INTERIOR 部屋を整えて、心地よく住まうために。
暮らしの苦手を解消したリノベーション。白を基調とした36㎡の1LDK。August 19, 2025
必要なものを見極め、自分が気持ちいいと思える置き方、収め方を考える。一見手狭に感じる部屋も、使い方次第で大きな家よりも居心地のいい空間になります。収納や間取り、DIY、改装など、アイデアが詰まった16軒の小さな住まいを訪ねました。
&Premium141号(2025年9月号)「小さな家、小さな部屋」より、会社員・本村千紗さんの住まいを特別にwebサイトでも紹介します。
暮らしの苦手を解消したリノベーション。
「私、インテリア選びに自信がなくて……」。そう苦笑いしながら部屋に招き入れてくれた本村千紗さん。36㎡の小さな1LDKは白を基調にした家具で整えられ、清々しい印象。実際の面積よりずっと広く見える。
「リノベーションをお願いした会社のおかげですね。私はとにかくセンスがないので、家具はほぼ造作。それ以外のものもアドバイスをもらいながら部屋づくりをしてきたので」と、リノベーションを振り返る。
東京都内にある築49年のマンション。リノベーション済みの物件だったが、新たに手を加えて自分好みの部屋を作ってきた。壁はニュアンスのある白色で塗装し、フローリングはもともとあったものの表面を削り、マットオイルで仕上げた。どちらも費用を抑えつつ理想を叶えるため、設計事務所と知恵を絞った作戦だ。
「内装をかっこよくしてもらっても、家具選びを失敗したら台無し。ソファや収納などは作り付けに、キッチンや廊下など隙間があるところは全部収納にしてもらったおかげで、食器や服などが外から見えず、すっきりした印象になりました。まだまだ空の収納もあるくらい」
ソファの下には隠れ収納があり、冬物や毛布など、かさばるものはそこへ。それに連結する形で愛猫のトイレも造作してもらった。かつてパントリーだった空間はランドリー兼ウォークインクローゼットに。キッチンカウンターの下もすべて収納にし、食器や調理道具を収めている。
「実は食器洗いと掃除も苦手」と本村さん。希望の食洗機を入れ、外からは見えにくい場所に掃除ロボットの基地も作ってもらった。苦手なことを正直に伝えることで、家がみるみる快適な空間になっていく。暮らしやすい家を作るには、自分と向き合うことが欠かせないと知った。
「自分に必要なものと、そうでないもの。それがわかれば小さな部屋でも理想の空間になる。大変でしたけど学びも多くて、リノベーションしてよかったなと今は思うんです」


本村千紗会社員
愛猫のてつおとふたり暮らし。以前はもっと狭い賃貸マンションに住んでいたが、昨年9月に今の部屋に転居した。趣味は音楽フェスに行くこと。
photo : Kasumi Osada edit & text : Yuriko Kobayashi