&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート。
「青々した香りのよい野菜をたっぷり食べる」。渡辺有子の料理教室2年目6月June 14, 2025
料理家の渡辺有子さんが先生に、ライターの吉田直子さんが生徒に。本誌で連載中の「&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート」がWebでも読めるようになりました。2年目6月のテーマは、「青々した香りのよい野菜をたっぷり食べる」。3つのレシピを紹介します。

青々した香りのよい野菜をたっぷり食べる。
先生:蒸し暑かったり肌寒かったり、気候の変化についていけないお年頃になったわね。
生徒:いいえ、先生や私のせいではありません。すべてはお天道様の責任です。
先生:あら、そんなこと言っちゃって大丈夫? とにかく食べることで元気よくやっていくしかないわね。今日の教室では、緑の野菜がたくさん摂れる料理を伝授しましょう。
生徒:梅雨なんかに負けないぞー!
先生:では最初に「豚挽き肉のハーブ和え」からいきましょう。たっぷりのクレソンと香菜を2㎝の長さに切って、赤玉ネギは長さ3等分にしてから、2㎜幅で縦に切ります。ディルとミントは葉を摘んでおいてね。
生徒:すでに青々しております。
先生:フライパンにバターを溶かしたら、赤玉ネギを透き通るまで中火で炒めましょう。豚挽き肉を加えてよく炒めたら、ナンプラー、きび砂糖、黒胡椒をふって味を調えます。
生徒:これだけでご飯が進みそうです。
先生:クレソン、香菜、ディル、ミントを入れたボウルの中に、フライパンの中身を熱々のまま肉汁ごと加えましょう。ライムを搾って器に盛ってミントを散らしたら完成です。
生徒:ジュージューな肉の脂が野菜をいい感じにしんなりさせてくれました!
先生:お鍋で炊いておいたご飯も、おいしそうに蒸らされていました。このご飯は、白米ともち米を1対1で炊いたもの。もちもちしていて、おいしいですよ。
生徒:水加減は白米を炊くのと同じですか?
先生:そうなの。もち米は一晩浸水させてね。
生徒:完全に食べすぎちゃいそう……。
先生:このまま「ケールとアボカドのサラダ」も作っちゃいましょう。ケールは縦4〜5等分に切って、横に細切りに。アボカドは1.5㎝角に切りますよ〜。
生徒:アボカド、皮付きのままペティナイフで中身をカットするんですか?
先生:半分にカットしたら種を取って、手のひらの上にのせて切るの。ラクですよ。
生徒:ほーっ。
先生:青ジソは縦半分に切り横に細切りに。クルミはローストして粗めに刻みます。切った材料をボウルに入れて、オリーブオイルをまわしかけたら酢と粗塩を加えましょう。ボウルを何度か振りながら全体を混ぜ合わせて、アボカドの角がとれるまで馴染んできたら、仕上げに実山椒をミルで挽いてください。
生徒:クリーミーな仕上がりですね。ケールとアボカドがしっかり絡み合っています。
先生:このくらいまでよく混ぜてね。最後は、「塩レモンとミントのミルクアイス」よ。
生徒:なんとアイスまで!
先生:牛乳とコンデンスミルクとミントを一緒に煮て、漉して、冷やし固めただけなの。
生徒:塩レモンはいつ投入するのでしょう。
先生:アイスを攪拌する際に加えて、さらに凍らせたら出来上がりです。塩レモンの作り方は薄切りにしたレモンに塩を加えて2〜3日漬けるだけ。魚料理やサラダに入れてもおいしいので、多めに作ると重宝しますよ。
生徒:アジアの食堂を思わせる青々としたお皿とアイスがこの季節にぴったり。いつもと違う味付けで食欲も湧きますね。
先生:「豚挽き肉のハーブ和え」は7年前にラオスで食べたラープからヒントを得たの。
生徒:可愛い子にも、有子先生にも旅を〜。
1.豚挽き肉のハーブ和え
〈材料〉2〜3人分
豚挽き肉…200g
クレソン…2束
香菜…2茎
赤玉ネギ…1/2個
ディル…4本
スペアミント…適量
ライム…1/2個
ナンプラー…小さじ2と1/2
きび砂糖…小さじ1/2
バター…10g
黒胡椒…適量
-
〈作り方〉
1.クレソンと香菜は2㎝の長さに切る。赤玉ネギは長さ3等分に切り、2㎜幅で縦に切る。ディルとミント(飾り用に少し残しておく)は葉を摘む。
2.フライパンにバターを溶かし、赤玉ネギを加えて透き通るまで中火で炒め、豚挽き肉を加えてよく炒めたら、ナンプラー、きび砂糖、黒胡椒をふって味を調える。
3.ボウルにクレソン、香菜、ディル、ミントを入れ、2を肉汁ごと加えて、ライムを搾ってざっと混ぜる。
4.器に盛り飾り用に取っておいたミントを散らす。
5.もち米を加えた白米(*)を添える。
*鍋にといだ米、もち米(一晩水に浸けてからザルにあげたもの)を各1合ずつ、水360㎖を入れ、浸水させる。強火にかけて沸いてきたら、弱火で20分、火を止めて10分蒸らす。
2.ケールとアボカドのサラダ
〈材料〉2人分
ケール…大きめ1枚
アボカド…大1個
青ジソ…4枚
クルミ…30g
酢…大さじ1
粗塩…適量
オリーブオイル…大さじ2
実山椒…適量
-
〈作り方〉
1.ケールは縦4~5等分に切り、横に細切りにする。アボカドは1.5㎝角に切る。青ジソは縦半分に切り、横に細切りにする。クルミはローストして粗めに刻む。
2.ボウルに1を入れ、オリーブオイルをまわしかけてから、酢、粗塩を加えて、ボウル全体を振り、アボカドの角がとれ、全体に馴染むように混ぜる。実山椒をミルで挽く。
3.塩レモンとミントのミルクアイス
〈材料〉作りやすい分量
牛乳…500㎖
コンデンスミルク…80g
スペアミント…15g
-
〈作り方〉
1.鍋に牛乳、コンデンスミルク、ミントを入れて弱火にかけてフツフツとしてきたら火を止め、フタをして2分ほど蒸らす。
2.バットに1を漉して、粗熱が取れたら冷凍庫で凍らせる。途中、フォークでほぐすか、フードプロセッサーにかけて、攪拌し、細かく切った塩レモン(*)を加えて混ぜ、再び軽く凍らせる。
*レモン1/4個(約25g)を薄切りにし、塩2.5g(レモンの10%)を加えて2~3日漬けておいたもの。


渡辺有子先生
わたなべ・ゆうこ/東京都生まれ。料理家。スタジオ「FOOD FOR THOUGHT」にて、料理教室や食にまつわるイベントを開催。東京・代々木上原と西荻窪で、同名の器店をディレクション。作家ものの器や食まわりの商品を扱う。『料理と私』(晶文社)、『渡辺有子の家庭料理』(主婦と生活社)など著書多数。旬の素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評があり、いつまでも初心者気分でいつづける生徒・吉田直子にも、懇切丁寧に料理を教える。

吉田直子生徒
よしだ・なおこ/東京都生まれ。ライター。冠婚葬祭で使う小物とジュエリーのブランド〈シュオ〉のディレクター、ファッションブランドのプレスを務めるなど、フレキシブルに働く1 児の母。2019年、絵本『こっぷんとかっぷん』(絵・よこやまかんた/若芽舎)を刊行。2020年には蒼井優の著書『今日もかき氷【進化版】』(マガジンハウス)の編集を手がける。渡辺有子の料理教室で毎月記事をまとめているが、いまだに作るよりも食べることを好む。
photo : Wakana Baba text : Naoko Yoshida