私の好きな、心が整う聖地。

厳しくて美しい自然に癒やされた、宮城・御釜。歌人・伊藤 紺さんの好きな聖地。August 15, 2025

神社仏閣、庭園、湖、山……。古くから人々の祈りが込められてきた場所には、ただそこに身を置くだけで、内側から満たされる力がある。癒やされたいとき、心を鎮めたいとき、自分を見つめ直したいとき、ふと訪れたくなる。8人に聞いた、とっておきの〝私の聖地〞。

山形・御釜
展望台へのアクセスは車で。「登るうちに気温がどんどん下がり、ピリッとした空気に変わっていくのが新鮮でした」

厳しくて美しい自然に、深く癒やされた。

 緑の火口湖は、非常に美しく、荘厳で、生物は生息できないというのが見るだけでわかるような、自然の厳しさも感じます。褐色の土に、大小さまざまな石がごろごろと落ちていて歩きづらく、5月だというのに気温は2℃。枯れて凍った木や、立ち込める霧など、厳しい環境。景色自体が、やさしく穏やかなわけでは決してないのですが、その厳しさと美しさに対峙するとき、自分の中にある、何か固い部分がほどけるような、助かるような感覚を覚え、深く癒やされました。

御釜

刈田岳、熊野岳、五色岳と周囲を3つの山に囲まれた火口湖。エメラルドグリーンやブルーなど、太陽の光によって様々な色に変化することから「五色湖」とも呼ばれる。

伊藤 紺

伊藤 紺歌人

2016年、作歌を始める。歌集に『気がする朝』(ナナロク社)、『肌に流れる透明な気持ち』『満ちる腕』(ともに短歌研究社)。商業施設での展示など活動の幅を広げる。

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