MOVIE 私の好きな、あの映画。
モデル・エッセイスト 前田エマさんが語る今月の映画。『自由が丘で』【極私的・偏愛映画論 vol.121】December 25, 2025
This Month Themeひとりでも、ソウルに行きたくなる。

ソウルでの静かな時間が描かれている。
ソウルを訪れて気に入ったのなら、「もう少し長く滞在してみたいな」と思う人もいるだろう。どこに行くでもなく、何をするでもない、何気ない日々を、ここで送ってみたいと考えるかもしれない。ホン・サンス監督作品『自由が丘で』は、そんな“なんてことないソウルでの時間”が描かれている。かつての恋人に会いたくて日本からやってきた男が、ゲストハウスに滞在し、そこで出合う人々と会話をしたり、カフェの女店主と仲良くなったり、ただそれだけの映画だ。
韓国の伝統的な民家“韓屋” (ハノク)を使ったゲストハウス。何度もくりかえし登場する裏路地の白い壁。韓国のビルにありがちなツルッとしたコンクリートのグレーの階段。坂道にある住宅街。緑茶のようにグビグビ飲める、コーヒーを水で薄めたアメリカーノ。ソウルに留学していた私からすると、どれも懐かしいありきたりな風景に嬉しくなる。
国をあげてエンタメに力を入れる韓国。大掛かりなセットやCG技術、よく練られた脚本に巧みな宣伝。そういったものからはだいぶ距離のある作品を作ってきたホン・サンスは、韓国を代表する監督で、三大国際映画祭の常連だ。
お笑いを見て笑ったことがない私は「お笑いって、ホン・サンスの映画のようなものなのかな?」と勝手に思っている。はじめて観たときはよくわからなくって、でも何本も観ているうちに、なんとなく楽しみ方がわかってきて、気がついたら新作が公開されるたびに映画館へ足を運ぶようになっている。そういえば、ゴダールの映画もそうだった。最初はポカンとしていたのに、いつの間にか好きになって、何回も見返すようになっていた。ホン・サンスが“韓国のゴダール”と呼ばれるのは、男女の恋愛を会話劇で描くからなのだそうだが、私的には、こういった部分で似ているふたりの監督である。私が留学していたとき、ソウルの住宅街を歩きながら「ああ、ホン・サンスが始まりそうだなあ」と、それだけでうきうきほかほかしたことを覚えている。


『自由が丘で』
Director
ホン・サンス
Screenwriter
ホン・サンス
Year
2014年
Running Time
67分
illustration : Yu Nagaba movie select & text:Ema Maeda edit:Seika Yajima
モデル 前田 エマ

























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