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理想のプロポーズを教えてくれた、映画『フォレスト・ガンプ』。トム・ハンクスが好きすぎる話。イラストと文:藤原さくら (シンガーソングライター) #2May 14, 2025

前回、トム・ハンクスにもいろいろな種類があると言ったが、わたしはトムを映画別にグラフ化するのが趣味だ。一生役に立つことはないと思っていたが、今回は私の叡智を生かしてみなさんのために分かりやすい、“トム手引き”を作ろうと思う。

ちなみにわたしが作っているグラフは、トムの哀れ度〜かっこいい度を縦軸、年齢を横軸に分けるという、とてもシンプルなものだ。

しかしすぐに、「トムを哀れか、かっこいいかだけで分けることは不可能」ということに気づき、トムをどうグラフで表現すれば良いのか分からなくなっているのが最近の悩みである。

さて、始めよう。

“哀れなトム”というと、やはり『キャスト・アウェイ』や『ターミナル』のトムだ。

このトムは無人島に漂流してバレーボールと友達になったり、自分の帰る祖国が無くなって空港に閉じ込められたりする。わたしは『キャスト・アウェイ』を幼いときに見て大爆笑したのだが、トム中(※トムに夢中)になった今、感情移入しすぎて号泣してしまい「トムに幸せになってもらわないと困る!」と、居てもたっても居られなくなってウロウロしてしまった。

そして“かっこいいトム”“頼れるトム”は、前回にも紹介した『プライベート・ライアン』や、『ダ・ヴィンチ・コード』、『グリーンマイル』、『アポロ13』などのトムだ。

このトムは「このトムが居てくれたらなんか大丈夫そう」という絶対的な安心感を持っている。もう既にいろいろな呼び方をしすぎているが、“上司にしたいトム”“先輩のトム”という言い方もできるだろう。

“子連れのトム”は、『めぐり逢えたら』のトム。これは“かっこいいトム“に分類される。

“イヤミなトム”は、『ユー・ガット・メール』や『オットーという男』のトムで、これもわたしがトムを贔屓しているので“かっこいいトム”なのかもしれない。

“銭形のトム”は、『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』のトム。これはディカプリオとの関係性がルパン三世のようだから。

“子どもだったトム”は、『ビッグ』のトム。この二つはどちらかといえば“哀れなトム”に分類される気がする。

そして、一番分類に迷うのが『フォレスト・ガンプ』のトムである。

理想のプロポーズを教えてくれた、映画『フォレスト・ガンプ』。トム・ハンクスが好きすぎる話。写真と文:藤原さくら (シンガーソングライター) #1

これは唯一無二すぎて、“『フォレスト・ガンプ』のトム”でしかないが、わたしは常日頃からこんなトムのように生きれたらと考えているので、“かっこいいお手本のトム”と呼んで差し支えないかもしれない。(解決した)

1994年に公開された本作は、知能指数は人に劣っているが持ち前の誠実さを持つガンプが人々に幸せを与え、与えられ、波乱に富んだ数奇なる人生を駆け抜けていくというストーリー。

その中でわたしに突き刺さったのが、ガンプが大好きな幼馴染のジェニーと話すシーンだ。

ガンプは、大好きだったジェニーが姿を消した後、放心状態となり、わけもなくアメリカ全土を走って走って走りまくる数年間を送る。

彼ががむしゃらに走る中で見た、天国のように美しい光景の数々を彼女に語ると「いいなぁ。私も一緒にその景色を見れたらよかった」と床に伏しながら言うジェニー。

そんな彼女にガンプは「君もずっと僕と一緒にいたよ」と言うのだ。

僕はずっと君のことを考えながら走っていたから、どの景色にも君が一緒にいたんだよ。と。

トム?????

こんなに嬉しい言葉ってこの世に他に存在するのだろうか?

こうやって言われたい。私にプロポーズする人は、ぜひこういうふうに言って欲しい。

こうしてトムはわたしに理想のプロポーズも教えてくれた。

そしてガンプの言うように、「人生というのは風に吹かれ漂っているようでいて、同時に運命に導かれてもいる」ようだ。

生きているとどうしても物事を難しく複雑に考えてしまうことも多いが、彼のようにもっともっと身軽に、大切な人を大切にできる自分で在れたらと思っている。

余談。

ちなみに爆走シーンで走っているのは、トムの弟のジム・ハンクスらしい。

edit : Sayuri Otobe


シンガーソングライター  藤原さくら

藤原さくら
1995年生まれ。福岡県出身。シンガーソングライター。天性のスモーキーな歌声は数ある女性シンガーの中でも類を見ず、聴く人の耳を引き寄せる。2024年4月、自身5枚目のアルバム『wood mood』では、サウンドプロデューサーにジャズドラマーである石若駿を迎え、原点回帰ともいえながら自身の今の音楽的ムードを昇華した作品を発表。今作を携えた全国ツアーでは初の東京NHKホール公演をソールドアウト。ミュージシャンのみならず、役者、ラジオDJ、ファッションと活動は多岐に亘る。inter fmレギュラー番組「HERE COMES THE MOON」(毎週日曜24時~25時)にてDJを担当。2025年3月より、デビュー10周年を迎える。

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