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発酵が美しいジャパンブルーを生む。古来続く藍染めを次世代へ。 Watanabe’s/渡邉健太さんNovember 02, 2021 /〔PR〕
日本における藍染めの歴史は奈良時代に始まったといわれています。そんな長い歴史に、新たな息吹をもたらす活動をしているのが渡邉健太さん。染料の元となる蓼藍(タデアイ)という植物の一大産地として知られる徳島県で、2018年に工房を立ち上げて以来、藍を育てる畑の土作りから取り組み、栽培から染色までを一貫して行っています。
藍染め体験がきっかけで、会社を辞めて飛び込んだ世界。
渡邉さんと藍染めの出合いは、10年前に遡ります。大学を卒業して東京でサラリーマン生活を送っていたとき、さまざまなジャンルの職人を特集した一冊の雑誌で目にした藍職人に心を奪われたそう。
「すぐに藍染め体験ができる場所を調べて、青梅の工房へ出向きました。建物内に漂う今まで嗅いだことのない香り、生地を染める液体の感触、染め上がった美しい色を実際に目にして、これしかない!と、運命を感じたんです。4日後には迷うことなく会社に辞表を出しました」
修業先を調べるうちに見つけたのが、徳島県の上板町が募集していた、藍染めに特化した地域おこし協力隊。町の臨時職員として、藍の栽培から染色まで藍染めの全工程をここで学んだそう。並行して、協力隊のメンバーとともに藍染めユニット「BUAISOU.」としての活動も始めました。
藍師と染師がそれぞれの工程を分担する藍染め。
藍染めは基本的に分業で成り立ち、大きくは藍師(あいし)と染師(そめし)の仕事に二分されます。畑で藍を栽培して染料となる蒅(すくも)を作るのが藍師。藍師から蒅を仕入れ、図柄をデザインしたり、染色するのが染師です。
渡邉さんが行う藍染めは、天然由来の材料のみを使う“天然灰汁発酵建て(てんねんあくはっこうだて)”。江戸時代に確立された手法で、ふたつの発酵が大きな役割を担います。ひとつは、蒅を作るとき。もうひとつは、蒅をベースに木灰などの栄養分を加えて染色液を作る際に発酵の力を利用するといいます。
とくに重要なのが蒅作り。夏の間に刈り取り、乾燥させた藍の葉を秋から冬にかけて約120日かけて発酵させる、日数も手間もかかる作業です。畑仕事とともに重労働ゆえに後継者不足に直面していますが、藍染めにとって蒅は必要不可欠なもの。
「自分が畑に立つことで改善すべき点など見えてくる部分もある。少しずつ働きやすい環境に変えていければいいなと思っています」
藍染めの根幹を成す藍師の仕事に情熱を傾ける。
「BUAISOU.」の活動を海外にも広げ、国内外で注目を集める存在になった渡邉さん。しかし、経営者としての仕事が増え現場から遠ざかったことで、自分が本当にしたいことを見つめ直し、独立を決めます。
「藍染めの根っこの部分である農業にこそ力を注ぎたい。自分で蒅を作り、その価値をアウトプットしたいと思ったんです。藍の栽培から製品に仕上げるまで一貫して行うスタイルは以前と同じですが、藍染めを続ける上で、藍師としての土台をきちんとつくりたかった」
世界中に藍染めの文化は数多くありますが、蒅と染色液の2度の発酵を経て染めるのは日本特有です。さらに、〈Watanabe’s〉では工房に隣接する養豚場と共同開発を進め、3か月かけて発酵させた堆肥を藍の栽培に用いる試みも。
「発酵の歴史は長く、解明されていない点も多いんです。積み重ねた経験や勘に頼るだけでなく、染色の変化を時間や温度など数値化したデータとして蓄積する。そうして、次世代へと引き継いでいきたいですね」
渡邉さんの新たな取り組みについてはこちらから
「発酵」生まれの恵みを肌へ。〈アクアレーベル〉から生まれた#塗る発酵「アクアウエルネス」の期間限定サイト「HAKKO WELLNESS JOURNAL」にてご覧いただけます。
渡邉健太さんの工房「Watanabe’s」の公式サイトはこちら
photo : Kayoko Aoki text : Yumiko Ikeda edit : Ai Sakamoto
Supported by アクアレーベル