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東京のお蕎麦を愉しむ。 写真と文:キム・ジノン (東京茶飯事コンテンツディレクター) #2April 09, 2025

東京で出合った日本食といえば、お蕎麦だと思います。かけ蕎麦やもり蕎麦から感じられる、極めてシンプルで効率的な食卓を眺めていると「日本だな〜」と実感できます。

東京茶飯事2:お蕎麦を愉しむ。 東京茶飯事コンテンツディレクター・キム・ジノン #2 /『川上庵』
『川上庵』

普段たくさん食べたりするほうではないので、お蕎麦だけでもいいですし、何か足りないな〜と思った時には天ぷらか砂糖の入った卵巻きなどを頼んだら、だいたい満足できます。

あと、お蕎麦屋ってお酒を飲めるいいお店でもありますね。ただし、お酒を飲めない自分としてはこういう一品料理はお酒のお供というよりはいい食事になります。それはそれで自分ならではの東京のお蕎麦屋の楽しみ方でもありますが。

ですので、食べ物とか飲み物というよりもその空間の空気感のバリエーションがお蕎麦を食べる楽しみです。

東京のお蕎麦屋って地域やお店のスタイルによって、全然違う表情が見えます。『かんだやぶそば』では品の高い雰囲気が感じられるし、『神田まつや』では町のおばさんがお手伝いしているような下町の愛情みたいなのが感じられます。

東京茶飯事2:お蕎麦を愉しむ。 東京茶飯事コンテンツディレクター・キム・ジノン #2 /『かんだやぶそば』
『かんだやぶそば』
東京茶飯事2:お蕎麦を愉しむ。 東京茶飯事コンテンツディレクター・キム・ジノン #2 /『神田まつや』
『神田まつや』

一方、『室町砂場』や『虎ノ門 大坂屋 砂場』では仕事を終えたサラリーマンが少し早めの晩酌を楽しんでいて、その姿をぼんやりと眺めます。この一連の空気感と、お蕎麦とお醤油とお酒の匂いが混ざる瞬間、その場の独特の雰囲気が漂います。その雰囲気というか香りを愉しむのが好きですし、東京に行くのはお蕎麦屋に行く理由でもあります。

東京茶飯事2:お蕎麦を愉しむ。 東京茶飯事コンテンツディレクター・キム・ジノン #2 /『虎ノ門 大坂屋 砂場』
『虎ノ門 大坂屋 砂場』
東京茶飯事2:お蕎麦を愉しむ。 東京茶飯事コンテンツディレクター・キム・ジノン #2 /『虎ノ門 大坂屋 砂場』
『虎ノ門 大坂屋 砂場』

私が好きな東京のお蕎麦ベルト地帯は、淡路町〜神田〜日本橋に繋がる地域です。昔の古き良き東京の生活の雰囲気が残っている町を歩きながら、「今日はどこのお蕎麦屋の香りを愉しもうかな〜」と想像するだけでワクワクしてきます。

edit : Sayuri Otobe


東京茶飯事(TOKYO DABANSA) コンテンツディレクター キム・ジノン

1979年韓国・ソウル生まれ。東京の町、人、文化を独特な感覚で韓国人に紹介するユニット「東京茶飯事」のコンテンツ担当。ソウルと東京の架け橋のような感覚で様々なプロジェクトを行っている。東京とソウルのカルチャーを紹介する記事を両国の雑誌へ寄稿、東京の文化やライフスタイルのインフルエンサーを招いてイベントの開催、その他の執筆、翻訳、選曲活動を行う。著書に『東京のライフスタイルの企画者たち』(韓国、Comm In社)、『Tokyo Diggin’』(韓国、NOVVAVE社) 、『STREET TOKYO - 東京散歩ノート』(韓国、design eum社)などがある。

instagram.com/tokyodabansa

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