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音楽ライター・栗本斉が「歌のないシティポップ」を中心に編んだ、アルバム『CROSSOVER CITY』が5月21日に発売。April 15, 2025
リバイバルで注目度が高い、ジャパニーズ・フュージョンのコンピCDがリリース。
甘くメロウなメロディ、デジタルシンセ、ピアノ、管楽器のなめらかな音色、迫力のあるホーンセクション、技巧的なエレクトリックギターのリラクシンな調べ——。フュージョンと呼ばれる、1970年代後半から 80年代にかけて隆盛した音楽ジャンルが、今、再燃している。
ロック、 ソウル、ラテン音楽をミックスしたポップで聴きやすいジャジーなインスト音楽のことを指していて、ギター界のレジェンド・高中正義、日本を代表するキーボーディスト・菊池ひみこ、フュージョンバンドCASIOPEAといったアーティストを筆頭にかねてより海外の音楽ファンからも注目を集めている。そうした一部のマニアックな音楽ファンからの支持に留まっていたジャパニーズ・フュージョンは、シティポップのリバイバルブームやフューチャーファンクへのサンプリングネタに多用されることも相まって、より広く聴かれるようになった。その時代にしか醸せない、余裕と遊びのある独特のサウンドプロダクションは、現代を生きる人の憧憬になっているのかもしれない。
こうした文脈を丁寧にひもといた、ジャパニーズ・フュージョンのコンピCD『CROSSOVER CITY』が、レコード会社5社による共同企画として、5タイトルが2025年5月21日に発売される。
企画・選曲・解説を手がけるのは、著書『「シティポップの基本」がこの100枚でわかる!』(星海社新書)が重版を重ね、TVやラジオなどのメディア出演、本誌『&Premium』にも寄稿する、音楽ライターの栗本斉。
収録曲は、’70年代後半から ‘80年代にかけて発表された楽曲に特化。シティポップ好きのリスナーに向けた「歌のないシティポップ」を中心に高中正義、CASIOPEA、渡辺香津美、日野皓正、渡辺貞夫といったアーティストから、廃盤かつ未配信の隠れた傑作まで幅広くセレクト。’70〜’80年代のムードを現代的にブラッシュアップしたサイケなアートワークは、’80年代的デザイン表現の先駆者でもあるグラフィックアーティスト、ステレオテニスが描き下ろしした。
ジャパニーズ・フュージョンをリアルタイムで聴いていたリスナーも、これから聴く人にも、その真髄やバイブレーションがしっかりと伝わる内容になっているので、ぜひこの機会に味わってみてほしい。
Information『CROSSOVER CITY』
発売日:2025年5月21日
価格: ¥3,300
CROSSOVER CITY -Asayake- (ソニー・ミュージック)
CROSSOVER CITY -Bon Voyage- (キングレコード)
CROSSOVER CITY -Mint Breeze- (ユニバーサル ミュージック)
CROSSOVER CITY -Misty Morning- (ビクターエンタテインメント)
CROSSOVER CITY -Park Avenue- (日本コロムビア)
text : Seika Yajima