INTERIOR 部屋を整えて、心地よく住まうために。

チェリスト・NANAOさんが暮らす23㎡のワンルーム、その心地よさの秘訣。April 06, 2024

和紙で作られた球体のペンダントランプシェードは、〈IKEA〉で購入。ベージュトーンの壁紙の面積を少なくするため、窓の左側の壁に白い布を張りつけた。
和紙で作られた球体のペンダントランプシェードは、〈IKEA〉で購入。ベージュトーンの壁紙の面積を少なくするため、窓の左側の壁に白い布を張りつけた。
チェロの練習は部屋の真ん中で。目下の課題はバッハの楽曲。
チェロの練習は部屋の真ん中で。目下の課題はバッハの楽曲。

模様替えを楽しみ、空間を磨き上げる。

透けた白いカーテンから柔らかな光が差し込む午前11時。「冬の間は、いまから3時間だけ光が綺麗なんです」。そう話すチェロ奏者のNANAOさんが暮らす23㎡のワンルームのアクセントは、チェロやピアノといった気品を放つ美しい楽器だ。白やベージュを基調としたナチュラルなインテリアのムードを、艶を纏った黒や茶色が引き締めている。

「色のトーンや余白は大事にしています。パリのアパルトマンのような雰囲気を目指しつつ、ナチュラルなムードに偏りすぎないように背の高いフロアランプを黒にしたり、シルバーやゴールドがパーツに使われた家具を選んだりしています」

 この部屋に住んで6年ほど。模様替えが趣味であるNANAOさんは、気分を変えたくなる衝動が3か月タームでやってくるという。

「雑誌やSNSを見ていると、模様替えをしたくなるんです。いろいろとやってみて、いまの配置がベストだと思っています。最初は窓辺にベッドを置いていましたが、光を取り込める唯一のスペースにベッドを置いてしまうのはもったいないと気づいて。光を感じながら食事をしたり、楽器を演奏したりできるほうがより心地いいですね」

「ベッドの高さは低いほうが、見た目が可愛くなる」とNANAOさん。ホテルのような空間をイメージしてしつらえた。
「ベッドの高さは低いほうが、見た目が可愛くなる」とNANAOさん。ホテルのような空間をイメージしてしつらえた。
ピアノのそばにモディリアーニの作品を。「絵画を印刷した クリアファイルがあったので額装して、飾ってみました」
ピアノのそばにモディリアーニの作品を。「絵画を印刷した クリアファイルがあったので額装して、飾ってみました」
趣味で作った白い器の上に、塚崎愛のアクセサリープレートを。小さなお香立てを置き、香りをゆっくりと味わう。
趣味で作った白い器の上に、塚崎愛のアクセサリープレートを。小さなお香立てを置き、香りをゆっくりと味わう。

 2部屋ある住まいへの引っ越し願望がありつつも、音を出してもOKなちょうどいい物件になかなか巡り合えない。そこで工夫したのが、布と床材で空間を演出するということ。

「白い布を押しピンで天井につけるだけでゆるやかな仕切りができます。グレーの床材を部屋の半分に敷くことで雰囲気が出てきました」

 そんなディテールの工夫が空間をつくる大切なエレメントになる。積み重ねを楽しんでこそ、〝自分ひとりの部屋〞が丁寧に磨かれていく。

キッチンとリビングの間に仕切りがないため、キッチンのすぐそばに大胆にベッドを配置。活動する場と寛ぐ場をセパレートした。
キッチンとリビングの間に仕切りがないため、キッチンのすぐそばに大胆にベッドを配置。活動する場と寛ぐ場をセパレートした。
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NANAO チェリスト

8 歳よりチェロを始める。フリーランスでオーケストラの客演やライブのサポート活動を行う。好きな作曲家はバッハ。趣味は模様替え。

photo : Maya Matsuura edit & text : Seika Yajima

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