&EYES あの人が見つけたモノ、コト、ヒト。
椅子の“すき間”に、自分と同じ目線の花を。写真と文:齋藤拓磨 (花屋『Hljóð (ヒュウド) 』店主) #1November 05, 2025

東京・下落合で『Hljóð(ヒュウド)』というお店をやっています。
この連載では、お花や自然の、自分なりの楽しみ方を綴っていこうと思います。
この日は、すごく天気がいいわけではないけれど、
窓から注ぐ淡い光と空気が、やわらかく心地よい日でした。
隅に置いたお花は、そこに自然と生えてきたように見えて、
通るたびにちらちらと目に入ります。
窓からの光は、壁や椅子の表面をやさしく照らしていました。
今日は読書でもしようかと、
普段あまり手に取らない本を片手に、飲み物を用意して椅子にごろんと。
お花が同じ目線にあると、一緒に遊んでくれているかのように感じます。

数ページも進まないうちに、
光と風がほどよく心地よくて、眠くなってしまいました。
うっすらと鳥の声が聞こえるような、
遠くで車や人の気配がするような。
そんな音と音のあいだにある静けさが、
いちばん心地よく感じられる時間です。
椅子の横に置いたお花が、そっとそばで見守ってくれているようで、
なんだか安心したら、
本を抱えたまま、眠っていました。






























