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50周年を経た〈南景製陶園〉の展覧会が
東京・銀座の森岡書店にて開催。October 06, 2022

取っ手のない急須「宝瓶」に碗を大小2個収めた「入子茶器」。持ち運びもしやすく、旅先や野外でもお茶を淹れられるようにと生まれた。「白練」は 2021年に誕生した新色。光の移り変わりに映える影を帯びた、無釉の白が美しい。 原田教正 南景製陶園 森岡書店
取っ手のない急須「宝瓶」に碗を大小2個収めた「入子茶器」。持ち運びもしやすく、旅先や野外でもお茶を淹れられるようにと生まれた。「白練」は 2021年に誕生した新色。光の移り変わりに映える影を帯びた、無釉の白が美しい。

「手仕事」によって生まれた、美しいプロダクトたち。

急須を軸に、茶事全般にまつわる器を手がける〈南景製陶園〉が、「時と手」と題した展覧会を東京・銀座の森岡書店で開催する。会期は10月11日(月)〜16日(日)まで。

2021年11月に、陶土業を始めて110年、製陶業を興して50年を迎えた〈南景製陶園〉は、萬古焼の産地として知られる三重県四日市市で、ブランドの価値作りを進めてきた。かたちが機能を支え、機能がかたちを導きながら美しいバランスを得るよう、使い手の気持ちを満たすものづくりを目指す。その姿勢の根幹には、「プロダクトの中に潜む手仕事」への矜持がある。今回の展示では、多くの手を通し、受け継いできた急須づくりの歴史と、これからの歩みが、ひとつの箱と写真に映し出される。

「私どもの商品は、職人の技量に比例します。人間力が磨かれると、商品は輝きます。私たちの先人は、お米を中心とした食文化をつくり、日本の各地域では、生活に必要な手工業が生まれ、職人が技を受け継ぎ守ってきました。過去、私どものものづくりを支えてきた手、今と未来を担う手を、この時の流れの中で表現して参ります」
ー南景製陶園 代表 荒木照彦

本展で特別展示される茶箱 『四方』 (限定受注生産) 。茶事にまつわる器を中心に人が引き寄せられ、輪ができる。人が集い、会話が生まれる。そんな風景を描いて。南景製陶園 原田教正 森岡書店
本展で特別展示される茶箱 『四方』(限定受注生産)。茶事にまつわる器を中心に人が引き寄せられ、輪ができる。人が集い、会話が生まれる。そんな風景を思い、特製箱に茶道具を収めた。
「黒練鉄鉢」。 "黒練"はブランドの代表色。鉄分を多く含む土が釉薬をかけず焼き締められて炭化した、マットで静かな黒。シャープで締まった表情は、磁器と陶器の性質を併せ持つ炻器ゆえ。使い込むと表 面がうっすら艶を帯びる。「鉄鉢」は 50年以上前からつくられている。南景製陶園 原田教正 森岡書店
「黒練鉄鉢」。"黒練"はブランドの代表色。鉄分を多く含む土が釉薬をかけず焼き締められて炭化した、マットで静かな黒。シャープで締まった表情は、磁器と陶器の性質を併せ持つ炻器ゆえ。使い込むほどに表面がうっすら艶を帯びてくる。

さらに、展示を記念し、工房の内側、ものづくりの日々などを写した写真が一冊の本として特別刊行される。撮影を担当するのは、本誌をはじめ、ファッションや広告など、さまざまな分野で活躍する写真家の原田教正。2014年の出会いの頃から〈南景製陶園〉の写真を撮り続けてきたという。本展では合わせて、原田による「働く手」のポートレート展示も楽しめる。

三重県四日市の工場の様子。型を使う機械づくりのプロダクトでも人の手と感覚を伴い、厚みや微妙なかたちを調整するのは手づくりと同じ。 原田教正 森岡書店 南景製陶園
三重県四日市の工場の様子。型を使う機械づくりのプロダクトでも人の手と感覚を伴い、厚みや微妙なかたちを調整するのは手づくりと同じ。

INFORMATION

時と手

会期: 2022年10月11日(火)〜16日(日)
時間: 13:00〜19:00
会場: 森岡書店  東京都中央区銀座1-28-15
問合せ: 03-3535-5020

photo : Kazumasa Harada

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