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手仕事の茶器で淹れる一煎が、日々の活力に。作家の手仕事を感じられる、日本茶の道具。March 10, 2026
ここでは日本茶の基本となる煎茶を淹れる道具を紹介。江戸時代、漢詩や書画との親和性から文人に好まれていた煎茶が、家庭での日常飲料になったのは明治を迎えてから。常滑焼や萬古焼といった量産の急須が普及したことも理由の一つ。急須と湯呑みがあれば手軽に淹れられるようになったため、客へのもてなしから、食後の締め、仕事の合間など、生活のあらゆる場面で煎茶は日本人の生活に根付いていった。ペットボトルでも煎茶が飲める時代だが、道具を揃えることで、改めてその文化に触れたい。
&Premium144号(2025年12月号)「コーヒーとお茶と、わたしの時間」より、日本茶の道具を紹介します。
葛巻 元の鉄瓶

ぽってりした造形で、工芸性と実用性を併せ持つ南部鉄瓶。薄肉軽量のため扱いやすく、日常使いに適している。シンプルな造形だが、手仕事の緻密さが感じられる。鉄瓶で沸かした湯は鉄分が溶け出し、まろやかに感じられ、煎茶と相性がいいとされる。茄子形鉄瓶 うらら[0.7ℓ]¥41,800(ヤエカ アパートメント ストア ☎03−5708−5586)
梶原靖元の湯呑み

江戸初期頃に作られていた唐津の素材、砂岩をベースに常に新しい作品を発表し続けている作家。手のひらにすっぽりおさまるサイズで、染付は手描きの花が両面に添えられている。煎茶のふくよかさを誘う小さな湯呑みに、自然の力強さが宿っている。右から/染付湯呑各¥6,600、素瓷湯呑¥11,000(以上ラパンアート)
加藤 財の急須

千葉・香取で作陶。1980年代後半からは急須とポットを専門に制作している加藤の急須は、段差のない丸く滑らかなフォルムが魅力。品のいい見た目に加え、湯切りの良さも抜群。横手のため手首をあまり返さずに注げ、操作性にも優れている。2〜3人分の煎茶を淹れるのに最適なサイズ。横手急須平白¥12,100(宙 ソラ)
十場あすかの片口

煎茶の適温は70〜80℃といわれる。沸騰した湯の温度を下げる湯冷ましに使ったり、抽出した煎茶を移してサーバーにしたりなど、片口はあると豊かになる道具である。白釉で知られる作家だが、こちらはざらりとした肌合いの石目調のテクスチャーを持つシリーズの一点。神戸市に工房を構える。石¥8,800(ラフィー ☎080−7071−3609)
宮下敬史の茶托

神奈川・横須賀で茶器周辺の道具などの木工作品全般を手がける作家。茶托は平らな形状で、仕上げは拭き漆で表情を出している。木材の個性を生かしたつくりで、神具をのせる手力盆のような静謐な印象。茶托としてだけでなく、お茶請け用の菓子皿としても使うことができる。右/桜¥6,600、左/栗¥6,820(ともにオク)
坂井咲子の瑠璃釉花文宝瓶

2019年に京都に築窯。宝瓶に茶葉を入れて湯を注ぎ、蓋をして30〜60秒ほど蒸らしたら、蓋を押さえながら湯呑みに移す。片手でお茶を注げ、構造がシンプルなので茶葉の性格をまっすぐに引き出したいときに向いている。深い瑠璃色が煎茶の湯色を鮮やかに感じさせ、みずみずしさを与えてくれる。¥33,000(LEAFMANIA)
三野直子の冷茶グラス

富山市にてガラス作家として活動。表面の細やかな模様は、木工用ボンドでフリーハンドで描き、そこにサンドブラストを吹き付けて削って浮き上がらせている。冷茶を注いだときのお茶と模様の重なりが独特の景色を生む。70℃程度の湯なら大丈夫とされるが、耐熱ではないので急激な温度差には注意。¥8,800(季の雲 ☎0749−68−6072)
yuta 須原健夫の茶匙

卵や落ち葉、雫を連想させる、自然の形態を意識したフォルム。2002年から彫金を始め、特に真鍮を使ったカトラリーや茶道具を制作している。金槌などで叩き出して形を作り、曲線や細部の仕上げまでこだわっている。長く使うほどに真鍮の光沢が深まり、色合いが変化していく。茶器と共に育てる道具として大切にしたい。¥2,200(オク)
岸野 寛の白釉輪花汲出

汲出とは日本茶用の小さな碗で、湯呑みよりも浅く、口がやや広がっているのが特徴。それにより香りが立ちやすく、湯色を見やすいことから、家庭におけるもてなしの茶碗として人気が高い。白釉の陰影が器に表情を添え、花弁状の波を持つ輪花と呼ばれる口縁の形状によって、煎茶の緑が映える。¥4,950(夏至)
木檜ひろこの漆皮茶箱

東京藝術大学卒業。グラフィックデザイナーを経て、2019年頃から伝統的な漆皮の技法をもとに、独自の手法で漆器を制作。牛床革など動物の革を木箱にかぶせて張り込み、麻布を補強材にして漆を染み込ませて固めている。茶器をまとめて収納したり、野点の際に携行するのに使いやすい。麻布付き。白漆マーブル茶箱¥58,300(LEAFMANIA)
photo : Satoshi Yamaguchi styling : Emiko Furuse edit & text : Wakako Miyake
































