「ロエベファンデーション クラフトプライズ」のファイナリスト作品が草月会館にて展示中。2500以上の応募から選ばれた29作品。 / July 02, 2019
イサム・ノグチが手がけた石庭「天国」に、 これからのクラフトを担う作り手の作品が集結。
今日のクラフトの重要性を認識し、未来の新たなスタンダードを生み出す意志を持ったクラフトマンを発掘することを目的に、ロエベ財団が主催して2016年にスタートした「ロエベファンデーション クラフトプライズ」。3回目の開催となる今年は、第1回のスペイン・マドリード、第2回のイギリス・ロンドンに次いで、東京が表彰式の開催場所に選ばれた。会場となるのは、東京・赤坂の草月会館。丹下健三が設計した建築の1階スペースにある、イサム・ノグチが手がけた石庭「天国」にて、そのファイナリスト29人の作品が展示中だ。
このプライズの発案者は、〈ロエベ〉のクリエイティブ・ディレクターでもあるジョナサン・アンダーソン。日本における旗艦店である『カサ ロエベ 表参道』のリニューアルの折に、民藝運動の中心的存在であった陶芸家・濱田庄司から3代にわたり名匠を擁する、濱田窯の陶器作品を店内にディスプレイするほどクラフトへの造詣が深いことでも知られている。今回の展示も、イサム・ノグチの考えに共鳴する彼がこの場所を選んだ。モダンなクラフトの数々が、まるでこの場所に展示することに合わせて作られたように収まっている。
「ロエベファンデーション クラフトプライズ2019」には、100カ国以上の国のアーティストから2500点以上の応募作品が集まった。それを、アーティストやアルチザン、デザイナーなどから構成される審査委員によって29作品(日本人は過去最多の10名)をファイナリストとして厳選。さらにそこから、ジョナサン・アンダーソンやデザイナーで日本民藝館館長も務める深澤直人、昨年の大賞受賞者ジェニファー・リーらによる審査が行われ、大賞と特別賞が決定。大賞には、1982年京都生まれで京都を拠点に活動する石塚源太さんの作品「Surface Tactility #11」が選ばれた。
ファイナリストに選ばれた作品は、素材や形状も様々だが、異素材を組み合わせたものや一見するとその素材で作られていることに気づかない視覚的な効果のあるものなど、作り手のアイデアや意志を感じる作品が多い。そして、どれもがモダンな印象だ。1846年に数人の職人によってクラフト工房としてスタートした〈ロエベ〉は、ブランドの真髄にクラフトマンシップがある。そんな〈ロエベ〉が発掘した次世代のクラフトを担う才能。その展示は見応え十分だ。
展示は、入場無料で会場内での撮影も可能。毎週土曜にはゲストを招いてのトークセッションも開催される。7月22日まで。
■ロエベ ファンデーション インターナショナル クラフト プライズ
会期:~7月22日(無休)
時間:10:00~19:00(金曜のみ20時まで)
会場:草月会館(東京都港区赤坂7-2-21)
入場料:無料
http://craftprize.loewe.com/ja/home#exhibition2019
■トークセッション
毎週土曜 14:00−15:30
会場:草月会館(2F談話室)
※人数多数の場合は先着順
7月6日(土) 皆川明さん(〈ミナペルホネン〉デザイナー)
7月13日(土) 上條昌宏さん(AXIS編集長)、西尾洋一(Casa Brutus編集長)、
7月20日(土) 石塚源太さん(ロエベファンデーション クラフトプライズ2019大賞)+more
※各回とも、モデレーターは川上典李子さん(ジャーナリスト/21_21 DESIGN SIGHT アソシエイトディレクター)が務める