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椅子の“すき間”に、自分と同じ目線の花を。写真と文:齋藤拓磨 (花屋『Hljóð (ヒュウド) 』店主) #1November 05, 2025

椅子の“すき間”に、自分と同じ目線の花を。写真と文:齋藤拓磨 (『Hljóð』店主) #1

東京・下落合で『Hljóð(ヒュウド)』というお店をやっています。
この連載では、お花や自然の、自分なりの楽しみ方を綴っていこうと思います。

この日は、すごく天気がいいわけではないけれど、
窓から注ぐ淡い光と空気が、やわらかく心地よい日でした。

隅に置いたお花は、そこに自然と生えてきたように見えて、
通るたびにちらちらと目に入ります。
窓からの光は、壁や椅子の表面をやさしく照らしていました。

今日は読書でもしようかと、
普段あまり手に取らない本を片手に、飲み物を用意して椅子にごろんと。
お花が同じ目線にあると、一緒に遊んでくれているかのように感じます。

椅子の“すき間”に、自分と同じ目線の花を。写真と文:齋藤拓磨 (『Hljóð』店主) #1

数ページも進まないうちに、
光と風がほどよく心地よくて、眠くなってしまいました。

うっすらと鳥の声が聞こえるような、
遠くで車や人の気配がするような。
そんな音と音のあいだにある静けさが、
いちばん心地よく感じられる時間です。

椅子の横に置いたお花が、そっとそばで見守ってくれているようで、

なんだか安心したら、
本を抱えたまま、眠っていました。

edit:Sayuri Otobe


花屋『Hljóð(ヒュウド)』店主 齋藤 拓磨

齋藤拓磨
さいとう・たくま/栃木県生まれ。建築設計事務所を経て、都内の花と古道具の店に携わる。2024年、東京・下落合に『Hljóð(ヒュウド)』を開く。「音」と「静けさ」を意味する言葉を店名に、季節の花や自然の移ろいを通して、人や場所を静かに繋ぐ時間をつくっている。

instagram.com/hljod_tokyo

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