TRAVEL あの町で。
奈良さんぽ部特別編
「暮らすように旅したい”ならまち”と、町家宿・紀寺の家へ」February 19, 2022 /〔PR〕
ならまち
Naramachi
長い歴史に育まれた奈良の街には、古都へ思いを馳せる風情と、新しい風を吹き込むスポット、そして地元の人々の生活が入り交じる。ならまちは歴史と現代とのミックス加減も楽しいエリア。のんびりと暮らすように旅する、ならまちを案内したい。
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今回紹介するならまちは、奈良市街の東西を結ぶ三条通りからJR京終駅までの元興寺の旧境内を中心にしたエリア。江戸時代末期から明治にかけて建てられた町家が数多く残り、風情を漂わせている。最寄り駅は近鉄奈良駅を中心に、JR奈良駅や京終駅など。近鉄奈良駅にあるレンタサイクルを利用するのもおすすめ。
文/大和まこ
「京都さんぽ部」部長ながら、毎回写真を撮りたくなる鹿の姿と豊かな食材に惹かれて、奈良へ足を延ばすこともしばしば。
おおらかな奈良の街で、
暮らすように過ごす時間。
奈良ならではの
旅の目的にしたい場所。
奈良は観光の街とばかりに朝から夕方までを過ごし、夜は京都や大阪で泊まる。そんなセオリーが変わりつつあると感じる近頃。宿泊の選択肢も増えて、奈良らしさを楽しみたい気分が盛り上がってきた。
2020年8月に登場した『七福食堂』は宿『古白』の店主・境祐希さんが開いた食堂。季節食材が身体を整える食養生の考えに基づいた定食が主役だ。素材の持ち味を際立たせた料理が心までも癒やしてくれる。
そのまま南へ下がればJR京終駅が現れる。“きょうばて”と読む地名は、その名のとおり平城京の終わりを意味する、奈良の街の南の玄関口。明治31(1898)年に建てられた駅舎を改装し、’19年2月にカフェ『ハテノミドリ』が誕生した。コーヒー豆やパンなど地元の素材を使ったメニューや、奈良で丁寧に作られた日用品など、様々に奈良を感じさせてくれるカフェ。窓の外には電車の姿もあって、この街に暮らす人々の日常を感じられる場所でもある。
『樫舎』もまた、立ち寄らずにいられない和菓子の名店。店主・喜多誠一郎さんが作る、徹底的に素材と向き合った和菓子は優しくも、どこか背筋の伸びる味。上生菓子を買って宿で味わうのも旅の楽しみだ。
1.七福食堂
Shichifuku Shokudo
奈良市鳴川町19 ☎070−1800−0789 11:30〜18:00(定食〜15:00) 火水休ほか不定休 木曜は喫茶のみ営業。ネルドリップの自家焙煎コーヒーも。
2.ハテノミドリ
Hatenomidori
奈良市南京終町211 京終駅舎内 ☎070−1849−1033 11:00〜17:00(16:40LO) 水休
3.樫舎
Kashiya
奈良市中院町22−3 ☎0742−22−8899 9:00〜18:00 喫茶11:00〜16:30 無休 喫茶は予約優先。カウンター席での和菓子のフルコースは完全予約制。
ローカルな視点で歩く
街歩きもまた楽しみ。
地元で愛される暮らしに密着した店を訪ねるのも、勧めたい過ごし方。毎日に欠かせないという人が多いコーヒー豆なら、椿井市場の『タビ コーヒー ロースター』へ。店主の田引宏治さんは、かつて西大寺にあった『珈琲館 煦露粉』で焙煎を担当していた焙煎人。飲み飽きない深めの焙煎のコーヒーが待っている。
パンなら’17年にならまちへ移転してきた『ミアズブレッド』も外せない。店主・森田三和さんの作るパンは、しっかり存在感を持つものばかり。種類豊富なサンドイッチを朝食やランチにというのも、いい選択肢。
野菜や果物の産地でもあり、豊かな食材が手に入るのも奈良の魅力のひとつ。ではどこに向かうか、といえば東向商店街にある『ヘックス ハイブ』を紹介したい。古着と野菜や食材が並ぶ店構えに驚くかもしれないけれど、店主の片石健司さんは宇陀で農業を営む兼業農家。近隣の農家で作られるものも含め、自ら集めてくる朝採れ野菜は新鮮そのもの。奈良の豊かさを実感する一軒なのだ。
趣ある街を歩きながら、地元で愛される店々を訪ねる。そんな時間の過ごし方を提案したい奈良さんぽ。
4.タビ コーヒー ロースター
Tabi Coffee Roaster
奈良市椿井町5 ☎0742−93−6133 10:00〜18:00 水、第1・3日休ほか不定休
5.ミアズブレッド
MIA’S BREAD
奈良市勝南院町2 ☎0742−27−0038 8:00〜売り切れ次第終了 カフェ9:00〜15:00(14:00LO) 月火水休ほか不定休 月替わりのサンドBOXなども。
6.ヘックス ハイブ
HEX HIVE
奈良市東向日南町3 ☎0742−27−8120 9:30〜21:00 無休
※各店の営業日、営業時間は変更になる場合があります。
人々の暮らしにちょっと参加させてもらう気持ちで訪ねたい町家宿。徒歩圏内に奈良の名所・名店が揃うのも魅力です。
街を歩いて宿で過ごして奈良の街を体感する時間。
大陸文化のおおらかさが色濃く残る奈良。その魅力を知るには、暮らすように過ごす時間を提案してみたい。鹿だけが闊歩する早朝のさんぽ、夕景を思う存分眺める、地元で愛される店々での買い物、そして町家のひととき。どれもが奈良の新たな魅力に気づかせてくれるに違いない。
伝統的な木造建築を次の世代まで残したいと、藤岡俊平さんが手がけるのが『紀寺の家』。2011年に開業し、昨年10周年を迎えた一棟貸しの町家宿だ。「取り壊されていく建物を残すためには、これからの町家暮らしを体験してもらうことが大切だと。趣や意匠の魅力的な部分は残し、利便性を加える形で改装したのが、5棟それぞれの個性を生かした『紀寺の家』です。町家の住人になって、この奈良の地に根付いた文化を楽しんでもらえたら」と藤岡さん。昨年9月からは「縁側の町家」を1週間以上の滞在型に変更。食事の用意はもちろん、庭の水やりも含めて宿泊者が行うことで町家暮らしを体験できる場となっている。
『紀寺の家』があるならまちは、新しい店々が増えて賑わう一方、地元の人々が暮らし、日々の営みを支える店もある街。奈良暮らしを肌で感じるのにこれ以上ない場所なのだ。
前庭の町家
通り庭の町家
奈良町宿 紀寺の家(きでらのいえ)
奈良市紀寺町779 ☎0742−25−5500 予約はウェブサイトからも可。
photo : Kunihiro Fukumori illustration : Junichi Koka 協力 : 奈良市観光コンテンツ造成補助事業