京都の街を描いた、『ホテル アンテルーム 京都』の石庭。ひみつの坪庭コレクション vol.17May 14, 2025

京都の店々に密やかに備わる坪庭は、この街に暮らす人々の美意識を象徴するような場所。京都に出かけたら見に行きたい、小さくも美しい庭を紹介します。

　かつて学生寮だった建物をコンバージョンし、ホテルへと生まれ変わらせた『ホテル アンテルーム 京都』。コンセプトに掲げるアートとカルチャー、そして和を体現するもののひとつが庭だ。主木となるのはこの場所に長く受け継がれ、健やかに成長した山桃の木。その堂々たる姿を京都御所に見立て、周りを囲むように白砂に鉄の間仕切りを置いた。まっすぐな鉄の線は都を東西南北に貫く大通りでもあり、鴨川の流れでもある。五山を思わせる苔山が浮かんで点在し、描き出されるのは整然とした碁盤の目の京の街なのだ。

　枯山水のひとつである石庭は、水を使わず石と砂、苔とを用いて山水を表現する庭の様式。そこに存在しない滝や川、山々を感じさせる見立ては、日本文化に育まれた美意識の賜物でもある。
　
　庭の名は「石庭 京都鳥瞰図」。アートへと昇華した現代版石庭に描き出された京の街は、刻々と移り変わる日差しや、落葉、ときに降り積もる雪などで表情を変え、想像を掻き立ててくれる。