FASHION 自分の好きを身に付ける。
「椅子の生地を張り替える」。ビストロオーナーマダムの紺野順子さんが直して使う、大好きなもの。October 15, 2024
気に入っているものほど、使う頻度が高くなる。だから、汚れたり壊れたりすることも。それでも愛おしさは残るので、処分するにはしのびない。そんな思いのこもった品をプロに頼んだり、自分の手で直したりしながら使い続けている人々に、愛用品と〝直したい気持ち〞を教えてもらった。
生地を張り替えることで、生まれ変わったような表情に。
東京・三軒茶屋の『uguisu』、西荻窪の『organ』と、2軒のナチュラルワインビストロを夫の紺野真さんとともに営む、紺野順子さん。自宅にひしめいている古い家具や小物のほとんどは、店で使っていたものの引退組。この椅子も同じく、中古家具店で購入し、10年間、店で活用した後に、自宅へとやってきた。
「もともとは黒の合皮張りだったんです。長い間、頑張ってくれましたが、いよいよ座面がボロボロになったので、自宅に引き取ることに」
とはいえ壊れたわけではなく、木の質感も気に入っていたことから、合皮部分を〈ミナ ペルホネン〉のファブリック「fogland」で張り替えることにした。依頼したのは、アンティーク家具やヴィンテージ家具の修理・修復をしてくれる『フィズリペアワークス』。
「このファブリックを提案してくれたのもお店からなんです。ネイビーとイエローがあって、どちらにしようか2日間くらい悩んだのですが、結果、家のインテリアに馴染むネイビーにしてよかったです。絵柄が効果的に見えるように張ってくれたほか、スプリングなども修復してくれ、座り心地もより快適になりました」
座面が広く、紺野さんは、本を読むなどリラックスしたいときにこの椅子に腰掛ける。古いものを使い切り、さらに新しい表情へとアップデート。
「張り替えたことで新鮮に感じられ、この先も飽きずに使い続けられそうです」
紺野順子 Junko Konnoビストロオーナーマダム
夫とともに古いもの好きで、店のインテリアにはヴィンテージ家具を使っている。〈ミナ ペルホネン〉の皆川明さんとは知り合いで、その縁を感じられるのも、張り替えをして良かったと思える理由のひとつ。
photo : Takashi Ehara edit & text : Wakako Miyake