FASHION 自分の好きを身に着ける。

『PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE / ROPPONGI』がリニューアル。デザインを手がけた田村奈穂さんにインタビュー。December 20, 2024 /〔PR〕

ショップのリニューアルオープンに先駆け、店舗デザインを手がける田村奈穂さんがニューヨークより来日。イッセイ ミヤケ プリーツプリーズ
ショップのリニューアルオープンに先駆け、店舗デザインを手がける田村奈穂さんがニューヨークより来日。

デザインの起点は、作り手の息吹と精緻な道具。

東京ミッドタウンの『PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE / ROPPONGI』がこの冬、12月10日(火)にリニューアルオープンした。店舗デザインを手がけたのは、ニューヨークを拠点にプロダクトや空間デザインを行う田村奈穂さん。ダイナミックで凛とした空間構成に辿り着くまでのデザインプロセスについて聞くと、その起点にあるのは、ものづくりの現場を訪れて見つけた、〈プリーツ プリーズ イッセイ ミヤケ〉の新たな一面だったという。

「幼少期から、母の影響で〈イッセイ ミヤケ〉は身近な存在でした。特に〈プリーツ プリーズ イッセイ ミヤケ〉は、移動が多い生活のなか、軽やかな着心地でシワにならず、普段着としてもよそゆきの服としても重宝しています。どちらかといえば、クールであり、未来的な雰囲気を帯びたプロダクトだと思ってきましたが、工場に足を運び、作り手の息づかいと精緻な仕事ぶりを目の当たりにしたとき、30年間続く〈プリーツ プリーズ イッセイ ミヤケ〉は“工芸”のようであり、あたたかさと奥行きのある存在だと実感したのです」

「お客さまと一緒にお店を作り上げていく、風通しのいい場所であってほしいと願っています」 イッセイミヤケプリールプリーズ 田村奈穂
「お客さまと一緒にお店を作り上げていく、風通しのいい場所であってほしいと願っています」
買い物中に腰掛けられるソファの背もたれは、プリーツ生地を製作する際に使用するペーパーのロールが吊り下げられている景色から着想した。 イッセイミヤケプリーツプリーズ 田村奈穂
買い物中に腰掛けられるソファの背もたれは、プリーツ生地を製作する際に使用するペーパーのロールが吊り下げられている景色から着想した。
天井はスケルトンにして高さを出し、空調や電気配線等の配管を露出させた。目的を持って的確に配置された機能美を空間の一部として生かしている。イッセイミヤケ プリーツプリーズ
天井はスケルトンにして高さを出し、空調や電気配線等の配管を露出させた。目的を持って的確に配置された機能美を空間の一部として生かしている。

道具としての実用性にリスペクトを込めて。

生産を担うその工場では、多種多様な機械がひしめきあっていた。職人の作業場には、さまざまな試行錯誤とともに経年変化した道具が、無駄のない配置で並んでいた。そして、現在進行形でものづくりが行われ、常に動きのある環境にある〈プリーツ プリーズ イッセイ ミヤケ〉がひときわ鮮やかで生き生きして見えたという。

「一見して華やかですが、そのコアには機能性や耐久性、そして着心地の良さがある。プリーツは単なる装飾ではなく、日常に馴染む道具としての役割を果たしています。その実用性と、飾りのない工場の風景は絶妙に調和していました。そしてなによりも、アイデアをかたちにする開発者の情熱、一歩進むごとに感じる驚きや期待感が伝わってきた。ものづくりを楽しむ姿勢とピュアな実験精神によって生まれたプロダクトに、あれこれ外側から色を与えたり、飾り立てる必要はないのではないかと思いました」

L字形の金属を組み合わせて作った什器のモックアップ。工業製品ならではのシャープなエッジや隙間をいろいろな角度から眺めて愛おしさを感じながら、実際の空間を想像していく。 田村奈穂 イッセイミヤケプリーツプリーズ
L字形の金属を組み合わせて作った什器のモックアップ。工業製品ならではのシャープなエッジや隙間をいろいろな角度から眺めて愛おしさを感じながら、実際の空間を想像していく。
店内のラックやバッグを掛ける什器にも田村さんの手腕が光る。マネキンは置かず、スタッフが新作を身にまとって店内を行き交う。イッセイミヤケ プリールプリーズ 田村奈穂
店内のラックやバッグを掛ける什器にも田村さんの手腕が光る。マネキンは置かず、スタッフが新作を身にまとって店内を行き交う。
入り口近くにある柱と店舗奥の柱を結んだ25度の線が、この空間の背骨となって軸になる。施工作業中に目印として床面に描かれたその線を、田村さんはあえて濃く引き直すよう指示。空間づくりのプロセスから生まれる痕跡さえも生かすアプローチだ。 イッセイミヤケプリーツプリーズ 田村奈穂
入り口近くにある柱と店舗奥の柱を結んだ25度の線が、この空間の背骨となって軸になる。施工作業中に目印として床面に描かれたその線を、田村さんはあえて濃く引き直すよう指示。空間づくりのプロセスから生まれる痕跡さえも生かすアプローチだ。

互いの考えを共有できる、風通しのいいショップのあり方。

このように田村さんがリアルに体験してキャッチしたことが、デザインへと翻訳されていく。「床や天井のラフな仕上げ、什器やディスプレイグッズの佇まいは、工場の風景からインスピレーションを受けています。さらに、アクセントになるスケール感と、動きのある空間を意識しました。廊下側から訪れたとき視線がすーっと抜けていく25度の斜めのラインで店内へ導き、その線上に4つの役割を担うエリアを並べています」

まず、入り口付近には、新たなシーズンのコンセプトをプレゼンテーションするエリアを。そして、提案がプロダクトに具現化されて、ディスプレイされる空間。さらに、服以外の小物などが展開されるスペース。最後に、試着や接客を通じ、プロダクトを直に体験できるコミュニケーションの空間。

「伝える、ということが大事な時代だと感じています。売り買いにだけ特化して、ソリッドに研ぎ落としていくのではなく、ものづくりの背景や、作り手の考えを深いところから受け取ったうえで、日々の道具に出合いたい。そうした私自身の思いも反映されているかもしれません。そんな買い物には充実感がありますし、深みがある。なぜ、どのように作られたのかを知り、なぜそれを手に取るのかを一緒に考える。そして、この場所で、〈プリーツ プリーズ イッセイ ミヤケ〉の道具としての素晴らしさ、身に着けることの楽しさをダイレクトに感じてもらえたら嬉しいです」

田村奈穂 イッセイミヤケプリーツプリーズ プロフィール写真

田村奈穂デザイナー

1976年東京都生まれ。パーソンズ・スクール・オブ・デザインを卒業後、デザイン会社のスマートデザインを経て、自身のデザインスタジオnownao inc.を設立。現在はニューヨークを拠点に、プロダクト、インスタレーション、空間デザインなど幅広い領域で活動中。これまでに、Palais de Tokyo、ミラノサローネ、京都市京セラ美術館などで作品を発表。 近年では、自身のデザイナーとしての旅路を通してTEDトークやミラノ大学で講演を行う。IF Design Award、Red Dot Design Award、Industrial Design Excellence Awardsなど国際的なアワードを多数受賞。

naotamura.com

photo : Hinano Kimoto text : Yoshikatsu Yamato

PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE / ROPPONGI 店内
photo : © ISSEY MIYAKE INC.
PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE / ROPPONGI 店内
photo : © ISSEY MIYAKE INC.
PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE / ROPPONGI 店内
photo : © ISSEY MIYAKE INC.
PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE / ROPPONGI 店内
photo : © ISSEY MIYAKE INC.
PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE / ROPPONGI 店内
photo : © ISSEY MIYAKE INC.
PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE / ROPPONGI 店内
photo : © ISSEY MIYAKE INC.
PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE / ROPPONGI 店内
photo : © ISSEY MIYAKE INC.

Shop Information『PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE / ROPPONGI』

東京都港区赤坂9-7-3 東京ミッドタウン ガレリア 2F
11:00〜20:00
☎︎03-5413-7257
※営業時間や臨時休業などは施設の営業時間に準じます。

●問合せ:PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE / ROPPONGI ☎︎03-5413-7257

Pick Up 注目の記事

Latest Issue 最新号

Latest Issuepremium No. 134明日を生きるための映画。2024.12.20 — 960円