INTERIOR 部屋を整えて、心地よく住まうために。
好きなデザインを25平米の一部屋に収めた、衣装製作家・遠藤美南さんの家。May 24, 2025
住まいに対する満足度は? と聞かれたら、どう答えますか。不満をあげればキリがないかもしれませんが、狭いけれど心地よくて自分らしい、古くてもくつろげるように工夫する、そんなふうに整えられたなら、それこそがBette Lifeではないでしょうか。収納がほぼなかった家と徹底的に収納を考えて建てられた家、それぞれの整理整頓術から、昭和を感じる古い一軒家のDIY改装記録まで、たくさんの実例を集めて一冊にまとめました。
&Premium特別編集 「住まいを楽しく、整える」より、舞台や広告などで衣装製作の仕事する遠藤美南さんの住まいをWEBで特別に公開します。
部屋に合ったサイズの家具を選ぶ。

遠藤美南さんが30歳を過ぎて初めての一人暮らしに選んだのは、仕事場まで電車1本で行ける都内の1K。
「実家も23区内なのですが、不便な場所にあって。今のところはどこにでも行きやすくて快適です。約25㎡で広くはありませんが、特別狭くもなく、私にはちょうどいいです」
狭く感じない理由は、家具の選びと整理整頓の技にある。
「実家に長くいて仕事もしていたので、ある程度、自由になるお金があったのも大きい。インテリアをなるべく妥協せずに揃えることができました。一番、気をつけたのはサイズ感。最初にヴィンテージのサイドボードを買ったのですが、主流の1.5m幅よりも小さめのものを探しました。ソファもその長さに合わせて。ローテーブルは軽やかに見えて、なおかつかわいいものをずっと探し回って、ようやく手に入れたヴィンテージです。棚が付いているので収納も兼ねられます。ダイニングテーブルは置かず、食事もここでしています」


右の壁際に置いたシェルフも収納するものとぴったりと合い、部屋の広さとのバランスが取れたサイズに。シェルフにはジーンズとセーターが積まれているが、ピシッと畳まれ、見せる収納になっている。
「きちんと整っていないと気になるタイプなんです。ものが真っすぐに置かれていないと落ち着かない。逆にラフに上手にできる人に憧れます」
しかし、狭い部屋ならば、整っていたほうが見た目も美しく、ものの居場所も一目瞭然で、空間を有効に使うことができる。
さらに「使い道はわからないけれど、見ているだけで幸せになるかわいいものが大好き」という遠藤さん。それらは「壁に張ればいいんだ、と気づきました」と、アンティークレースや、布の造花などをマスキングテープや小さなピンで壁にアタッチ。それらをしみじみとかわいいなあ、と眺めているのが、至福だという。

セキュリティがしっかりした新しいマンションは、建物自体はいたって普通。だからこそ、そこに何をどう配置するかで個性が際立ってくる。家具から小物まで、好きなデザインだけを一部屋に収めた空間は、日常でありながら、旅先のホテルにいるような高揚感にも包まれている。


photo : Manami Takahashi edit & text : Wakako Miyake