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多様な食文化が交差する街、マカオの味を訪ねて。December 17, 2025

伝統と革新の食文化が交差するマカオで新たな味に出合う。
マカオ名物といえばまず思い浮かぶのが、ポルトガルの伝統菓子パステル・デ・ナタをルーツに持つエッグタルト。サクサクのパイ生地にほんのり甘いカスタードクリームが詰まっていて、店ごとにアレンジも異なるので食べ比べも楽しい。でも、それだけにあらず。世界のさまざまなカルチャーが織りなす、奥深いマカオの食に触れる旅に出かけませんか。

世界の美食に出合う旅。

1887年から1999年にかけてポルトガルの統治下にあったマカオには、東洋と西洋のカルチャーが交わった、独自の食文化が息づいている。ポルトガル料理はもちろん、広東料理、それらが融合したマカニーズ料理まで、小さな街の中でさまざまなジャンルの食を楽しめるのはマカオを旅する醍醐味のひとつ。2017年にはユネスコの「食文化創造都市(シティ・オブ・ガストロノミー)」にも認定されている豊かな食の街・マカオでぜひ訪ねたいスポットを紹介します。

まずは、伝統的なポルトガル料理から。コロニアル様式の建物が並ぶラザロ地区のメインストリートに店を構える『アルベルゲ1601』。鮮やかな黄色の外壁が目を引くこの店は、タコのグリルやバカリャウ(塩漬けした干しダラ)のコロッケ、イワシのフライなど、ポルトガル人シェフによるオーセンティックな味が堪能できる。海の幸をふんだんに使った品々は、ポルトガルワインにもよく合う。隣には、紅茶やハーブティー、中国茶など20種以上のティーメニューを揃えるカフェ『アジャー ティーハウス』も。石畳のテラス席で一服すれば、アジアにいながらヨーロッパを旅しているような気分に。

さらに、リゾートエリアで知られるコタイ地区では、各ホテルで美食を味わえる。The Karl Lagerfeld Macau(ザ・カール・ラガーフェルド マカオ)は、ポルトガル・リスボンでミシュラン二つ星レストランを手がけるシェフ、ジョゼ・アビリス監修の『メーザ バイ ジョゼ・アビリス』による、モダンなポルトガル料理も人気。隣接されたGalaxy Macau(ギャラクシー・マカオ)には、クラシックなフランス料理を味わえるブラッスリー『ザ・リッツ・カールトン・カフェ』など、数多くのレストランやバーが並ぶ。食後は、Raffles at Galaxy Macau(ラッフルズ・アット・ギャラクシー・マカオ)内にあるシンガポール発の名門バー『ロング バー』で創作カクテルを楽しむのもいい。

伝統と革新の食文化が交差するマカオで新たな味に出合う。 | Albergue 1601(アルベルゲ1601) カニのペーストに炒り卵と玉ねぎを合わせてサラダ状に仕上げた「Sapateira Recheada (サパテイラ・レチェアダ)」は、濃厚なカニの風味がガーリックトーストと相性抜群。
Albergue 1601(アルベルゲ1601) カニのペーストに炒り卵と玉ねぎを合わせてサラダ状に仕上げた「Sapateira Recheada (サパテイラ・レチェアダ)」は、濃厚なカニの風味がガーリックトーストと相性抜群。
マカオ | 約100年前に建てられたポルトガル建築の一角に佇む。
約100年前に建てられたポルトガル建築の一角に佇む。
文化が交差する街、マカオの知られざる魅力に出合う。 | Ajar Teahouse(アジャー ティーハウス) 「玫瑰荔枝烏龍(ローズライチウーロンティー)」。バラやライチの芳香と烏龍茶の風味がミックスした、爽やかな後味の一杯。
Ajar Teahouse(アジャー ティーハウス) 「玫瑰荔枝烏龍(ローズライチウーロンティー)」。バラやライチの芳香と烏龍茶の風味がミックスした、爽やかな後味の一杯。
文化が交差する街、マカオの知られざる魅力に出合う。 | 〈HARIO〉のティードリッパーで一杯ずつていねいにお茶を抽出。
〈HARIO〉のティードリッパーで一杯ずつていねいにお茶を抽出。
文化が交差する街、マカオの知られざる魅力に出合う。 | Mesa by José Avillez(メーザ バイ ジョゼ・アビリス) エビやカニ、キャビアなど、海の恵みを贅沢に使った「シーフードライス」は、この店のシグネチャーメニュー。リゾット状のご飯には海鮮の旨味がたっぷり詰まっていて、白ワインにもぴったり。
Mesa by José Avillez(メーザ バイ ジョゼ・アビリス) エビやカニ、キャビアなど、海の恵みを贅沢に使った「シーフードライス」は、この店のシグネチャーメニュー。リゾット状のご飯には海鮮の旨味がたっぷり詰まっていて、白ワインにもぴったり。
文化が交差する街、マカオの知られざる魅力に出合う。 | レストラン内にはバーを併設。2024年にカクテルの世界大会でチャンピオンにも選ばれたバーテンダー、馬銘康(フレデリック・マー)による独創的なメニューが特徴。
レストラン内にはバーを併設。2024年にカクテルの世界大会でチャンピオンにも選ばれたバーテンダー、馬銘康(フレデリック・マー)による独創的なメニューが特徴。
文化が交差する街、マカオの知られざる魅力に出合う。 | THE RITZ-CARLTON CAFÉ(ザ・リッツ・カールトン・カフェ) クラシックなフランス料理が楽しめるブラッスリーの、9種の特製デザートの盛り合わせ(2025年12月20日までの提供)。柚子のタルトやマンダリンのシャーベット、ラズベリーのシュークリームなど、さまざまな味がひと皿に。
THE RITZ-CARLTON CAFÉ(ザ・リッツ・カールトン・カフェ) クラシックなフランス料理が楽しめるブラッスリーの、9種の特製デザートの盛り合わせ(2025年12月20日までの提供)。柚子のタルトやマンダリンのシャーベット、ラズベリーのシュークリームなど、さまざまな味がひと皿に。
文化が交差する街、マカオの知られざる魅力に出合う。 | パリの空気を感じさせるアールデコ調の空間。ランチからブランチ、カフェ、ディナーまで幅広く楽しめる。
パリの空気を感じさせるアールデコ調の空間。ランチからブランチ、カフェ、ディナーまで幅広く楽しめる。
文化が交差する街、マカオの知られざる魅力に出合う。 | Long Bar(ロング バー) スパイシーなジンをベースに、オレンジやハーブのリキュールを合わせたオリジナルカクテル「マカオ・スリング」。
Long Bar(ロング バー) スパイシーなジンをベースに、オレンジやハーブのリキュールを合わせたオリジナルカクテル「マカオ・スリング」。
文化が交差する街、マカオの知られざる魅力に出合う。 | ポルトガルの貿易船をイメージした店内は隠れ家のような雰囲気。
ポルトガルの貿易船をイメージした店内は隠れ家のような雰囲気。

旅を彩る、ホテル案内。

コタイ地区を中心に、新たなリゾートホテルが続々と誕生しているマカオ。そのなかでも、2023年に完成した『The Karl Lagerfeld Macau(ザ カール・ラガーフェルド・マカオ)』は、〈シャネル〉や〈フェンディ〉を手がけたことで知られるファッションデザイナー、カール・ラガーフェルドがインテリアを監修。シノワズリを基調とした内装や景徳鎮の磁器花瓶など、細部まで洗練された美意識を感じられる。一方、世界遺産が点在するマカオ歴史地区の中心に位置する『ホテル セントラル』は、1928年創業の老舗ホテル。2024年に大規模なリノベーションを行い、クラシックな魅力はそのままに、ルーフトップバーを新たにオープン。屋上からはマカオの夜景を一望できる。

文化が交差する街、マカオの知られざる魅力に出合う。 | THE KARL LAGERFELD MACAU(ザ カール・ラガーフェルド・マカオ) 館内には、4000冊もの書籍が並ぶブックラウンジのほか、ジムやプールも。
THE KARL LAGERFELD MACAU(ザ カール・ラガーフェルド・マカオ) 館内には、4000冊もの書籍が並ぶブックラウンジのほか、ジムやプールも。
文化が交差する街、マカオの知られざる魅力に出合う。 | 東洋と西洋が調和したデザインの客室。アールデコ調の内装には、満月のモチーフが随所にちりばめられている。
東洋と西洋が調和したデザインの客室。アールデコ調の内装には、満月のモチーフが随所にちりばめられている。
新中央酒店_1F接待大堂 | 新中央酒店 Hotel Central(ホテル セントラル) ポルトガルの伝統様式であるアズレージョ(タイル)が美しいフロント。
新中央酒店 Hotel Central(ホテル セントラル) ポルトガルの伝統様式であるアズレージョ(タイル)が美しいフロント。
IMG_6143 | 1940年代のマカオから着想を得た、シックな内装の客室。
1940年代のマカオから着想を得た、シックな内装の客室。

カジノだけにとどまらない、充実のアクティビティ。

カジノの印象が強いマカオだが、それ以外のアクティビティも豊富。専用劇場での水上ショー「ハウス オブ ダンシング ウォーター」は、高さ最大25mからのダイブやバイクスタントなど、圧巻のクオリティ。シルク・ドゥ・ソレイユ出身のフランコ・ドラゴンが初演をプロデュースし、2025年からは世界的な演出家であるジュリアーノ・ペパリーニに引き継がれ、アクロバット要素を更に加えた再演がスタート。また、マカオの観光業に携わる人材の育成を目的とした「UTM観光大学」は、穴場的スポット。付属のレストランが一般公開されており、実習を目的としているため、本格的なマカオ料理をリーズナブルに楽しめる。学校内には生徒が接客するホテルも併設されており、手頃な価格で泊まることも。

文化が交差する街、マカオの知られざる魅力に出合う。 | UTM観光大学 学内のショップではポルトガルワインをお得な価格で購入できるほか、自家栽培のハーブを使った茶葉やクッキーの販売も。
UTM観光大学 学内のショップではポルトガルワインをお得な価格で購入できるほか、自家栽培のハーブを使った茶葉やクッキーの販売も。
文化が交差する街、マカオの知られざる魅力に出合う。 | House of Dancing Water(ハウス オブ ダンシング ウォーター) 300人以上のキャストが繰り広げる、壮大な水上エンターテインメント。上演前、観客を巻き込んだパフォーマンスも見どころのひとつ。©House of Dancing Water
House of Dancing Water(ハウス オブ ダンシング ウォーター) 300人以上のキャストが繰り広げる、壮大な水上エンターテインメント。上演前、観客を巻き込んだパフォーマンスも見どころのひとつ。©House of Dancing Water

日本とマカオを繋ぐ唯一の直行便を運航する〈マカオ航空〉は、成田国際空港と関西国際空港から毎日運航。飛行時間はおよそ5時間で時差はわずか1時間と、到着後すぐに街へと繰り出せるから、週末のショートトリップにもぴったり。世界の美食を求めて、気軽に訪れたい。

文化が交差する街、マカオの知られざる魅力に出合う。
マカオ航空  マカオ国際空港から主要ホテルまで無料シャトルバスが運行しており、夜に到着しても快適にチェックインできる。

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