TRAVEL あの町で。

インテリアスタイリストの作原文子さんが語る、愛媛県・松山。海と山々に囲まれ、自然と文化が調和する地。July 25, 2024

繰り返し訪れているからこそ知っている、季節によって変わりゆく景色。いつも変わらないあの店、必ず買って帰るお土産、ふだんの町並み。旅好きのあの人が語る、何度も足を運んでいる町とその魅力とは。

地元の工芸作家との出合いは『POTOMAK』が懸け橋に。

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セレクトショップ『POTOMAK』からは、線路を走るご当地列車のオレンジ色の車両を望むことができる。

 愛媛県の伝統工芸とクリエイターがコラボレーションした『道後アート2023クラフトミュージアム』に参加したことがきっかけで、いろんな方とのご縁ができました。セレクトショップ『POTOMAK』は、オーナーの加藤さんを中心にいつも若者が集っていて、皆のお兄さん的存在。カルチャーを知れるいいお店です。古着だけでなく、地元で制作を行うクラフト作家の作品も販売しているのですが、そこでしめ縄の技法を用いた藁細工を制作する上甲清さんの作品に出合いました。地域活性に貢献すべく素材の稲から育てる姿に感化され、今年は田植えにも一緒に参加。また若手木工作家、河野源さんが手がけた椅子もあり、洋服とインテリア、共に触れられる場所です。お店からは伊予鉄道の「みかん電車」がよく見えますが、そんなのんびりした風景を眺めながら、加藤さんと近況を話すことも。『カフェカバレ』は店内のスタイリングがオリジナリティに溢れていて、店主夫婦の気取らない人柄も好き。ナチュールも飲めて、海と山の幸も堪能できます。知人の実家が営む『GRAYS』は昔ながらの喫茶店で、英国のアンティーク家具に囲まれた居心地のいい空間です。おやつは労研饅頭(ろうけんまんとう)の蒸しパンを。松山だけに残る酵母菌で作っているそうで、とても素朴ながら食べ飽きない。ソウルフードと呼ばれるのも納得です。


愛媛県・松山
Matsuyama_Ehime
四国の北西部、愛媛県の県庁所在地。日本三古湯のひとつといわれる道後温泉は、夏目漱石や正岡子規らが愛した文学の町としても知られる。東京から松山空港まで約1 時間30分。

作原文子 Fumiko Sakuhara
インテリアスタイリスト
雑誌、TVCM、企業エキシビション、ショップディスプレイ、映画美術などのスタイリングを手がける。空間プロデュースや店舗ディレクション、商品開発などを行う〈MOUNTAIN MORNING〉主宰。

illustration : Naoya Sanuki text : Shoko Matsumoto

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