FOOD 食の楽しみ。

カリッと、ふわっと! うまく焼けたら、きっといい日に。最高のトースト。March 02, 2025

カリッと、ふわっと! うまく焼けたら、きっといい日に。最高のトースト。
家のトースターで十分おいしく焼き上がる。パン愛好家のひのようこさんいわく、「高温で短時間で焼き上げるのがコツ」。

焼き方、パンの買い方、バター選び。自分流にトーストを探求する楽しみ。

「おいしい食パンを買った日の翌朝は、目覚ましが鳴らなくても、自然と目が覚めるんです」

365日、一日たりともパンを欠かさず、探求の日々をおくるパン愛好家のひのようこさんは言う。トーストも”最高”を叶えるべく、パン選びから買い方、焼き方、楽しみ方までこだわり抜く。食パンには大きく分けてリッチでもっちりとした角食と、あっさりサクッとした山食があるが、「どちらにも、焼かずに食べるおいしさと、トーストしたときのおいしさがあるので、まるごと1本買ってきて、まずはそのままで、それからトーストに、いろいろアレンジして楽しんでいます」。

スライスする厚さも、その日の気分で変えている。薄めに切ってカリカリ感を楽しむか、厚切りでふんわり感を味わうか。厚みによって異なるおいしさに出合えるのも、トーストの楽しみだという。焼くときは、もっぱらオーブントースターで。

「焼き時間は、食パンの水分量によって違うので、目を離さず、高温で短時間で焼くと、表面はカリッ、中はもちっとした理想のトーストに。バターはあえて均一に塗らず、塊のままにして、温かいパンとバターのひんやり感を楽しむのが好きです」

近年はおいしい国産品が増えているので、バターの食べ比べも実践中。あおさやデュカを混ぜてフレーバーバターにしたり、カカオニブや塩昆布を重ねるなど、ひのさんのトーストの楽しみ方は無限だ。合わせるものも、コーヒーに限らず、「味噌汁とバタートーストの組み合わせも好き。パンも味噌も発酵食品同士、よく合うんです。最近はお抹茶と合わせるのにも凝っています」。

家で最高のトーストを焼く方法。

1.食パンは1本で買う。

2.食べる直前にパンを切る。

3.予熱したトースターで焼く。

4.溝がついたトレーで休ませる。

食パンは1本で買う。
1. 同じ食パンでも時間とともに味わいが変化し、厚さによってトーストの食感も変わる。「スライスされていないものを1本買ってくるのが正解。3日間ぐらいなら常温保存が可能。パンを劣化させるので、冷蔵保存は禁物。食べ切れないときは、スライスしてから一枚一枚ラップで包み、保存袋に入れて冷凍。トーストするときは解凍せずに焼いてOK」
食べる直前にパンを切る。
2. パンは乾燥や湿気が大敵。特に乾燥すると生地がパサついてしまうので、トーストする直前に好みの厚さにスライスするのがベスト。「断面のなめらかさも食感につながるので、刃渡りの長い波刃のパン専用ナイフはぜひ一本。パン好きなら、ナイフを入れるとつぶれてしまうようなやわらかい食パンもきれいに切れる電動のパンナイフがおすすめです」
予熱したトースターで焼く。
3. 手軽に、中は水分を残してもっちりと、表面をカリッと焼くにはオーブントースターが最適。「240℃前後で3~4分程度、あらかじめ庫内を温めて、短時間で焼くのがコツ。最初は蒸気で窓が曇りますが、1分もすると消えて焼き色がつき始めるので、そこからは目を離さず好みの焼き加減に。私は〈アラジン〉のグラファイトトースターを使っています」
溝がついたトレーで休ませる。
4. カリッと焼いたトーストは、溝がついたトレーやボードで休ませてから、皿へ。すぐに平らな皿に置くと、蒸気でむれて、せっかくカリッと焼いたパンがしんなりしてしまう。「私は溝がついたパン用のカッティングボードを利用していますが、最近は蒸気を逃がす溝がついたトースト専用のトレーやボードも。皿の縁に立てかけておくだけでも違います」

“カリッもちっ”と焼き上がる、おいしい食パン。

カリッと、ふわっと! うまく焼けたら、きっといい日に。最高のトースト。

(左から順に)
セントル ザ ベーカリー』 角食パン JP

食パン専門店が作る、国産小麦を使った大きめの角食。パンに弾力を生むグルテンが極めて強いとされる北海道美瑛町産のゆめちからを使用。湯種と液種で仕込んだ生地は、もっちりしっとりとした食感。「クラストが程よいやわらかさで、中身とのバランスがとてもいい。生クリームは使わず、バターミルクで練っているので、リッチすぎず、甘さも程よい」。1本¥1,080。
▷東京都中央区銀座1−2−1−1F ☎03−3562−1016 10:00〜19:00 無休

パン屋塩見』 食パン

都会のど真ん中で、自作の薪窯でパンを焼く店主、塩見聡史さんが作る山食。北海道産小麦を使用。栃木県産無農薬小麦の自家培養発酵種を主体に発酵させた滋味深い生地は、1本を8等分にスライスする厚めトーストがおいしい。「トーストすると際立つ、しっかりと厚みのあるクラストの力強い味わいは、薪窯ならでは」。1本¥918。
▷東京都渋谷区代々木3−9−5 ☎03−6276−6310 12:00~18:00 水木、第1・3火休 電話で予約可。

ナカガワ小麦店』 トースト・モンターニュ

京都の人気ベーカリーが焼く、シンプルで毎日食べても飽きがこない山食。「北米産有機小麦を100%使用。バターや牛乳など副材料は控えめに、湯種で仕込んだ長時間発酵の生地は、小麦の風味がしっかり香ります。トーストすると、中がサクサクとした軽やかな食感になり、クラスト(皮)の香ばしさも抜群です」。1本¥700。
▷京都市左京区下鴨松ノ木町52−1 ☎075−702−6672 10:00~16:00 月火水休 8:30から電話予約可。

No.4』 湯種パンドミ

もちもち感を生み出す湯種製法を得意とする川原司シェフによる、バターや生クリームなどをふんだんに使った、耳までおいしい角食。レーズン酵母の爽やかな風味で、リッチながら重すぎない生地は、厚めトーストがおすすめ。「湯種効果で、まるで跳ね返ってくるような弾力があり、トーストすると香ばしさと相まって格別」。1斤¥560、1本¥1,100。
▷東京都千代田区四番町5−9 ☎03−3234−4440 8:00~22:00 無休 1本サイズは電話で要予約。

トーストとの相性が抜群の国産バター。

カリッと、ふわっと! うまく焼けたら、きっといい日に。最高のトースト。

(左から順に)
美瑛放牧酪農場』 美瑛放牧酪農場バター

乳牛は、ストレスを与えない放牧で飼育。その搾りたての生乳で乳製品を作る北海道美瑛町の牧場による有塩バター。「塩は一般的な有塩バターの半分以下に。生クリームをバターに加工する際、通常は除いてしまうバターミルクをあえて残してバターに練り込んでいるので、ミルクの風味が生きています」。140g×4個¥6,200。
▷注文はHPから。4月28日、2店舗目の『BUTTER 美瑛放牧酪農場』が東京・丸の内に。

秋田屋』 トースト専用はちみつ「雪白」

明治の半ばより、蜂蜜にまつわる道具や製品を数々開発してきた岐阜の老舗が、2017年から販売しているヒット商品。「ハンガリー産のアカシアの蜂蜜を、バターにあらかじめ練り込んだスプレッドで、なんといっても、塗りやすいテクスチャーが魅力。トーストにバターを塗って蜂蜜をかけて食べるのとはまた違う、口あたりのよさとまろやかさがあります」。90g ¥691。
▷注文は電話(0120−82−8138)、HPから。

倉島乳業』 倉島乳業オリジナルバター

ニセコ山系の麓に位置する北海道・岩内で、1905年より続く乳業会社が手がける有塩バター。北海道の乳牛から搾った生乳を原料に、とにかく鮮度にこだわって作ったというバターは、しっかりとしたコクがある。「塩分控えめでミルクの風味がとてもいい。たっぷりめに塗ると、トーストのおいしさが倍増します」。160g ¥1,470。
▷道内観光地売店や空港などで販売。オンラインショップは電話(0120−613−177)で問い合わせを。

佐渡乳業』 佐渡バター

島内の牧場で搾乳した生乳を加工し、乳製品を作る佐渡の乳業会社による有塩バター。新鮮な生クリームと、佐渡の海洋深層水から作った塩のみを使用。「2年ほど前に現地で購入したのが最初。バター職人が、昔ながらの製法で加工し、ひとつずつ木製の型で成型しているそうで、個性が強すぎないやさしくまろやかな味が、食パンによく合います」。200g ¥1,300。
▷注文は電話(☎0259−63−3151)、HPから。

ひのようこパン愛好家&コーディネーター

パン好きが高じて世界中を食べ歩き、これまで食べたパンは7万5000種超え。試食レポートやパンイベントを開催するサークル「パンクラブ」を主宰するほか、パン通としてテレビ、雑誌などへの出演多数。

lit.link/hinoyoko

photo : Taro Hirano styling : Misa Nishizaki illustration : Toshiyuki Hirano text : Yuko Saito

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