですが、土地の空気や風景を感じることも民藝の心として大切で、面白い部分です。台北から国内線で1時間ほどの金門島はそれを色濃く感じられる場所。中国の厦門(アモイ)に近いこともあり、建築様式や食文化に福建省の要素が混じっていて、古い洋館や古民家を改装したプチホテルや民宿もあります。まずは中心地の金城鎮(チンツェンツェン)へ。『金牌臭豆腐(チンパイツォウトウフー)』は揚げた臭豆腐がおいしくて、ビールとの相性が抜群。夕食は『新大廟口活海鮮(シンダーミャオコウフオハイシエン)』へ。外のテーブルで島の風を感じながら、島で獲れた新鮮な魚介を楽しみます。翌日は模範街(モーハンチエ)に立つ朝市へ。昔ながらの空気が残る路地で、地元のお母さんたちが牡蠣をむいていたりと、島の日常を感じられます。朝食にお粥を食べたら、バスに乗って島内をぶらぶらと。島には「風獅爺(フォンスーイエ)」という守り神が立っていて、沖縄のシーサーに似ています。それぞれ表情や姿が違っていて、それらを見て回るのも楽しいものです。夕食は『記德海鮮餐廳(チーダーハイシエンツァンティン)』で島名産の高粱酒(カオリャンチョウ)を飲みつつ、島の牡蠣や高粱酒漬けの蟹を。翌日は古くから作られる包丁・金門菜刀を見に『金永利鋼刀 貞節牌坊老店(チンヨンリーガンダオツェンチエパイファンラオディエン)』へ。かつて中国から砲撃を受けた金門島には当時の砲弾が多く残ります。金門菜刀はそれを原料に作られていて、製作風景も見られます。時間があれば高粱酒の工場を見学しつつ台北へ。持ち帰った「物」がなくても、心にはたしかに金門島の歴史や風土、暮らしが刻まれているのです。
My Taiwan Trip Plan奥村 忍さんの2泊3日台湾旅プラン。
1日目
16:00
台北松山空港から国内線で1時間ほどで金門空港着。
17:00
金門空港からタクシーでホテルへ移動。荷物を預けてから中心地の金城鎮へ。
18:00
『金牌臭豆腐』(金城鎮)でアペロ。
19:00
金城鎮周辺を散策。
20:00
『新大廟口活海鮮』(金城鎮)で夕食。店に置いていない酒は近くのコンビニで調達する。
22:00
金城鎮のホテル泊。
2日目
06:00
金城鎮の中心にある繁華街、模範街に立つローカルな朝市へ。地元の人々の暮らしに触れる。
07:00
『永春廣東粥(ヨンチュングワントンツォウ)』(金城鎮)でお粥モーニング。いろいろな具材が入ったお粥に油條を合わせて食べるのが金門島風。
08:30
中台衝突下だった1969年の金門島を舞台にした映画『軍中楽園』のロケ地となった『陽翟老街(ヤンディーラオチエ)』(金沙鎮)へ。
11:00
バスに乗って気の赴くままに島を散策。島内に点在する「風獅爺」を見て回る。
13:00
金城鎮に戻り、バリエーション豊かな牛肉料理が自慢の『金門牛家莊(チンメンニョウチアツワン)』(金城鎮)で昼食。牛肉麺を食べる。
15:00
金城老街にある骨董店『金門民俗文物之家(チンメンミンスーウェンウーズーチア)』(金城鎮)で、島の民家から集めた古い陶磁器や木製品などを見る。
18:00
『記德海鮮餐廳』(金寧郷)で夕食。高粱酒漬けの蟹や地元産の麺を使った料理などを楽しむ。お酒の持ち込みがOKなので、日本から持ってきたワインを飲む。
21:00
金城鎮のホテル泊。
3日目
07:00
『巧味香(チアオウェイシャン)』(金城鎮)で朝食。島で獲れた牡蠣が入った麺線を食べる。
08:30
金門島の名産品である金門菜刀(包丁)を見に『金永利鋼刀 貞節牌坊老店』(金城鎮)へ。
10:00
バスで金門島名産の高粱酒の工場『金門酒廠實業股份有限公司 金城廠(チンメンチョウツァンスーイエグーフェンヨウシエンコンスーチンツェンツァン)』(金寧郷)へ。工場見学や試飲など楽しむ。
11:30
タクシーで金門空港へ。国内線に乗り、台北松山空港へ。
奥村 忍 Shinobu Okumura『みんげい おくむら』店主
1980年千葉県生まれ。大学卒業後、商社での貿易業務、メーカー勤務を経て2010年ウェブショップ『みんげい おくむら』をオープン。世界各地から今の生活に合った手仕事を探し、提案する。共著に『中国手仕事紀行 増補版』(青幻舎)など。
illustration : Harper Ouk(vision track) text : Yuriko Kobayashi edit : Chizuru Atsuta cooperation : Fumi Yoshida,Mari Katakura