LIFESTYLE ベターライフな暮らしのこと。

どの角度から眺めても、愛せる場所。美術家・岡崎真悟さんと英会話講師・岡崎あかねさんの台所。December 03, 2025

工夫とアイデアに溢れた台所を訪ねた&Premium145号(2026年1月号)「料理好きの台所」より、美術家・岡崎真悟さん、英会話講師・岡崎あかねさんの台所を紹介します。

どの角度から眺めても、愛せる場所。自然と家族の真ん中にある、台所。
山、川、畑がある大分の自然豊かな環境で暮らす岡崎真悟さん、あかねさん、むぎくん。卓球場を改装した一軒家の空間は、リビングと台所が一体になった心地よさがある。
どの角度から眺めても、愛せる場所。自然と家族の真ん中にある、台所。 | もともと窪みのあった空間に合わせて、オーダーメイドの食器棚や業務用冷蔵庫を収めた。息子が描いた絵やメッセージを飾り、大切な時を感じられるように。
もともと窪みのあった空間に合わせて、オーダーメイドの食器棚や業務用冷蔵庫を収めた。息子が描いた絵やメッセージを飾り、大切な時を感じられるように。
どの角度から眺めても、愛せる場所。自然と家族の真ん中にある、台所。 | 珪藻土の水切りマットに食器を置き、すばやく乾く工夫を。
珪藻土の水切りマットに食器を置き、すばやく乾く工夫を。
どの角度から眺めても、愛せる場所。自然と家族の真ん中にある、台所。 | 古道具で購入した窓枠の長さを切り出して調整。「目の前には鶏の小屋があります。眺めながら料理をすると和みます」と真悟さん。
古道具で購入した窓枠の長さを切り出して調整。「目の前には鶏の小屋があります。眺めながら料理をすると和みます」と真悟さん。
どの角度から眺めても、愛せる場所。自然と家族の真ん中にある、台所。 | ガス台があるすぐそばに造作したパントリー。〈無印良品〉で購入したワイヤーバスケットに調味料、麺類、粉類などを分類してまとめた。
ガス台があるすぐそばに造作したパントリー。〈無印良品〉で購入したワイヤーバスケットに調味料、麺類、粉類などを分類してまとめた。

家族の輪が生まれる、〝見たい景色〞に出合える喜び。

 岡崎真悟さんとあかねさんが息子と愛猫3匹と暮らす一軒家は、元は卓球場だった建物を改装して作られたもの。ここから家族の新しい暮らしが始まった。倉庫のような115㎡のつくりや広さを生かそうと、土間と部屋の壁を取り払ったのだという。台所、リビングダイニング、ベッドルームがひと間続きの空間は、天井高で開放的な気分にさせる。

 台所はその空間の真ん中にあり、家族の様子をそっと見守ることができる。真悟さんは、美術家であるがゆえ、自分の眼で「見るということ」を生活の中で大切にしている。所々に、そのことを物語るいくつかの工夫がなされていた。

「キッチンカウンターのすぐそばのコーナーには窓がありました。それを取り払って、真っ白いペンキを塗った壁にして、自分の大きな作品を飾るスペースにしています。人は毎日同じ気持ちでは生きていないから、瞬間、瞬間で見えるもの、感じるものが変わっていく。そういう意味でも、台所やリビングでの作業中にふと視線を送った先に作品があることに意味があるんです。眺めることで心に余白が生まれたり、新たなイメージが膨らんだりするので」

 もう一つは、ガスコンロの眼前にある窓辺の景色。

「古道具で購入した木製の窓枠をしつらえました。今よりももう少し大きな枠だったのですが、やや小さいサイズに窓枠を切り出して見た目を整えたんです。そこから見えるのは、最近ともに暮らし始めた2羽の鶏や自分たちで植えた果樹や植物。ここのところパスタづくりに目覚めてよく料理しているのですが、庭で鶏がウロチョロしている様子を眺めている時間がとても心地いいんです」

 あかねさんが続ける。「産みたてほやほやの新鮮な卵を目玉焼きにして食べるのが朝食の楽しみ。息子が鶏たちの世話をして、戯れる姿も愛おしい風景です」

 そうした日々の温かな時間は、暮らすこと、食べることに日々、愛を注いでいるからこそ育まれるものだろう。台所にある木の素材もまた、岡崎家の暮らしを優しく包む大切なパーツに思えてならない。

「古い木材の質感が好きなんです。食器棚の上に飾った流木は、海で拾ってきたもの。キッチンカウンターは親しくしている工務店に頼み、いろんな解体現場で出てきた板材を組み合わせて造作してもらいました。そばにあるサイドテーブルの脚も自分で取り付けてみたりして。そうやって、台所空間を少しずつ手作りするのを楽しんでいます」

どの角度から眺めても、愛せる場所。自然と家族の真ん中にある、台所。 | カボスの木や細かい葉を茂らせるシルバーティーツリーなどが植わっている庭。「鶏と暮らして4か月。日に日に愛情が増しています」とあかねさん。
カボスの木や細かい葉を茂らせるシルバーティーツリーなどが植わっている庭。「鶏と暮らして4か月。日に日に愛情が増しています」とあかねさん。
どの角度から眺めても、愛せる場所。自然と家族の真ん中にある、台所。 | 家族3人が横並びになって調理や作業ができる広々としたレイアウト。あかねさんと息子のむぎくんはパスタのお供にするシナモンロールづくりに没頭。
家族3人が横並びになって調理や作業ができる広々としたレイアウト。あかねさんと息子のむぎくんはパスタのお供にするシナモンロールづくりに没頭。
どの角度から眺めても、愛せる場所。自然と家族の真ん中にある、台所。 | 真悟さんがよく作る牡蠣のトマトパスタ。旅先で購入した思い出の器に盛り付けた。「料理を作っている時間は無心になれる。細かな下ごしらえも好きですね」
真悟さんがよく作る牡蠣のトマトパスタ。旅先で購入した思い出の器に盛り付けた。「料理を作っている時間は無心になれる。細かな下ごしらえも好きですね」
どの角度から眺めても、愛せる場所。自然と家族の真ん中にある、台所。
冷蔵庫、ガスコンロ、パントリーが直線上にあるすっきりとした動線。カウンターとダイニングテーブルの距離感がいい。
145_p038-041_岡崎邸_09 | 岡崎真悟、岡崎あかね

岡崎真悟、岡崎あかね美術家、英会話講師

真悟さんはさまざまな質感の紙を使い、自身のアイデンティティを投影したアートを国内外で発表。あかねさんはオンラインで英会話を教えている。

photo : Tetsuya Ito edit & text : Seika Yajima

Pick Up 注目の記事

Latest Issue 最新号

Latest Issuepremium No. 145料理好きの台所。2025.11.19 — 980円