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「堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE」が立川の「PLAY! MUSEUM」で開催中。January 24, 2025

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「堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE」メインビジュアル ©Seiichi Horiuchi

3つの「F」で辿る、堀内誠一さんが残したもの。

雑誌『anan』や『BRUTUS』のアートディレクションや、『POPEYE』『Olive』のロゴデザイン、『ぐるんぱのようちえん』(福音館書店)をはじめとした多数の絵本など、多彩な仕事で知られる、デザイナー・アートディレクター・絵本作家の堀内誠一(1932~1987)さん。東京・立川の「PLAY! MUSEUM」で、彼の制作活動を振り返る展示がスタートした。

「堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE」と題した本展は、「FASHION」「FANTASY」「FUTURE」という「F」を頭文字とした3つのセクションで構成される。「FASHION」では、堀内さんが創刊から手掛けた『anan』の49号までに焦点を当て、「FANTASY」では彼が残した70冊を超える絵本の世界観を楽しむ。そして、「FUTURE」では110人が選んだ「私の好きな堀内さん」から未来を見出すという内容だ。3つの展覧会を同時に楽しんでいるかのような、それぞれのセクションで異なる会場構成にも注目したい。

「FASHION」展

『anan』表紙 (11 号、1970 年) 平凡出版 ©マガジンハウス
『anan』表紙(11 号、1970 年) 平凡出版 ©マガジンハウス
『anan』中面 (2 号、1970 年) 平凡出版 ©マガジンハウス
『anan』中面(2 号、1970 年) 平凡出版 ©マガジンハウス

「FASHION」展
『anan』増刊として発行された『ku:nel』のデザインを2002年の創刊から2015年の75号まで手がけたアートディレクターの有山達也を招き、堀内が手がけた創刊号から49号までの『anan』を特集展示。実際の雑誌を解体して再構築し、一冊の全ページを見せたり、企画や特集の魅力やユニークさ、画期性をピックアップしたりすることで、この雑誌がめざした「ファッション」に光をあてながら、堀内のアートディレクションの新しさを浮き彫りにする。雑誌『ロッコール』をはじめとするエディトリアルデザインなども紹介。

「FANTASY」展

ぐるんぱのようちえん』 (1965 年) 福音館書店
ぐるんぱのようちえん』(1965 年、福音館書店)
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くるみわりにんぎょう』(1968 年、偕成社)
FANTASY」展空間模型 (設計事務所ima)
FANTASY」展空間模型(設計事務所ima)

26歳の時、出版した絵本『くろうまブランキー』(福音館書店)から絵本作家としても活動をスタートさせ、『雪わたり』『ぐるんぱのようちえん』(すべて福音館書店)『オズの魔法使い』(世界文化社、のち偕成社)など、生涯で70冊を超える絵本を残した堀内さん。心に漂う世界を描く「ファンタジーのおもしろさ」を大切にしていたという。

楕円の展示室には高さ3メートルもの大きな絵本が何冊も並び、絵本原画も多数展示される。中でも、大きなぐるんぱに会える『ぐるんぱのようちえん』の祝祭広場は圧巻。まるで堀内さんの絵本の世界に入り込んだかのような、ファンタジーの世界を全身で体感できる他にはない展示になっている。空間デザインは建築家・インテリアデザイナーの設計事務所imaが担当する。

「FUTURE」展

《カマルグ》 (完成図版)
《カマルグ》(完成図版)
《青い女性像》1949年
《青い女性像》1949年

雑誌や絵本だけでなく、絵画やイラスト、地図や写真、旅行記やエッセイまで、幅広い仕事を残した堀内さん。ここでは、堀内さんを敬愛する110人が、「私の好きな堀内さん」をテーマに作品を挙げて、未来へ伝えたい言葉とともに展示する。参加者の顔ぶれは、秋川リサ(俳優)、鹿児島睦(陶芸家)、佐野史郎(俳優、映画監督)、スズキコージ(絵本作家)、都築響一(編集者)、名久井直子(ブックデザイナー)、松浦弥太郎(エッセイスト)ほか。※順不同、敬称略

デザイナーの三宅瑠人と岡崎由佳がデザインする、未来に向けた希望に満ちた空間が出迎えてくれる。

3つのセクションの他にも、ブックカフェでは、堀内さんが手がけた絵本や雑誌、彼が愛した世界のイラストレーターたちの絵本が並び、絵本の世界観を楽しむオリジナルメニューも提供される。パリや旅のエッセンスを取り入れた雑貨や、『ぐるんぱのようちえん』をはじめとした絵本のイラストをあしらったアパレル、ステーショナリーなど、オリジナルグッズも充実。

堀内誠一さんの創作活動を今に紐解き、未来へと伝えていく。その世界を体感したい。

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堀内誠一 Seiichi Horiuchiデザイナー・アートディレクター・絵本作家

1932年東京生まれ。『anan』や『BRUTUS』、『POPEYE』など雑誌のロゴマーク、『anan』においては創刊時のコンセプト作りやアートディレクションを手がけ、ヴィジュアル雑誌の黄金時代を築いた。1958年に初の絵本『くろうまブランキー』 の刊行を皮切りに『たろうのおでかけ』『ぐるんぱのようちえん』『こすずめのぼうけん』など70冊を超える絵本を世に送り出し、挿絵も数多く描いた。1973年から81年にかけて家族と共にパリ近郊に移住。ヨーロッパを中心に世界を巡り、旅行記やガイド本を出版。また著書に『父の時代 私の時代』(マガジンハウス)、編著書に『絵本の世界・110人のイラストレーター』(福音館書店)など著述家、絵本批評家としても活動、多彩な表現に意欲的に取り組んだ。1987年、54歳で亡くなるまで絵本やデザインの仕事に従事した。

Event Information堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE

会期:2025年1月22日(水)〜4月6日(日)
会場:PLAY! MUSEUM
住所:東京都立川市緑町 3-1 GREEN SPRINGS W3 棟 2F
開館時間:10:00〜17:00(土日祝は18:00まで、入場は閉館の30分前まで)
入場料:一般 1800円、大学生 1200円、高校生 1000円、中・小学生 600円
【立川割】一般 1200円、大学生 700円、高校生 600円、中・小学生 400円
※未就学児無料
※当日券で入場可能。土日祝および混雑が予想される日は事前決済の日付指定券(オンラインチケット)を販売。
休館日:2025年2月16日(日)
電話番号:042-518-9625

展覧会公式サイト

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