TRAVEL あの町で。
台北で、おいしい一杯の珈琲を。淹れ方にこだわる名店の味と出合う。June 02, 2025
伝統と新しい文化が交差する街・台北は、訪れる旅に新たな発見がある場所。現地に暮らすガイドが案内してくれた、“ふだんの台北”の巡り方。
2025年2月号「台湾でしたいこと」より、『TWATUTIA COFFEE & Co.』オーナー・陳吟雯さんが教えてくれた、地域の人にも愛されるコーヒショップ3店を紹介します。

浅煎りから深煎りまで揃える、 街に根付く店を訪ねて。
大稲埕でライフスタイルショップ『A Design & Life Project』を夫婦で営む陳吟雯さん。カフェ巡りが趣味で、おいしいコーヒーを求めて年に3回は旅するほど。2021年にはカフェ『TWATUTIA COFFEE & Co.』を1階に開いた。そんな彼女が教えてくれたのは、地元の人たちに愛される新旧の名店。
「近年、台北ではカフェが急速に増えていて、お客さんの好みに対応できるよう豆を豊富に揃える店が多いんです。2022年に信義の閑静な住宅街に店を構えた『SAND COFFEE』は、花蓮の焙煎所から仕入れた香り高い8種の豆をハンドドリップで味わえます」
また、1年ほど前にオープンした『Ruins Coffee Roasters廢墟 湖村店』も注目店だ。
「自家焙煎の豆をハンドドリップで淹れていて、浅煎りから中煎り、中深煎り、深煎りまで14種の味を楽しめます。この店の豆はシングルオリジンへのこだわりに定評があり、台湾のカフェシーンを牽引する迪化街の『菸花Op.118.2』でも使われているほど」
一方で、台湾コーヒー界の草分け的存在である『蜂大咖啡』も外せないという。
「サイフォン式のコーヒーが特徴。蒸気圧で均質に抽出される一杯は口当たりが柔らかく、厚みのあるフレーバー。長年愛され続けている理由がわかる、飽きのこない味です」
地域の人にも愛される店で、多彩な豆の味を堪能。
SAND COFFEE
サンド・コーヒー 台北101/世貿
かつて玩具工場だった建物を自らのデザインで改装し、コンクリートの質感とブラウンの木目が調和するモダンな内装に。メニューにはハンドドリップコーヒーや〈ラ・マルゾッコ〉のマシンを使ったエスプレッソなどが揃う。「よく飲むのは、エチオピアブレンドの優しい甘味がミルクと相性抜群のカプチーノ。夕暮れに窓から差し込む光の移ろいを眺めながら過ごすのが好きですね」と陳吟雯さん。
▷台北市信義區吳興街156巷40弄4號 ☎なし 14:00~23:00 月火休
Ruins Coffee Roasters廢墟 湖村店
ルインズ・コーヒー・ロースターズ フェイシュー フーツンディエン 木柵
台湾のコーヒー通に知られている『Ruins Coffee Roasters』の2号店。オーナーのウィルさんは、店近くの焙煎所で日々研究を重ねている。エチオピア、エルサルバドル、パプアニューギニア産の豆を使った中深煎りのハウスブレンドは、まろやかな口当たり。「池のほとりで気持ちいい空気が流れています。カフェラテもおいしい」
▷台北市文山區萬壽路36號1F(政治大学図書館1階) ☎02−2234−6668 10:00~18:00 月休 豆は200g400元~で販売も。
蜂大咖啡
フォンダーカーフェイ 西門
1956年創業の老舗喫茶店。店名の由来は、初代が養蜂家で蜂蜜入りのコーヒーをかつて提供していたから。現在は、2代目オーナーの曹世華さんが店内併設のロースターで毎日焙煎を行う。「昔ながらの雰囲気にほっとします。サイフォンで淹れた深煎りのエスプレッソブレンドは濃厚な味わいで、アメリカーノも飲みやすくておすすめ」。8時間かけてドリップする水出しコーヒーも名物のひとつ。
▷台北市萬華區成都路42號 ☎02−2331−6110 8:00~22:00 無休

陳 吟雯 ツェン・インウェン『TWATUTIA COFFEE & Co.』オーナー
デザイナーでありながら、ドイツで出合った「The Barn」の豆に惚れ込み、その味を輸入する形でカフェを始めた。ハンドドリップは全11種。
▽建国北路店/台北市中山區建國北路一段136號 ☎02−2506−3698 8時~18時 土日9時~19時 火休 大稲埕に1号店。
photo : Yoshiko Watanabe coordination : Yaeko Kondo