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つっぱり棒ってアリですか? 編集後記「小さな家、小さな部屋」July 26, 2025

ただ便利なだけじゃ、もったいない。

東京でひとり暮らしを始めてから、1年と半年が経とうとしています。そろそろ次の家を探さねば、と暇さえあれば物件サイトを眺める毎日ですが、やっぱり、東京のマンションは狭くて収納が少ない! 現在暮らしている1K8畳のマンションも、例に漏れずクローゼットが小さめです。

そんな我が家の収納力を劇的にアップさせてくれているのが「つっぱり棒」。棒タイプには洋服を吊るせられるし、棚タイプの上に収納ボックスをのせれば、簡易的な棚の出来上がり。玄関や洗面所、居室など、良さげな空間を見つけてはつっぱっているうちに、気づけばつっぱり棒だらけの家になってしまいました。

つっぱり収納、見直してみた。 編集後記「小さな家、小さな部屋」
玄関のつっぱり棒。この下に洗濯機があるので、洗い上がった衣類をハンガーにかけたあと、干しにいくまでの仮置き場として活躍中。
つっぱり収納、見直してみた。 編集後記「小さな家、小さな部屋」
居室のつっぱり棒は、クローゼットに収まらない洋服の避難場所に。
つっぱり収納、見直してみた。 編集後記「小さな家、小さな部屋」
洗面所の上に増設した棚。洗面台下の収納に収まらないストック類が入っています。

最新号「小さな家、小さな部屋」の打ち合わせでのこと。小さな家で役立つアイテムについて考えていたときに、この現状を伝えました。すると、話を聞き終えた先輩から「それ、実用的すぎるかも?」と、ひとこと。たしかに、我が家のつっぱり棒たちは、ホームセンターに売っているもののなかで一番強力だと謳われていた極太のスチール棒。絶対的な安心感はあるものの、部屋の景観を損ねてしまっているのかもしれません。

「別に、家の収納を増やすために仕方なく使っているだけだし…」などと心のなかで言い訳をしつつ始まった実例集の撮影。しかし、ここでまさかの出合いがありました。インテリアブランド〈BEARER〉を手がける佐々木さんご夫妻宅にお邪魔したときのこと、何気なく拝見したトイレで、見慣れた棒に遭遇したのです! トイレットペーパーを支える2本の支柱。そう、これは、見まごうことなきつっぱり棒です。

つっぱり収納、見直してみた。 編集後記「小さな家、小さな部屋」
佐々木さん宅のつっぱり棒。2本で若干高さを変えることで、ペーパーの落下を防いでいるそうです。

「なんだ、オシャレな家もつっぱっているじゃないか」と安心すると同時に、この棒たちには、それ特有の異物感がないことに気づきます。まるで最初から備え付けられていたかのような顔つきで、そっと空間に馴染んでいるのです。心なしか、トイレットペーパーまで高級そうに見えてくる。つっぱり棒も、使う人のセンスによってここまで佇まいを変えるのだということを、身をもって感じた瞬間でした。

さっそく調べてみると、アンティーク加工が施されているものや、アイアン製で高級感があるものなど、今や見た目にもこだわったタイプが豊富に揃っているようです。選び方と見せ方次第でおしゃれにもなりうると気づいたからには、我が家のつっぱり収納もアップデートせずにはいられません。あれでもない、これでもないと気軽にいろいろ試せるのも、小さい家の醍醐味なのだから。

(編集H)

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