TRAVEL あの町で。

雄大な自然で育まれたアイヌの生活が息づく。うるし漫画家の堀道広さんが語る、北海道・阿寒湖。December 05, 2024

繰り返し訪れているからこそ知っている、季節によって変わりゆく景色。いつも変わらないあの店、必ず買って帰るお土産、ふだんの町並み。旅好きのあの人が語る、何度も足を運んでいる町とその魅力とは。

アイヌコタンで、アイヌの人々に畏敬の念を抱く。

雄大な自然で育まれたアイヌの生活が息づく。堀道広さんが語る、北海道・阿寒湖。
忘れた頃にまた見たくなるフッタレチュイ(黒髪の踊り)は神々しく、厳かな気持ちになる。

阿寒湖には、夏、秋、冬と、1年間で3回行くという濃い体験をしました。冬はマイナス20℃にも届かんばかりの寒さ。湖が凍っているからワカサギ釣りもできます。『奈辺久』のワカサギ天丼はめちゃくちゃおいしかった。「カムイルミナ」は、阿寒湖の森の中をナイトウォークするアトラクション。光や音を出す杖を持って森を歩くとイルミネーションが出現してアイヌの物語が展開していくという、エンタメ調が強めでとても観光向けなんですけど、これにまんまとハメられて、すごく楽しい。「アイヌコタン」の『阿寒湖アイヌシアターイコロ』には、アイヌ古式舞踊と、現代風に演出した演目があるのですが、ストーリー性があり、アイヌの精神性が理解しやすく工夫されているんです。『民芸喫茶ポロンノ』は界隈で貴重な居酒屋だから、滞在中何度も行くことになります。鹿や鮭をはじめ、いろいろなアイヌ料理が食べられます。延べ3週間ほども滞在したので、アイヌの人たちに対して、遠方の親戚のような愛着が勝手に湧いています。自分たちにすごく誇りをもっていて、結束が固くて、羨ましくなってしまう。土産物屋『日川民芸店』の方とは顔馴染みになり、家に代々伝わる酒盃と同じものを作ってほしいと頼まれてしまいました。次に阿寒湖に行くのは、酒盃が完成したときですね。


北海道/阿寒湖
Akanko_Hokkaido
北海道東部に位置する阿寒摩周国立公園の阿寒湖周辺一帯。深い森に擁された湖畔には道内有数のアイヌコタン(集落)がある。東京から釧路空港まで約1時間45分、阿寒湖まで車で約1時間。

堀 道広 うるし漫画家 Michihiro Hori
うるしと漫画に特化して活動。「金継ぎ部」主宰。『COMIC-OGYAA
A!!』で「ふにゃふにゃ一揆」連載中。『うるしと漫画とワタシ』(駒草出版)、『金継ぎおじさん』(マガジンハウス)など著書多数。

illustration : Naoya Sanuki text : Shoko Matsumoto

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