INTERIOR 部屋を整えて、心地よく住まうために。
古さを魅力に変える木の家。PR ディレクター・清水彩さんが暮らす、築37年の一戸建て。April 13, 2024
時間を重ねた家で感じる、暮らしの手触り。
家を選ぶときの基準は様々ある。神奈川県鎌倉市にある築37年の一戸建てに暮らす清水彩さんの場合は〝木〞だった。家全体に使われた木、窓から見える木、そうした木が醸す温かくて清々しい空気感だった。
東京都内のマンションに2人の子どもと暮らし、会社員として働いていた。便利な設備のある家は快適だったが、何か足りない……。
「横浜市郊外の緑がある場所で育ったので、できれば自然が近くにあったらいいなと思っていて。3年前、独立してフリーランスになるタイミングで家探しを始めました」
海も山も近く、友人や親も住んでいる鎌倉は最適だった。そして見つけたのが、今の家。内見で中に入ったとき、かつてホームステイしていたイギリスの家、そして度々訪れるカリフォルニアの友人たちの家に流れていたのと同じ空気を感じた。
「総木造で、窓からは緑が見えて、やわらかい光が入る。玄関ホールから2階のリビングへ続く吹き抜けがあって、家の中を風が回っていく感じも、すごく心地よかったんです」
吹き抜けの天井には天窓。季節や時間によって入る光の加減が変わり、晴れた夜には星空も見える。
「古い家ですが、木は時間を経るとともに味を増して、きちんと手入れすれば古さが魅力に変わる。イギリスやカリフォルニアの家もそうでしたが、ピカピカの箱ではなくて、生活しながら暮らしの手触りが蓄積していくような場所。ひと目見て、ここだと思ったんです」
家具はほとんど人に譲り、木の家に合わせて買い替えた。
「古い家には、やっぱり古い木の家具が馴染む。家と家具というのは決して切り離して考えることはできないんだなって、改めて感じました」
古い家ならではの、さりげない意匠が施された建具も気に入っている。新旧のアート作品が違和感なく同居できているのも、木が持つおおらかな包容力があってこそだ。
「冬は寒いですが湯たんぽを入れれば大丈夫。足し算ではなく工夫で解決する。暮らしの知恵が自然と生まれるようになったのも、木の家に暮らしたおかげかもしれません」
清水 彩 Aya ShimizuPR ディレクター
〈ランドスケーププロダクツ〉にて食関係のプロデュースやアートコンサルティングなどを担当。独立後は人とカルチャーをつなぐ仕事を幅広く手がける。
photo : Kasane Nogawa edit & text : Yuriko Kobayashi