&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート。

「彩り良い春のパスタ」。渡辺有子の料理教室2年目4月April 12, 2025

料理家の渡辺有子さんが先生に、ライターの吉田直子さんが生徒に。本誌で連載中の「&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート」がWebでも読めるようになりました。2年目4月のテーマは、「彩り良い春のパスタ」。3つのレシピを紹介します。

渡辺有子の料理教室 名残の春野菜と、空豆やミントの初夏の先取りを一緒に楽しむ。
名残の春野菜と、空豆やミントの初夏の先取りを一緒に楽しむ。

彩り良い春のパスタ。

先生:店先に春野菜がたくさん並ぶようになって、町も緑に溢れてワクワクするわね。

生徒:大好物のトマトも赤々として可愛くて、見ると手に取らずにはいられません!

先生:その気持ちよくわかるわ~。私もプリプリした空豆を見ると必ず買ってしまうの。

生徒:野菜の話をしているときになんですが、春になって猛烈に炭水化物が食べたくて!

先生:直子さん、あなたの食欲満たしましょう。今回は春野菜で作るパスタの教室です。

生徒:ワオ~。おいしいパスタをサッと作れたら、女っぷりも上がりそうです。

先生:お湯を沸かす間にほぼできるわよ。

生徒:どういうことですか!?

先生:お湯を沸かしている間にソースを作ったら、あとは麺を茹でて和えるだけだもの。

生徒:そんなに手際よくいくのかなぁ~。

先生:「シンプルなトマトスパゲッティ」から作りましょう。鍋でお湯を沸かし始めたら、別の鍋にオリーブオイル、ニンニク、鷹の爪を加えて弱火にして、香りが出るまで待ちます。次にミニトマトとトマトの水煮を加えて、残りのオリーブオイルと茹で汁、粗塩を入れて、イタリアンパセリを加えます。

生徒:生のミニトマトも入れるんですね。

先生:そのほうがソースにフレッシュさが出るの。あとは茹でたパスタをソースと絡めて、黒胡椒をふったら完成です。コツはオイルをたっぷり使うこと。これによってソースの熱さが保てるし、とろみもつきます。あとはトマトをあまり煮すぎないことです。

生徒:ちょっと味見させてください。ああ、トマトのおいしさがまっすぐ届きました。

先生:食べたら次にいきますよ~。「グリーンピースとバターミントのパッケリ」です。

生徒:パッケリって何ですか?

先生:ナポリ発の大きなマカロニのことです。野菜や魚介のソースと相性がいいの。まず、鍋にバターを溶かして、新玉ネギとアンチョビを炒めます。別の鍋で沸かしておいたお湯にパッケリを入れて、茹で時間残り3分になったらグリーンピースを投入。新玉ネギとアンチョビの中に、パッケリ、グリーンピース、オリーブオイルを入れて和えるだけです。

生徒:新玉ネギって、春の甘味の贈り物って感じですね!

先生:直子さん名付けたわね~。では最後のひと皿「タコと空豆のオイルパスタ」です。手打ちパスタのような雰囲気を出したくて、ラザニアパスタを使ってみることを思いつきました。シート状のものを割って使うの。

生徒:先生は発明家。

先生:タコを一口大に切り、空豆はサヤから出して薄皮をむきます。お湯の中に、割ったラザニアパスタ、茹で上がり2分前に空豆、20秒前にタコを加えてサッと茹でます。これらをお皿に盛ったら、あとはテーブルで仕上げます。オリーブオイルをかけて粗塩をふり、チーズを削って、木の芽を叩いて加えたら完成。スプーンで麺と具を一緒に味わってね。

生徒:あぁ、確かに手打ち感がありますね。具もパスタもプリプリの茹で加減〜。

先生:うふふ。これには私も“閃いた”と思ったわ。空豆の代わりにアスパラを使ってもおいしいですよ。ポイントはお湯をきりすぎないこと。ザッと湯きりするくらいでいいの。パスタって簡単で楽しいでしょう。

生徒:何はともあれ湯を沸かそう!

1.シンプルなトマトスパゲッティ

渡辺有子の料理教室 シンプルなトマトスパゲッティ
渡辺有子の料理教室 シンプルなトマトスパゲッティ
トマトはコトコト煮詰めず、ミニトマトのフレッシュな味わいを生かす。
渡辺有子の料理教室 シンプルなトマトスパゲッティ
イタリアンパセリを加えてから、茹で上がったパスタをソースに投入。

    〈材料〉2人分

    ミニトマト…10個 
    トマト水煮…300g 
    スパゲッティ(太めロングパスタ)…160g 
    ニンニク…1/2かけ 
    鷹の爪…1本 
    イタリアンパセリ…4本 
    オリーブオイル…大さじ3 
    粗塩、黒胡椒…各適量
    〈作り方〉
    1.鍋にたっぷりのお湯を沸かし、塩(分量外)を加えてパスタを茹で始める。

    2.ミニトマトはヘタを取って半分に切る。ニンニクはつぶし、鷹の爪は種を取り出す。イタリアンパセリは葉を摘んで、粗めのみじん切りにする。

    3.鍋にオリーブオイル(大さじ2)、ニンニク、鷹の爪を入れて弱火にかけ、香りがしてきたらミニトマトを入れざっと炒め、トマト水煮を加えて、途中で残りのオリーブオイル(大さじ1)と茹で汁(大さじ2)も加え、粗塩で味を調えて、全体で8分ほど火を入れる。最後にイタリアンパセリを加える。

    4.茹で上がったパスタを(茹で汁をきりすぎないように)3の鍋に入れ、ソースを全体に絡める。

    5.温めた皿に盛り、黒胡椒をふる。

2.タコと空豆のオイルパスタ

渡辺有子の料理教室 タコと空豆のオイルパスタ
渡辺有子の料理教室 タコと空豆のオイルパスタ
シート状のラザニアパスタは手でパリパリ割ってから茹でる。
渡辺有子の料理教室 タコと空豆のオイルパスタ
パスタが茹で上がる前に空豆を、最後にタコを加えて茹でる。鍋ひとつでできる。

    〈材料〉2人分

    茹でタコ…120g 
    空豆…8本(約24粒) 
    ラザニアパスタ…4枚(80g) 
    オリーブオイル…大さじ2 
    粗塩…適量 
    パルミジャーノ…適量 
    木の芽…8枚
    〈作り方〉
    1.鍋にたっぷりの湯を沸かし始める。

    2.茹でタコは4㎝長さに切り、縦に薄切りにする。空豆はサヤから出し、薄皮をむく。ラザニアパスタはひと口大に割る。

    3.沸いた湯に塩(分量外)を入れ、ラザニアパスタを表示時間通りに茹でる。茹で上がり2分前で、空豆を加え、残り20秒で茹でタコも加える。

    4.温めた器に3をすくい入れ、オリーブオイルをまわしかけ、粗塩をかるくふる。パルミジャーノを削り、たっぷりふる。木の芽を手で叩き、香りを出して散らす。

3.グリーンピースとバターミントのパッケリ

渡辺有子の料理教室 グリーンピースとバターミントのパッケリ
渡辺有子の料理教室 グリーンピースとバターミントのパッケリ
新玉ネギは焦げないようにじっくり炒めて甘味を引き出す。
渡辺有子の料理教室 グリーンピースとバターミントのパッケリ
鍋に茹で上がった具材を加える。この時、茹で汁も少し入るくらいがよい。

    〈材料〉2人分

    グリーンピース…(正味)130g 
    パッケリ…120~140g 
    新玉ネギ…1/2個 
    バター…20g 
    アンチョビ…4切れ 
    ミント…1/3パック 
    オリーブオイル…大さじ1 
    粗塩…適量
    〈作り方〉
    1.鍋にたっぷりの湯を沸かし始める。グリーンピースはサヤから出し、新玉ネギはみじん切りにする。

    2.鍋にバターを溶かし、新玉ネギを加えて焦げないようによく炒め、アンチョビを加え、さらに炒める。

    3.沸いた湯に塩(分量外)を加えパッケリを表示時間通りに茹でる。茹で上がり3分前でグリーンピースを加える。

    4.茹で上がったら2の鍋にパッケリとグリーンピースを(茹で汁をきりすぎないように)加えて、オリーブオイルをまわしかけ、全体にソースを絡ませる。粗塩をふって味を調える。

    5.温かい皿に盛り、ミントの葉を散らす。

渡辺有子の料理教室 パスタ、空豆、タコを順に茹で、チーズと粗塩で仕上げるだけの「タコと空豆のオイルパスタ」。
パスタ、空豆、タコを順に茹で、チーズと粗塩で仕上げるだけの「タコと空豆のオイルパスタ」。
渡辺有子

渡辺有子先生

わたなべ・ゆうこ/東京都生まれ。料理家。スタジオ「FOOD FOR THOUGHT」にて、料理教室や食にまつわるイベントを開催。東京・代々木上原と西荻窪で、同名の器店をディレクション。作家ものの器や食まわりの商品を扱う。『料理と私』(晶文社)、『渡辺有子の家庭料理』(主婦と生活社)など著書多数。旬の素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評があり、いつまでも初心者気分でいつづける生徒・吉田直子にも、懇切丁寧に料理を教える。

吉田直子

吉田直子生徒

よしだ・なおこ/東京都生まれ。ライター。冠婚葬祭で使う小物とジュエリーのブランド〈シュオ〉のディレクター、ファッションブランドのプレスを務めるなど、フレキシブルに働く1 児の母。2019年、絵本『こっぷんとかっぷん』(絵・よこやまかんた/若芽舎)を刊行。2020年には蒼井優の著書『今日もかき氷【進化版】』(マガジンハウス)の編集を手がける。渡辺有子の料理教室で毎月記事をまとめているが、いまだに作るよりも食べることを好む。

photo : Wakana Baba text : Naoko Yoshida

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