&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート。

「寒い季節の前菜と煮込み」。渡辺有子の料理教室2年目1月January 11, 2025

料理家の渡辺有子さんが先生に、ライターの吉田直子さんが生徒に。本誌で連載中の「&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート」がWebでも読めるようになりました。2年目1月のテーマは、「寒い季節の前菜と煮込み」。2つのレシピを紹介します。

渡辺有子の料理教室 旬の冬野菜や果物を使って、しっとり冬らしい前菜と煮込み料理を作ります。
旬の冬野菜や果物を使って、しっとり冬らしい前菜と煮込み料理を作ります。

寒い季節の前菜と煮込み。

先生:今月からこの教室も2年目ですね。寒いわね~。外に出ると体がこわばって、筋肉痛みたいになっている日もなあい?

生徒:実のところ、今日は先生の教室に心身をほぐしに来たのです。食卓を囲むだけでホッとできるメニューを教えてください!

先生:はいっ。冷え切ったみなさんのために煮込み料理のレシピを考えました。もう一品は、煮込みとの相性がいいクスクスのサラダですよ。作り置いてもおいしいの。

生徒:バンザーイ。

先生:それでは「スペアリブと果物の煮込み」から作っていきましょう。常温においておいた豚スペアリブに粗塩をすり込んで、黒胡椒と赤ワインビネガーをふって、20分マリネしておきます。お酢の効果でお肉が軟らかくなるし、さっぱり仕上がるの。

生徒:肉に塩をすり込むの好きなんです。

先生:ならば直子さんにおまかせして、私は野菜を切っていきますね。レンコンは皮つきのまま3㎝大に切り、酢水にさらしておきます。ジャガイモも皮つきのまま半分に切って水にさらしてね。小玉ネギは皮をむいて、芽キャベツは芯の部分に十字に切れ目を入れます。リンゴは一口大に、オレンジは皮をむいて一口大に切りましょう。

生徒:野菜ゴロゴロですね。うれしい~。

先生:次に豚スペアリブを焼きますよ。厚手の鍋をよく熱しておくと肉が鍋にくっつかないの。ほんのちょっとのオリーブオイルでニンニクを炒めます。しつこくならないように、香りが出たらニンニクは取り出します。豚スペアリブを強火で焼き付けたらマリネ液も入れて、さらに粗塩をふりましょう。

生徒:つづいては何を入れますか?

先生:まずレーズンをお肉の近くに置いてね。あとは切った野菜とリンゴ、オレンジ。最後にローリエをのせたら赤ワインを注いでフタをして、弱火で1時間煮込みます。

生徒:オレンジは、冬になると箱買いしているミカンでも代用できますか? 

先生:甘味だけじゃなく酸味もあるミカンなら大丈夫。この料理は、野菜と果物とドライフルーツを入れるというポイントさえ押さえてくれれば、何を入れてもいいの。

生徒:なんとも懐の深い料理です。

先生:さあ、クスクスを使った「冬野菜のタブレ」も作っていきましょう。

生徒:あの~。

先生:ズバリ、タブレって何かっていう質問ね。フランスやモロッコで食べられているクスクス入りのサラダのことを言うの。

生徒:覚えておくと自慢できそう!

先生:カリフラワーは細かく切り、カブは皮をむき、半分に切って薄切りにして塩でなじませます。春菊は1㎝の長さに、ロースハムは1㎝角に切る。ボウルにクスクス、塩少々、オリーブオイルをふり、熱湯を注いでフタをして7分蒸らし、スプーンで混ぜてほぐします。カブを塩もみにするのは、カリフラワーとの食感の違いを出したいからなの。

生徒:それにしても、クスクスそのものの仕込みって思いのほか簡単なんですね。

先生:先に塩とオリーブオイルをふるのがコツよ。切った具材とちりめんじゃこ、ケイパーをクスクスと混ぜてオリーブオイルをまわしかけ、粗塩をふって和えてね。

生徒:煮込みを待ちながらいただきます~。

1.冬野菜のタブレ

渡辺有子の料理教室 冬野菜のタブレ
渡辺有子の料理教室 冬野菜のタブレ
クスクスの下準備は塩とオリーブオイルと熱湯を入れて蒸らすだけ。手間いらず。
渡辺有子の料理教室 冬野菜のタブレ
カブはボウルをふって塩となじませる。塩もみが入るとサラダの食感が豊かに。
渡辺有子の料理教室 冬野菜のタブレ
クスクスとすべての具を混ぜる。カブは軽く水気をきってから加える。
渡辺有子の料理教室 冬野菜のタブレ
じゃことケイパーの塩気を考慮して、味を調える。生の春菊が良いアクセントに。

    〈材料〉2人分

    カリフラワー…1/8個(70g) 
    カブ…1個 
    春菊…3本 
    ロースハム…2枚 
    クスクス…50g 
    塩…適量 
    オリーブオイル…小さじ2+大さじ2
    熱湯…50㎖ 
    ちりめんじゃこ…大さじ2(10g) 
    ケイパー…小さじ2(10g)
    粗塩…適量
    〈作り方〉
    1.カリフラワーはポロポロになるくらいの細かさに切る。カブは皮をむき、半分に切って薄切りにし、塩少々でなじませておく。春菊は1㎝長さに切る。ロースハムは1㎝角に切る。

    2.ボウルにクスクス、塩少々、オリーブオイル(小さじ2)をふり、熱湯を注ぎフタをして7分蒸らす。蒸らし終わったらスプーンで混ぜてほぐす。

    3.クスクスに1とちりめんじゃこ、ケイパーを入れてざっと混ぜ、オリーブオイル(大さじ2)をまわしかけ、粗塩をふって和え、塩味を調える。

2.スペアリブと果物の煮込み

渡辺有子の料理教室 スペアリブと果物の煮込み
渡辺有子の料理教室 スペアリブと果物の煮込み
常温に戻した豚スペアリブを塩胡椒、赤ワインビネガーでマリネにしてから焼く。
渡辺有子の料理教室 スペアリブと果物の煮込み
肉の周りに野菜と果物とドライフルーツを。旨味や甘味が染み合いおいしくなる。
渡辺有子の料理教室 スペアリブと果物の煮込み
水分は少量の赤ワインのみ。あとは具材から出る水分だけで煮込む。フタも重要。
渡辺有子の料理教室 スペアリブと果物の煮込み
1時間弱火で煮込んだとろりとした状態。冷蔵庫で2〜3日は保存できる。

    〈材料〉2人分

    豚スペアリブ…400g 
    レンコン…120g 
    ジャガイモ(ミニ)…4個
    小玉ネギ…6個 
    芽キャベツ…6個 
    リンゴ…小1個 
    オレンジ…2個
    粗塩…適量 
    黒胡椒…適量 
    赤ワインビネガー…大さじ1と1/2 
    オリーブオイル…大さじ1/2 
    ニンニク…1/2かけ 
    レーズン…30g
    ローリエ…1枚 
    赤ワイン…60㎖ 
    チャービル…適量 
    ディル…適量
    サワークリーム…適量
    〈作り方〉
    1.豚スペアリブは常温におき、粗塩をすり込み、黒胡椒、赤ワインビネガーをふり、20分マリネしておく。

    2.レンコンは皮つきのまま3㎝大に切り、酢水(分量外)にさらす。ジャガイモは皮つきのまま半分に切って水にさらす。小玉ネギは皮をむく。芽キャベツは芯の部分に十字に切れ目を入れる。リンゴは一口大、オレンジは皮をむき、一口大に切る。

    3.厚手の鍋にオリーブオイルとニンニクを入れ熱し、香りが出たらニンニクを取り出す。豚スペアリブを両面、強火で焼き、マリネ液も入れ、粗塩をふる。

    4.レーズン、レンコン、ジャガイモ、小玉ネギ、芽キャベツ、リンゴ、オレンジ、ローリエをのせ、赤ワインを注ぎ、フタをして弱火で1時間煮込む。

    5.盛り付けの際に、チャービル、ディルと合わせたサワークリームを添える。

渡辺有子の料理教室 煮込み料理を鍋から皿に取り分けるのもテーブルの上で。ご馳走気分が高まります。
煮込み料理を鍋から皿に取り分けるのもテーブルの上で。ご馳走気分が高まります。
渡辺有子

渡辺有子先生

わたなべ・ゆうこ/東京都生まれ。料理家。スタジオ「FOOD FOR THOUGHT」にて、料理教室や食にまつわるイベントを開催。東京・代々木上原と西荻窪で、同名の器店をディレクション。作家ものの器や食まわりの商品を扱う。『料理と私』(晶文社)、『渡辺有子の家庭料理』(主婦と生活社)など著書多数。旬の素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評があり、いつまでも初心者気分でいつづける生徒・吉田直子にも、懇切丁寧に料理を教える。

吉田直子

吉田直子生徒

よしだ・なおこ/東京都生まれ。ライター。冠婚葬祭で使う小物とジュエリーのブランド〈シュオ〉のディレクター、ファッションブランドのプレスを務めるなど、フレキシブルに働く1 児の母。2019年、絵本『こっぷんとかっぷん』(絵・よこやまかんた/若芽舎)を刊行。2020年には蒼井優の著書『今日もかき氷【進化版】』(マガジンハウス)の編集を手がける。渡辺有子の料理教室で毎月記事をまとめているが、いまだに作るよりも食べることを好む。

photo : Wakana Baba text : Naoko Yoshida

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