&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート。

「夏に嬉しい、軽い洋食」。渡辺有子の料理教室2年目7月July 12, 2025

料理家の渡辺有子さんが先生に、ライターの吉田直子さんが生徒に。本誌で連載中の「&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート」がWebでも読めるようになりました。2年目7月のテーマは、「夏に嬉しい、軽い洋食」。3つのレシピを紹介します。

渡辺有子の料理教室 親しみのあるラインナップの夏野菜ですが、旬の味は格別。切り方を変えて新たな味わいを。
親しみのあるラインナップの夏野菜ですが、旬の味は格別。切り方を変えて新たな味わいを。

夏に嬉しい、軽い洋食。

先生:こんにちは、この教室も2年目の夏。まもなく20回を迎えますが、料理の腕、上がった感じはありますか?

生徒:はい。なんというか舌はこえました。

先生:気に入った料理は何度も作ると段取りが身について上手に作れるようになるの。

生徒:1、2度作って満足していました。これまで教わった料理をおさらいせねば。

先生:今回は、直子さんのような生徒さんたちに、シンプルで軽い洋食を教えたいと思います。家の定番にしてもらえるはず。

生徒:お心遣いありがとうございます!

先生:まずは前菜の「焼きズッキーニのレーズンソースのせ」からいきますよ。ズッキーニは縦半分に切って水にさらします。赤玉ネギはみじん切りにして、塩水に浸けてからザルにあげて水気をしぼります。パセリはみじん切り。レーズンは粗めに刻んでね。

生徒:イカの下処理はおまかせください。内臓を取り除いて、皮をむいて水できれいに洗っておくところまでやっておきました。

先生:あら、直子さんやるじゃない。

生徒:イカは晩酌のお供の定番なので。

先生:そうやって食材に慣れることが大切なの。イカ、タコを1㎝角に切ったら、フライパンにバターを熱して弱中火で炒め、粗塩と黒胡椒をふりましょう。

生徒:ああ、この匂い。もう食べたい〜。

先生:ボウルにレーズン、赤玉ネギ、パセリ、イカとタコを入れて、白バルサミコ酢、粗塩、オリーブオイル、黒胡椒をふります。

生徒:ボウルの中身、混ぜておきます。

先生:よく熱したグリルパンにオリーブオイルを入れて、水気を拭いたズッキーニの切り口を下にして、焼き目がつくように弱火で焼きます。裏返して中に火が通るまで焼きましょう。ボウルの中のソースをズッキーニの上に盛り付けたら完成です。家でレーズンソースだけ作ってバーベキューに持参して、焼きたてにのせるのも良いわよね。

生徒:素敵すぎるアイデア。夏ですね〜。

先生:さて「夏野菜サラダ」を作りましょう。作り方はいたってシンプル。コツは食材のサイズを8㎜角に揃えて切ることだけ。先にトマトとピーマンは種とヘタを取り除きます。キュウリは縦半分に切ってスプーンで種を取り除き、セロリは筋を取る。8㎜角に切ったズッキーニは水、赤玉ネギは塩水にさらしてザルにあげ、黒オリーブは横3等分に切ります。ボウルにレモン汁、フレンチマスタード、粗塩ふたつまみを入れ、泡立て器で混ぜながらオリーブオイルを加えて乳化させる。ボウルに赤玉ネギ、キュウリを入れてなじませたら残りの野菜を加え、ボウルを振りながら全体を混ぜて野菜の水分を出します。黒オリーブ、バジルをちぎって加えてざっと混ぜ、味をみて足りなければ粗塩で味を調えます。

生徒:夏野菜の旨味がドレッシングと混じり合って。これは大盛りで食べたいです!

先生:さあ、「カツレツ」よ。豚もも肉は叩いて薄くのばし、両面に粗塩、黒胡椒をふります。パン粉は袋に入れて砕きます。肉に薄力粉をまぶして、溶き卵、パン粉をつけます。フライパンにオリーブオイルを注ぎ、高温にして揚げます。皿に盛り、フリルレタスを添えてパルミジャーノを削り、粗塩をふり、レモンを搾ったら完成です。

生徒:小さかったお肉がこんなに立派に〜。

1.焼きズッキーニのレーズンソースのせ

渡辺有子の料理教室 焼きズッキのレーズンソースのせーニ
渡辺有子の料理教室 焼きズッキのレーズンソースのせ
バターが焦げないよう火加減に注意し、小さく切ったイカとタコを炒める。
渡辺有子の料理教室 焼きズッキのレーズンソースのせ
熱したグリルパンの上に、ズッキーニの切り口をグッと押しながら弱火で焼く。

    〈材料〉2〜3人分

    ズッキーニ…1本 
    イカ…1/3杯(60g) 
    タコ…50g 
    赤玉ネギ…1/4個
    パセリ…2茎分 
    3種レーズン…30g 
    白バルサミコ酢…大さじ1と1/2
    オリーブオイル…大さじ1 
    バター…10g 
    粗塩…少々 
    黒胡椒…適量
    〈作り方〉
    1.ズッキーニは縦半分に切り、水にさらす。

    2.赤玉ネギはみじん切りにし、塩水にしばらく浸けてからザルにあげ、水気をしぼる。パセリはみじん切りにし、レーズンは粗めに刻む。

    3.イカは内臓を取り除き、皮をむいて真水で洗ってから、1㎝角に切る。タコも1㎝角に切る。

    4.フライパンにバターを弱中火で熱し、イカ、タコを炒めて、粗塩、黒胡椒をふる。

    5.ボウルにレーズン、赤玉ネギ、パセリ、「4」を入れ、白バルサミコ酢、粗塩、オリーブオイル、黒胡椒をふって混ぜる。

    6.よく熱したグリルパンに、オリーブオイル(分量外)を熱し、ズッキーニの水気を拭いたら切り口を下にし、焼き目がつくように弱火でじっくり焼く。裏返して、中に火が通るまで焼く。
    「5」のソースをズッキーニの上にたっぷりのせる。

2.夏野菜サラダ

渡辺有子の料理教室 夏野菜サラダ
渡辺有子の料理教室 夏野菜サラダ
8㎜角に切り揃えることで、合わさったときにまとまりのある味になる。
渡辺有子の料理教室 夏野菜サラダ
ボウルを振って混ぜながら野菜の水分を引き出し、味をなじませる。

    〈材料〉2〜3人分

    トマト…1個 
    キュウリ…1本 
    ピーマン…2個 
    セロリ…1/2本 
    ズッキーニ…1/3本 
    赤玉ネギ…1/4個 
    黒オリーブ…10粒
    フレンチマスタード…小さじ1と1/2 
    レモン汁…大さじ1と1/2 
    オリーブオイル…大さじ2 
    粗塩…適量 
    バジル…4~5枚
    〈作り方〉
    1.トマトは半分に切って、種とヘタを取り除く。キュウリは縦半分に切り、スプーンで種を取り除く。ピーマンも縦半分に切り、種とヘタを取り除く。セロリは筋を取る。ズッキーニ、赤玉ネギは8㎜角に切ってから、ズッキーニは水に、赤玉ネギは塩水にさらす。野菜はすべて8㎜角に切り揃える。黒オリーブは横3等分に切る。

    2.ボウルにレモン汁、フレンチマスタード、粗塩ふたつまみを入れ、泡立て器で混ぜ、オリーブオイルを少しずつ加えて乳化させる(瓶などに入れて振り、混ぜてもよい)。

    3.2に赤玉ネギ、キュウリを入れて混ぜ、しばらくなじませてから残りの野菜を加えて、水分が出るように全体をよく混ぜる。黒オリーブ、バジルをちぎって加え、ざっと混ぜる。味をみて足りなければ粗塩で味を調える。

3.カツレツ

渡辺有子の料理教室 カツレツ
渡辺有子の料理教室 カツレツ
肉は叩いて薄くのばす。肉叩きは便利だが瓶でも代用できる。
渡辺有子の料理教室 カツレツ
油の量はやや少なめで良い。揚げ焼きのような要領で、高温で仕上げる。

    〈材料〉2人分

    豚もも肉…4切(200g) 
    薄力粉…適量 
    卵…1個 
    パン粉…適量
    オリーブオイル…適量 
    フリルレタス…2枚 
    レモン…1/2個 
    パルミジャーノ…適量 
    粗塩…適量 
    黒胡椒…適量 
    〈作り方〉
    1.豚もも肉は肉叩きで叩いて、薄くのばす。両面に粗塩、黒胡椒をふる。パン粉は袋に入れて細かく砕く。

    2.豚もも肉に薄力粉を薄くまぶし、溶き卵、パン粉の順につける。

    3.フライパンにオリーブオイルを5㎜の高さまで注ぎ、高温にして、2をカラリと揚げる。油をよくきる。

    4.皿に盛り、フリルレタスを添えてパルミジャーノを削り、粗塩をふり、レモンを搾る。

渡辺有子の料理教室 肉叩きで薄くのばした豚もも肉は、1人2枚、100gほどだが十分にお腹が満たされる。レモン汁とパルミジャーノをたっぷりふって。
肉叩きで薄くのばした豚もも肉は、1人2枚、100gほどだが十分にお腹が満たされる。レモン汁とパルミジャーノをたっぷりふって。
渡辺有子

渡辺有子先生

わたなべ・ゆうこ/東京都生まれ。料理家。スタジオ「FOOD FOR THOUGHT」にて、料理教室や食にまつわるイベントを開催。東京・代々木上原と西荻窪で、同名の器店をディレクション。作家ものの器や食まわりの商品を扱う。『料理と私』(晶文社)、『渡辺有子の家庭料理』(主婦と生活社)など著書多数。旬の素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評があり、いつまでも初心者気分でいつづける生徒・吉田直子にも、懇切丁寧に料理を教える。

吉田直子

吉田直子生徒

よしだ・なおこ/東京都生まれ。ライター。冠婚葬祭で使う小物とジュエリーのブランド〈シュオ〉のディレクター、ファッションブランドのプレスを務めるなど、フレキシブルに働く1 児の母。2019年、絵本『こっぷんとかっぷん』(絵・よこやまかんた/若芽舎)を刊行。2020年には蒼井優の著書『今日もかき氷【進化版】』(マガジンハウス)の編集を手がける。渡辺有子の料理教室で毎月記事をまとめているが、いまだに作るよりも食べることを好む。

photo : Wakana Baba text : Naoko Yoshida

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