MOVIE 私の好きな、あの映画。
菊地凛子×磯村勇斗×岡野真紀子が語った映像業界の今とこれから。ケリング「ウーマン・イン・モーション」トーク特別動画が公開。December 06, 2024
3人それぞれの視点が交差する、特別なトークイベント。
第37回東京国際映画祭の公式プログラムとして、11月1日(金)に開催されたトークイベント「ウーマン・イン・モーション」。グローバル・ラグジュアリー・グループのケリングが主宰するこのプログラムは、文化と芸術の分野における女性の現在地を見つめ、認識を改めることを目的として、2015年から続けられている。今年は、俳優の菊地凛子さんと磯村勇斗さん、Netflixプロデューサーの岡野真紀子さんをゲストに交えて、映像業界における女性を取り巻く労働環境や課題、未来についてトークセッションが開催された。
『バベル』(2006年)で第79回アカデミー助演女優賞にノミネートされるなど海外作品へも多数参加する菊地さん、公開中の主演作『若き見知らぬ者たち』をはじめ多数の作品に出演し、男性という立場から女性を取り巻く環境を見つめてきた磯村さん、最新作となるNetflixシリーズ「さよならのつづき」も話題となり、演者ではなくプロデューサーとして作品制作をリードする岡野さん。それぞれの視点から語られる映像業界の今について意見が交わされていく。ファシリテーターを務めた映画評論家の立田敦子さんが#MeToo運動以降の映像業界の変化について投げかけたことをきっかけとして、国際的に導入が進む「インティマシー・コーディネーター」について、3人がともに経験した「リスペクト・トレーニング」の重要性について話が広がっていく。
映像業界が未来に向けて取り組む現場の改革。
「インティマシー・コーディネーター」とは、映画やテレビドラマなどの制作現場で、ヌードや身体的な接触、つまりインティマシー(親密な)シーンの撮影をサポートする専門的な人物のことだ。監督・プロデューサーと俳優との間に立ってコミュニケーションを仲介し、撮影にあたっての不安を解消する役割を果たす。Netflixが日本で初めてインティマシー・コーディネーターを採用したこともあり、「私がNetflixに入ってから、インティマシー・コーディネーターの方に相談しなかった作品はひとつもないです。私がインティマシー・シーンだと思わなくても、俳優さんは思うかもしれない」と岡野さんは語る。インティマシー・コーディネーターの入る現場を体験したという菊地さんと磯村さんも、「『大丈夫ですか。何かありませんか』と聞いてくれることで、心が軽くなる。(インティマシー・シーンを)きちんとデリケートなこととして捉える方がいるのは、とても必要なことだと思います」(菊地さん)、「細かいところまで寄り添って、話をしてくださる。安心してシーンに臨める」(磯村さん)と、自身の体験からその必要性に言及していた。
また、近年の映像業界のもうひとつの取り組みとして、スタッフや演者など立場の異なる人同士が、互いに思いやって円滑なコミュニケーションを取れるように指導をする「リスペクト・トレーニング」もある。出演者や制作スタッフの隔てなく全ての人が参加し、ハラスメントについて学びを深めるというもの。あらゆる問題について「話し合うこと」の重要性に言及していた菊地さんは「自分の目線だけでは気付かないようなハラスメントのリスクについて知ること」の重要性を説き、磯村さんも実際にトレーニングを受けた感想を「全員が一緒に受けることで、みんなが共通した意識を持っている。現場が変わっていくだろうなと感じました」とその効果について語る。
映像業界のこれまでと今を見つめ、未来に向けた変革と希望について熱く言葉が交わされたトークイベントの様子が、特別にムービーとして公開されている。
それぞれのキャリアや立ち位置、性別、経験を超えて、思いをひとつにこれからに向かっていくこと。それは映像業界だけでなく、あらゆる場面で求められていることかもしれない。貴重なトークの動画を、ぜひチェックしてみてほしい。