&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート。
「柔らかな春野菜を中華で楽しむ」。渡辺有子の料理教室2年目3月March 08, 2025
料理家の渡辺有子さんが先生に、ライターの吉田直子さんが生徒に。本誌で連載中の「&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート」がWebでも読めるようになりました。2年目3月のテーマは、「柔らかな春野菜を中華で楽しむ」。3つのレシピを紹介します。

柔らかな春野菜を中華で楽しむ。
先生:長かった冬も終わり、だんだん春の気配を感じられるようになりましたね。
生徒:春の野菜といえば菜の花ですかね?
先生:スナップエンドウや絹サヤも甘味が増しておいしくなるの。今日は、そんな旬の野菜を使った中華料理を作りますよ。
生徒:そうと決まればお酒は紹興酒を買っておかねば、です!
先生:直子さん、名案よ。中華料理を作るのに紹興酒は1本あるとすごく便利なの。日本酒でもおいしくなりますが、紹興酒を使うと中華ならではの香りが出せるんです。
生徒:飲みつつ、料理酒にもなり……。
先生:魚にネギと生姜をのせて蒸すだけ、みたいな簡単料理のときも活躍するの。では「豚肉の豆豉蒸し」から作っていきますよ~。
生徒:豚肉は前日に下味をつけるんですね。
先生:まず2~3分下茹でした豚肉の水気を拭いて軽く塩をふります。豆豉、甜麺醤、醤油、紹興酒、八角と一緒に保存袋に入れて、よく揉み込んでから冷蔵庫で一晩。この状態のものを蒸すだけなの。
生徒:しかも豚スペアリブ。おいしそ~。
先生:アスパラは硬い部分を切り落として、下の方はピーラーで皮をむいてから斜め薄切り。長ネギの白い部分も斜め薄切りに。豆苗は根を切り落として長さ3等分に切ります。豚スペアリブをお皿にのせて長ネギを散らし、蒸し器で30分蒸しましょう。
生徒:たっぷりのお湯で蒸さないと、あっという間に鍋がカラカラになりますね!
先生:蒸気がしっかり上がってから蒸し始めてね。その間に和えものを作りますよ。
生徒:「干し豆腐の香り和え」ですね!
先生:干し豆腐は細切りにして、干しエビはお湯で戻して水気をきり、脚を取ります。
生徒:あの小さな脚を取るんですか?
先生:口当たりが良くなるの。スナップエンドウはスジを取って、茹でたらザルに広げ、冷めたらサヤを開いて斜め半分に。絹サヤも同じように冷まして斜め半分に切ります。香菜は葉を摘んで、茎は小口切りに。香菜の葉以外の食材をボウルに入れて、胡麻油を加えたらボウルを軽く振りましょう。醤油、きび砂糖、塩を合わせたものを加えて和え、香菜の葉を入れてさっと和えたら完成です。
生徒:アサリの砂抜きもばっちりです~。
先生:それでは「アサリと菜の花の炒め蒸し」を作りましょう。菜の花は長さ4等分にして、茎の硬い部分だけ縦半分に切ります。新玉ネギはくし形切りに。プチヴェールは縦半分に切り、ニンニクはつぶしておきます。
生徒:こういう準備をしっかりやれば、私もテンポよく料理できるようになるのかな。
先生:なるわよ~。フライパンに胡麻油を熱して、ニンニクと赤唐辛子を加えて香りが出たらアサリと新玉ネギを加えてざっと炒めます。紹興酒をふってフタをして、アサリが開くまで3分ほど蒸します。菜の花の茎を加えてから葉とプチヴェールを入れて、フタをして1分蒸らします。味付けはアサリの塩気だけなので、足りなかったら塩で味を調えてね。さて、豚スペアリブはどう?
生徒:蒸し始めてから30分経ちました!
先生:そうしたらアスパラと豆苗をのせて、軽く塩をふって、2分蒸して完成です。今日の中華は3品ともいくらでも入るわよ。
生徒:紹興酒、常温でお願いします~。
1.豚肉の豆豉蒸し
〈材料〉2〜3人分
豚スペアリブ…600g
アスパラ…4本
長ネギ…1本
豆苗…1パック
塩…適量
豆豉…30g
甜麺醤…大さじ1
醤油…小さじ2
紹興酒…大さじ1
八角…1個
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〈作り方〉
1.豚スペアリブは沸騰した湯に入れて2〜3分下茹でする。水気を拭き、全体に軽く塩をふる。
2.1を豆豉、甜麺醤、醤油、紹興酒、八角とともに保存袋に入れて揉み込み、冷蔵庫で一晩漬ける。
3.アスパラは硬い部分を切り落とし、下の方はピーラーで皮をむき、斜め薄切りにする。長ネギの白い部分も斜め薄切りにする。豆苗は根の部分を切り落とし、長さ3等分に切る。
4.漬け込んだスペアリブを皿にのせ、長ネギを散らして蒸気のしっかり上がった蒸し器で30分蒸す。アスパラ、豆苗をのせ、上から軽く塩をふって、さらに2分蒸す。
2.アサリと菜の花の炒め蒸し
〈材料〉2〜3人分
アサリ…300g
菜の花…1束
新玉ネギ…1個
プチヴェール…8個
ニンニク…1/2かけ
胡麻油…小さじ1
赤唐辛子…1本
紹興酒…大さじ2
塩…適宜
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〈作り方〉
1.アサリは塩水に浸けて砂抜きする。菜の花は洗って水に放ち、長さ4等分にして茎の硬い部分は縦半分に切る。新玉ネギは1.5㎝幅のくし形切りにする。プチヴェールは縦半分に切る。ニンニクはつぶす。
2.フライパンに胡麻油を熱し、ニンニク、赤唐辛子を加えて香りが出てきたら、アサリ、新玉ネギを加えてざっと炒め、紹興酒をふってフタをしてアサリが開くまで3分ほど蒸す。
3.菜の花の茎を加えてさっと炒め、葉の部分とプチヴェールを加え、フタをして1分蒸らす。味付けはアサリの塩気のみなので、足りなければ塩を加えて味を調える。
3.干し豆腐の香り和え
〈材料〉作りやすい分量(4人分)
干し豆腐…2個
干しエビ…30g
スナップエンドウ…8個
絹サヤ…10個
香菜…1束
胡麻油…大さじ1
醤油…大さじ1と1/3
きび砂糖…小さじ2
塩…ひとつまみ
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〈作り方〉
1.干し豆腐は細切りにする。干しエビは湯で戻し、水気をきって脚は取り除く。スナップエンドウはスジを取り、2分茹でてからザルに広げ、冷めたらサヤを開き、斜め半分に切る。絹サヤはスジを取り、1分茹でてザルに広げ、冷めたら斜め半分に切る。香菜は葉を摘み、茎の部分は小口切りに。
2.ボウルに香菜の葉以外の1を入れ、胡麻油を加えて全体を和える。
3.醤油、きび砂糖、塩を合わせて混ぜたものを2に加えよく和える。香菜の葉を加えてさっと和える。


渡辺有子先生
わたなべ・ゆうこ/東京都生まれ。料理家。スタジオ「FOOD FOR THOUGHT」にて、料理教室や食にまつわるイベントを開催。東京・代々木上原と西荻窪で、同名の器店をディレクション。作家ものの器や食まわりの商品を扱う。『料理と私』(晶文社)、『渡辺有子の家庭料理』(主婦と生活社)など著書多数。旬の素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評があり、いつまでも初心者気分でいつづける生徒・吉田直子にも、懇切丁寧に料理を教える。

吉田直子生徒
よしだ・なおこ/東京都生まれ。ライター。冠婚葬祭で使う小物とジュエリーのブランド〈シュオ〉のディレクター、ファッションブランドのプレスを務めるなど、フレキシブルに働く1 児の母。2019年、絵本『こっぷんとかっぷん』(絵・よこやまかんた/若芽舎)を刊行。2020年には蒼井優の著書『今日もかき氷【進化版】』(マガジンハウス)の編集を手がける。渡辺有子の料理教室で毎月記事をまとめているが、いまだに作るよりも食べることを好む。
photo : Wakana Baba text : Naoko Yoshida