&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート。
「やさしい冬のおもてなし」。渡辺有子の料理教室1年目12月December 14, 2024
料理家の渡辺有子さんが先生に、ライターの吉田直子さんが生徒に。本誌で連載中の「&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート」がWebでも読めるようになりました。1年目12月のテーマは、「やさしい冬のおもてなし」。3つのレシピを紹介します。
やさしい冬のおもてなし。
先生:この教室ももうすぐで丸一年。いよいよ寒くなってきたので今月はアレを作りますよ~。さて直子さん、何だと思う?
生徒:調理台に並ぶ材料は、ジャガイモに玉ネギに豚ひき肉。ズバリ、コロッケですね!
先生:そう思うでしょ? しかしながら正解は「マッシュポテトのグラタン」でした。
生徒:ハズレましたが小さい頃から大のグラタン好きです。ちなみにコロッケも……。
先生:良かった。こういうものはたっぷり作るほうがおいしいので、ドーンといくわよ。ジャガイモは軟らかくなるまで茹でて、しっかりつぶして牛乳でなめらかにします。
生徒:みじん切りにした玉ネギと豚ひき肉をバターでよく炒める……。ああ、ジャガイモと合わせて丸めてしまいたいっ。
先生:コロッケにしたい気持ちは抑えて、まずは塩胡椒で味を調えてちょうだいな。
生徒:はーい。次に鍋にバターを溶かして薄力粉を混ぜるんですね。頭の中もコロッケからグラタンにやっと移行してきました。
先生:鍋の中に牛乳を少しずつ注いで、薄力粉をペースト状にしていきます。こうするとソースがダマになりにくいからお勧めよ。
生徒:ホイッパーを使うとラクですね。これを機に、私も買ってみようかなぁ。
先生:ここまでできたら後は焼くだけ。まず耐熱皿にマッシュポテトを敷いて、きれいにならします。その上に炒めた玉ネギと豚ひき肉を敷き詰めて、つづいてソースをのせます。最後にチーズをふって、オーブンで15分から20分ほど焼きますよ。
生徒:幼少期のワクワク感が蘇ってきました。
先生:この間に付け合わせを作りましょう。
生徒:前回教わった「五色蒸し寿司」の酢バスを食べて、レンコンの魅力に開眼しました。「レンコンの香り和え」も気になります!
先生:今回のレシピは、あの酢バスの応用編よ。レンコンは皮をむいて、1・2㎝厚さの輪切りにしてから酢水にさらしておきます。お鍋に水と米酢を入れてフツフツしてから10分茹でてね。レンコンはある程度厚みをもたせたほうが、粘りやモチモチ感が出ておいしくなるの。大きいものは乱切りにしましょう。
生徒:切り方で味も変わる。有子先生の大事な教えのひとつであります。
先生:茹でている間に、「リンゴとディルのサラダ」を作りますよ。リンゴは皮も生かします。4等分にして芯を取り、長さを半分にしてから薄切りにします。ディルは柔らかい部分だけ使うので、茎から外しておいてね。
生徒:リンゴはどんな種類がいいですか?
先生:紅玉やジョナゴールド、紅ロマンなど、酸味の強いものが合いますよ。これから作るドレッシングとも馴染みがいいの。フレンチマスタード、オリーブオイル、白ワインビネガー、蜂蜜、粗塩を合わせましょう。
生徒:クリスマスカラーのサラダですね!
先生:ボウルにリンゴとディルを入れて、ドレッシングをまわしかけたら黒胡椒をふりますよ。レンコンも茹で上がったわよ~。湯をきったら熱いうちに柚子果汁を搾ってオリーブオイルと粗塩、実山椒をふって、柚子の皮をかけましょう。温かいうちに食べてね。
生徒:オーブンからはチーズの焼ける幸せな匂いが! グラタンも間もなく完成です。
先生:大皿から熱々を取り分けますよ~。
生徒:なんだか子どもに戻っちゃいそう!
1.マッシュポテトのグラタン
〈材料〉作りやすい分量
ジャガイモ…4個(約500g)
牛乳…60㎖+450㎖
玉ネギ…1/2個
バター…10g+40g
豚ひき肉…250g
ナツメグ…少々
塩、白胡椒…各適量
薄力粉…70g
チーズ …75g
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〈作り方〉
1.ジャガイモは皮をむいて半分に切って30分ほど茹でて、軟らかくなったらつぶして牛乳(60㎖)でなめらかにする。
2.玉ネギはみじん切りにする。バター(10g)で炒める。豚ひき肉も入れてよく炒め、ナツメグをふり、塩胡椒で味を調える。
3.鍋にバター(40g)を溶かし、薄力粉を混ぜ、牛乳(450㎖)を少しずつ注いでとろみのあるソースを作る。
4.耐熱皿に1、2を順に敷き、3をのせ、チーズをふってトースターか190℃のオーブンで15~20分焼く。
2.リンゴとディルのサラダ
〈材料〉2〜3人分
リンゴ…1個
ディル…4本
フレンチマスタード…小さじ2
オリーブオイル…大さじ1と1/3
白ワインビネガー…小さじ2
蜂蜜…小さじ1
粗塩…適量
黒胡椒…適量
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〈作り方〉
1.リンゴは皮つきのまま4等分に切って芯を除き、長さを半分にして薄切りにする。ディルは茎を除き、柔らかい部分だけにする。
2.フレンチマスタード、オリーブオイル、白ワインビネガー、蜂蜜、粗塩を合わせてよく混ぜ、ドレッシングを作る。
3.ボウルに1を入れ、2をまわしかけ、和えて、黒胡椒をふる。
3.
〈材料〉2人分
レンコン…300g
米酢…大さじ1
柚子果汁…小さじ2
オリーブオイル…大さじ2
粗塩…適量
実山椒…適量
柚子の皮…1/3個分
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〈作り方〉
1.レンコンは皮をむき、1.2㎝厚さの輪切りにして酢水(分量外)にさらす。
2.鍋に1と水(500㎖)と米酢を入れて、フツフツしてから10分茹でる。
3.湯を捨て、熱いうちに柚子果汁、オリーブオイル、粗塩、粗めに刻んだ実山椒をふって、柚子の皮を削る。
渡辺有子先生
わたなべ・ゆうこ/東京都生まれ。料理家。スタジオ「FOOD FOR THOUGHT」にて、料理教室や食にまつわるイベントを開催。東京・代々木上原と西荻窪で、同名の器店をディレクション。作家ものの器や食まわりの商品を扱う。『料理と私』(晶文社)、『渡辺有子の家庭料理』(主婦と生活社)など著書多数。旬の素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評があり、いつまでも初心者気分でいつづける生徒・吉田直子にも、懇切丁寧に料理を教える。
吉田直子生徒
よしだ・なおこ/東京都生まれ。ライター。冠婚葬祭で使う小物とジュエリーのブランド〈シュオ〉のディレクター、ファッションブランドのプレスを務めるなど、フレキシブルに働く1 児の母。2019年、絵本『こっぷんとかっぷん』(絵・よこやまかんた/若芽舎)を刊行。2020年には蒼井優の著書『今日もかき氷【進化版】』(マガジンハウス)の編集を手がける。渡辺有子の料理教室で毎月記事をまとめているが、いまだに作るよりも食べることを好む。
photo : Wakana Baba text : Naoko Yoshida