INTERIOR 部屋を整えて、心地よく住まうために。
ショップオーナー・井川雄太さんの
美しいものを使う 、飾る、暮らし 。June 10, 2022
日々使う道具や家具、日用品、日常をともにする部屋を飾るもの。それらを美しいもので揃え、心豊かな時間を過ごしている人々を訪ねた、2022年5月発売の特集「家で使う、飾る、美しいもの」より、ショップオーナーの井川雄太さんの住まいをご紹介します。
シンプルだけど温かみがある、モダンデザインの魅力。
北欧とアメリカのヴィンテージ品が気持ちよく並べられた室内。窓の外には北欧の森のような緑が広がっている。〈ファイヤーキング〉専門店や北欧インテリア雑貨、日本の手仕事品、国内外の日用品などを扱う4つのショップを営む井川雄太さんの家からは、仕事を超えたヴィンテージに対する愛が感じられる。
「家にあるほとんどは、1940~60年代のミッドセンチュリー期のものです。この時代のものってシンプルなモダンデザインなのだけど温かみもある。そこが気に入っています」
井川さんは好きなものは常に見ていたいからと、できるだけギュウギュウに飾りたいタイプ。
「ただ飾りすぎると圧迫感が出てしまうので、ギリギリのところでバランスを取っています。ものが好きで、見ていると幸せになるんです」
キッチンにはアメリカのミルクガラスの食器ブランド〈ファイヤーキング〉、ダイニングにはハンドドリップのコーヒーメーカー〈ケメックス〉がいくつも並んでいる。
「〈ケメックス〉は、ガラスがアメリカで作っていた頃の〈パイレックス〉の手吹き。ウッドネックや組み立てもアメリカで行っていた、オールドケメックスと呼ばれる時代のものです。重厚感もあるし、ガラスもハンドブロウならではのぬくもりがあります。大きなサイズは花器にすることもあり、どれも飾るだけでなく、実際に活用しています」
〈ファイヤーキング〉は、井川さんがミッドセンチュリーにハマるきっかけをつくったものでもある。
「大学生の頃に、友人がこのメーカーの白いマグでコーヒーを出してくれたんです。ガラスで熱いものを飲むのが衝撃だったし、デザインも素晴らしくて感動しました」
親の仕事の関係で、子どもの頃から北欧やアメリカのモダンデザインのインテリアに囲まれて育っていたが、改めてその良さを実感。
「映画や音楽からの影響もあります。例えば’60年代の映画『ジョンとメリー』や『ローズマリーの赤ちゃん』、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に出てくる’50年代のインテリアなども、とても印象に残っています」
置物のほとんどは「なぜか惹かれる」という陶器かガラス製だが、最近は木製玩具にも注目している。
「娘が生まれたことで、玩具にも目がいくようになりました。ヴィンテージものばかりで揃えた子ども部屋を作りたいと思っているんです」
著名デザイナーやアーティストの一点ものなど、価値の高いものもたくさんあるが「この形がいいんですよ」と、たまらないといったしぐさで一つ一つを紹介してくれる。その様からは純粋にものが好きだという気持ちが、ひしひしと伝わってくる。
井川雄太
ショップオーナー
〈シーアンドサイン〉代表。『DEALERSHIP』『free design』『cotogoto』『TASTE』と、4 つのコンセプトのショップを運営。
photo : Masanori Kaneshita edit & text : Wakako Miyake