&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート。

「湯気でしっとり冬のスープ」。渡辺有子の料理教室2年目2月February 08, 2025

料理家の渡辺有子さんが先生に、ライターの吉田直子さんが生徒に。本誌で連載中の「&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート」がWebでも読めるようになりました。2年目2月のテーマは、「湯気でしっとり冬のスープ」。3つのレシピを紹介します。

渡辺有子の料理教室 生姜やネギのような香味野菜は体を温めてくれる強い味方。冬野菜の代表、カリフラワーはポタージュに。
生姜やネギのような香味野菜は体を温めてくれる強い味方。冬野菜の代表、カリフラワーはポタージュに。

湯気でしっとり冬のスープ。

先生:冬が終わりそうで終わらないわね〜。好きな季節ではあるけど、喉や肌の乾燥がね。

生徒:風邪をひかないためには、まめに水分補給するのがいいって言いますよね。先生はすぐ「お茶にしましょう」と言ってくれるので、私も教室に来ると体調が整うんです。

先生:あら直子さん。弱り気味なの?

生徒:なんか昨日から喉が……。

先生:ちょうどいいわ。今日はスープを2品作るので、湯気で部屋の空気もしっとり。喉にも体にも優しい料理教室ですよ。

生徒:しっかり学んで帰ります!

先生:「冬キャベツと豚肉の蒸しスープ」から作っていきましょう。冬キャベツは1枚ずつはがして、長ネギは1㎝幅の斜め切りにします。豚バラ肉は5〜6㎝の長さに切って、塩、酒、片栗粉をふっておきましょう。片栗粉は肉をつるりとした食感にしてくれるのよ。生姜はすりおろしておいてね。

生徒:なんだかお鍋が作れそうですね!

先生:そうなのよ〜。鍋に長ネギを敷いて、キャベツ、豚バラ肉を半量ずつ重ねます。これをもう一度繰り返して、キャベツでフタをします。水を加えて粗塩もふりましょう。キャベツの上に生姜ものせますよ。

生徒:見ているだけであったまりそう。

先生:鍋肌に胡麻油をまわしかけたらフタをして、弱火で30分蒸し煮にします。コトコトしてる間にもう一品。「カリフラワーと白味噌のポタージュ」を作りましょう。

生徒:ポタージュに白味噌!?

先生:すごく合うのよ〜。カリフラワーは小房にして、洗ってザルにあげます。玉ネギは縦半分にしてから横に薄切りにしてね。まず鍋にバターを溶かして玉ネギをしんなりするまで炒めます。次にカリフラワーをざっと炒めて、粗塩をふってフタをし、弱火で5分蒸します。鰹だしを注いだら、またもう一度フタをして20分煮ましょう。

生徒:鰹だしに白味噌。だけど和じゃないんですよね?

先生:そうで〜す。白味噌は、お肉を漬け込んだり、和え物にしたり、いろいろ活用できるのよ。鍋に白味噌を溶かしたら火を止めて、ハンディブレンダーなどでなめらかにします。空気を入れるように泡立てると軽い口当たりに仕上がるの。最後に塩味をみて、水で濃度を調整してね。寒いときはトロッと、暖かくなってきたらサラッと仕上げるのがお勧めです。ブレンダーにかけたばかりのふわっとした状態で盛り付けるのもポイントよ。カリフラワーの代わりに里芋で作ってもおいしいの。

生徒:やった。里芋なら家にあるはず!

先生:「レンズ豆と小松菜の温サラダ」も作りましょう。レンズ豆は沸騰した湯で20分下茹でしてザルにあげておきます。赤玉ネギはみじん切り、小松菜は2㎝長さ、ドライトマトは2〜3等分、パンチェッタは8㎜幅の棒状に切ります。鍋にオリーブオイルを熱して、赤玉ネギ、パンチェッタ、ドライトマトを炒めましょう。レンズ豆を加えてざっと混ぜたら、赤ワインビネガーと粗塩をふり、フタをして弱火で5分ほど蒸します。上下を返すように混ぜたら、小松菜を加えてさらに5分蒸し煮にします。最後に黒胡椒をふって、ポーチドエッグをのせたら完成です。卵を崩して、サラダを混ぜながら食べるとおいしいの。

生徒:厨房の湯気ですっかり潤いました〜。

1.冬キャベツと豚肉の蒸しスープ

渡辺有子の料理教室 冬キャベツと豚肉の蒸しスープ
渡辺有子の料理教室 冬キャベツと豚肉の蒸しスープ
この鍋は材料の重ね方が大切。野菜と肉で層を作り、野菜の水分で蒸す。
渡辺有子の料理教室 冬キャベツと豚肉の蒸しスープ
一番上にはキャベツを。最後にのせる生姜と、ぐるりとかけた胡麻油が味の要に。

    〈材料〉作りやすい分量

    冬キャベツ…1/2個 
    長ネギ…1本 
    豚バラ肉…180g 
    塩…適量 
    酒…大さじ2 
    片栗粉…小さじ2 
    生姜…2かけ 
    水…50㎖ 
    粗塩…適量 
    胡麻油…大さじ1
    〈作り方〉
    1.冬キャベツは1枚ずつはがし、長ネギは1㎝幅の斜め切りにする。豚バラ肉は5~6㎝の長さに切り、塩、酒、片栗粉をふっておく。生姜はすりおろす。

    2.鍋に長ネギを敷き、キャベツ、豚バラ肉を半量ずつ重ねる。これをもう一度繰り返し、最後にキャベツでフタをする。分量の水を注ぎ、粗塩をふる。上におろした生姜をのせる。

    3.鍋肌に胡麻油をまわしかけ、フタをして弱火で30分蒸し煮にする。

    4.食べやすい大きさに切り分ける。

2.カリフラワーと白味噌のポタージュ

渡辺有子の料理教室 カリフラワーと白味噌のポタージュ
渡辺有子の料理教室 カリフラワーと白味噌のポタージュ
旨味のもとの玉ネギをじっくり炒め、透明になった頃にカリフラワーを加える。
渡辺有子の料理教室 カリフラワーと白味噌のポタージュ
ハンディブレンダーでしっかり撹拌することでなめらかなポタージュに仕上がる。

    〈材料〉作りやすい分量

    カリフラワー…1/2個 
    玉ネギ…1/2個 
    バター…20g 
    粗塩…小さじ1/2 
    鰹だし…400㎖ 
    白味噌…大さじ3 
    塩…適量 
    水…100~150㎖(濃度の調整用)
    〈作り方〉
    1.カリフラワーは小房にして水で洗い、ザルにあげておく。玉ネギは縦半分にし、横に薄切りにする。

    2.鍋にバターを溶かし、玉ネギを加えてしんなりするまで炒め、カリフラワーを加えてざっと炒めたら粗塩をふる。フタをして弱火で5分蒸し、鰹だしを注ぎ、さらに20分フタをして煮る。

    3.白味噌を加えて溶かしたら、火を止める。ハンディブレンダーなどでなめらかにする。この際、よく泡を立て、空気を入れると軽い口当たりになる。塩で味を調え、濃度は、水でのばして調整する。

3.レンズ豆と小松菜の温サラダ

渡辺有子の料理教室 レンズ豆と小松菜の温サラダ
渡辺有子の料理教室 レンズ豆と小松菜の温サラダ
材料を一度に入れず、順番に炒めていくことで、それぞれの旨味を引き出す。
渡辺有子の料理教室 レンズ豆と小松菜の温サラダ
ポーチドエッグは、酢を入れた湯に対流を作り、卵を落として形成する。

    〈材料〉作りやすい分量

    レンズ豆(乾燥)…100g 
    赤玉ネギ…1/4個 
    小松菜…1/2束 
    ドライトマト…20g 
    パンチェッタ…50g 
    オリーブオイル…適量 
    赤ワインビネガー…大さじ1と1/2 
    粗塩…適量 
    黒胡椒…適量 
    酢…大さじ4 
    卵…2個
    〈作り方〉
    1.レンズ豆は洗って水から茹で、沸騰してから20分下茹でし、ザルにあげる。赤玉ネギはみじん切り、小松菜は2㎝長さに切る。ドライトマトは硬ければ水で戻してから2〜3等分に切る。パンチェッタは8㎜幅の棒状に切る。

    2.鍋にオリーブオイルを熱し、赤玉ネギを炒める。パンチェッタ、ドライトマトを加えてさらに炒める。水気をきった1のレンズ豆を加えてざっと混ぜ、赤ワインビネガー、粗塩をふり、フタをして弱火で5分ほど蒸す。

    3.上下を返すように混ぜ、小松菜を加えてさらに5分蒸し煮にする。黒胡椒をふる。

    4.別の鍋にお湯(1ℓ)を沸かし、酢を加える。卵を小さめのボウルに割り入れ、湯をかき混ぜてから中央に静かに落とす。菜箸で白身の上部をつかむようにし、くるくる回転させ、形を整える。1分半~2分茹でる。

    5.器に3を盛り、4のポーチドエッグを上にのせる。

渡辺有子の料理教室 「レンズ豆と小松菜の温サラダ」は「カリフラワーと白味噌のポタージュ」と相性抜群。付け合わせのパンも、蒸してしっとり仕上げる。
「レンズ豆と小松菜の温サラダ」は「カリフラワーと白味噌のポタージュ」と相性抜群。付け合わせのパンも、蒸してしっとり仕上げる。
渡辺有子

渡辺有子先生

わたなべ・ゆうこ/東京都生まれ。料理家。スタジオ「FOOD FOR THOUGHT」にて、料理教室や食にまつわるイベントを開催。東京・代々木上原と西荻窪で、同名の器店をディレクション。作家ものの器や食まわりの商品を扱う。『料理と私』(晶文社)、『渡辺有子の家庭料理』(主婦と生活社)など著書多数。旬の素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評があり、いつまでも初心者気分でいつづける生徒・吉田直子にも、懇切丁寧に料理を教える。

吉田直子

吉田直子生徒

よしだ・なおこ/東京都生まれ。ライター。冠婚葬祭で使う小物とジュエリーのブランド〈シュオ〉のディレクター、ファッションブランドのプレスを務めるなど、フレキシブルに働く1 児の母。2019年、絵本『こっぷんとかっぷん』(絵・よこやまかんた/若芽舎)を刊行。2020年には蒼井優の著書『今日もかき氷【進化版】』(マガジンハウス)の編集を手がける。渡辺有子の料理教室で毎月記事をまとめているが、いまだに作るよりも食べることを好む。

photo : Wakana Baba text : Naoko Yoshida

Pick Up 注目の記事

Latest Issue 最新号

Latest Issuepremium No. 136台湾でしたいこと。2025.02.20 — 980円