LIFESTYLE ベターライフな暮らしのこと。
フードディレクター・浅本充さんの器の楽しみ方。 ヨーロッパの古い柄もの食器。ON THEIR TABLES / November 12, 2021
日々の生活で、どんな器をどのように揃え、組み合わせて使いこなすか。国内外の作家もの、白皿、柄物、木やガラス、民藝、ヴィンテージなどなど、各々テーマを持って集めている器好き10組を訪ねた企画「器を楽しんでいる人たち」から、フードディレクター・浅本充さんの器のある暮らしを紹介します。
*2021年10月20日発売『&Premium』最新号「器を知る、学ぶ、楽しむ。」より。
西洋と東洋の文化が入り交じった街、神戸で生まれ育った浅本充さん。その街の雰囲気は、今も彼の好みに大きな影響を与えているという。食器棚に和食器は一つもなく、並ぶのはヨーロッパの古い柄もの食器たち。
「食器はまだ倉庫にもたくさんあるのですが、子どももいるので、楽しい感じにしたいと思って柄ものを出しています。他ではなかなか見かけないものが多いと思いますよ」
その理由は、専門店ではなく、個人から譲り受けているから。
「北欧やフランス、ニューヨークなどに仕事や旅行で行った際、人づてにこういう食器を持っている人を教えてほしいと紹介してもらうんです。すると、その家ではもう使っていない食器がたくさん出てくる。それを譲ってもらいます。なので、ブランドがわからないものが多いのですが、すごくかわいいですよね。ナイフやフォークの跡もあって、家の人が楽しんで使っていたのがわかる。そういうものが好きです」
多くは北欧などヨーロッパの1960〜70年代のもので、この時代の土や釉薬の感じが気に入っている。
「雰囲気が柔らかいんです。新品だと絵柄もパキッとしているように見えて。ちょっと柄が取れかけているほうが、料理の邪魔もしないと思います。また、僕はハードユースするので、大量生産されている磁器を使うことが多い。皿の存在感が大きいと料理する人も使う人も緊張するので、気兼ねなく使えてデザインがいいもの、というのが僕の中でのキーワードの一つになっています」
また、食器にカラフルな柄があると、どんな料理をのせればいいのか迷いがちだが、浅本さんいわく「なんでも大丈夫」と、心強い。
「あえていうなら柄が全面にあるのではなく、リムにだけあるものから慣れるといいかもしれません」
飾り皿でも気にせず菓子や果物をのせて楽しむ。実用とアート性を兼ね備えている柄もの食器は、食卓に幸福感と華やぎを与えてくれる。
浅本 充 フードディレクター
〈ユニテ〉代表。フレンチレストランでサービス、ソムリエ、マネージャーを経験後、渡米。食まわりのコンサルティングや開発など幅広く活躍。
photo : Masanori Kaneshita edit & text : Wakako Miyake